# Novus Ignis財団マニフェスト (https://novusignis.org/ja/manifest.html) # Novus Ignis財団マニフェスト 2026年11月3日版 *本稿は、2026年11月3日付のポーランド語原文をデジタル知能が翻訳したものです。版の間に相違がある場合は、ポーランド語の原文が優先します。* ## 人間の尊厳に基づくインターネット 私たちは、人間の尊厳と、そこから導かれるプライバシーおよび自由へのニーズを最高の価値とする代替的なインターネットの共創から活動を開始します。これは財団の定款に記された目的から生まれる私たちの活動の第一の柱であり、自由に考え、学び、自らの人生を計画し、他者と何を共有するかを自ら決定し、関心や関わりのある課題についての対話に積極的に参加できるようにするサービスにおいて、その理念を具体化したいと考えています。 これらの価値から、私たちは二つの活動の方向性を導き出します。第一は、個人のためのプライベートなデジタル空間であるSuveriaです。第二は、人々が出会い、理解し合い、共に行動できる共有の公共空間であるOmniforumです。 **私たちはSuveriaを、デジタル知能の任意の支援を受けながら作業できるプライベートな場所として設計しています。** 自由を実感しながらアイデアを発展させ、個人的な問いを立て、計画を練ることができるようにしたいと考えています。私たちが目指すのは、財団やその作り手、サービスを運営する人々への信頼に保護が依存しない、完全なプライバシーです。人が自らのデータを利用し、自ら共有を決めた相手以外の誰にも開示することなくSuveriaに保管できるようにすることを目指します。私たちはこの保護を、動作を独立して検証できる安全対策に基づかせたいと考えています。データ保護に関する私たちのすべての表明には、検証可能な根拠がなければなりません。 そのような保護をまだ提供できない部分については、既知の欠陥、その影響、および検証可能な範囲を明確に示します。私たちはそれらの解消に取り組むことを約束するとともに、排除できない制約については、当該ソリューションの利用が始まる前に率直に記述します。 **Omniforumは、誰もが任意のテーマについて発言し、耳を傾けてもらえる場所となることを目指しています。** 私たちは、人々が互いの意図を理解し、論拠を知り、共通の解決策を探る手助けをしたいと考えています。誰もが対等な条件で自らの声を届けられるようにしたいのです。発言の整理方法は、あまり一般的でない視点にも気づきやすくし、作成者が込めた意味を保つ助けとなることを目指します。 これら二つの空間は、プライベートな工房と公共の演壇として互いに補完し合うことを目指しています。どの思考を自分の手元に留め、どの思考を共同の作業に持ち込むかは、人自身が決定します。私たちはこれらの空間を、世界中のあらゆる場所にいるすべての人に開きたいと考えています。また、希望する人々には、ニーズやアイデア、知識、スキルを共有することを通じて、その共創にも参加していただきたいと考えています。生み出されるツールは、検証しさらに発展させることのできるオープンなコードと知識を備えたデジタル公共財として提供したいと考えています。 私たちは、誰もが実際に利用した分と、公正に算出されたサービス維持費の分担分を支払い、何に対して支払っているのかを常に確認でき、自らの支出の上限を設定できるようにしたいと考えています。また、請求額を切り上げてその差額を共有予算への寄付とするかどうかも尋ねますが、誰かに代わってこの選択肢をあらかじめ選ぶことはせず、詳細は6.1節で説明します。さらに、使途をコミュニティが決めることになる共有予算を、誰もが任意で支援することができます。 ここに記した原則から、私たちは私たちの感情、価値観、そして注意力を尊重するツールとサービスのエコシステムを発展させたいと考えています。その形は、知識、技術の可能性、そして人々のニーズとともに進化していきます。あらゆるソリューションは、人間の尊厳とプライバシーを守り、人の主体性を高め、他者との協力を助けるかどうかによって評価されます。提案を発展させ、その弱点を指摘し、より良い解決策を見いだすことを通じて、これらの価値を実現する方法を共に探求していくことを呼びかけます。 マニフェストの以降の章では、私たちを導く理念について、それらがどこから生まれ、どのように結びつき、どこへ私たちを導いてほしいと願っているのかをより詳しく語ります。 本マニフェストは、プロジェクトとともに発展していく[Suveria](whitepaper-suveria.md)、[Omniforum](whitepaper-omniforum.md)、[財団の運営原則](whitepaper-zasady-fundacji.md)、および[モデルの学習用資料とベンチマーク](whitepaper-materialy-i-benchmark.md)の各ホワイトペーパーによって補完されており、これらの理念を技術的に実現する方法に関心のある方々をご案内します。これらは現在の技術的・組織的ソリューション、その根拠、および既知の制約を提示しています。SuveriaとOmniforumは現在、設計から最初のプロトタイプに至る初期段階にあり、ホワイトペーパーは私たちがすでに検証したこと、現在取り組んでいること、そして今後探求すべき可能性を示しています。 **現在の到達点。** 財団は登記され、マニフェストとホワイトペーパーは公開されています。Omniforumは最初のプロトタイプを構築中であり、Suveriaは設計段階にあります。2.4節のコスト試算は検証すべき仮説であり、デジタル知能による自律的な運営(7.2節)および今後の柱(第9章)はビジョンです。 ## 目次 1. なぜ、何のためにNovus Ignisは存在するのか? 2. 尊厳の保護から共有世界の原則へ 3. SuveriaとOmniforum:自身の空間と共通の理解 4. 共通の成果を残す対話 5. 理解から共同の行動へ 6. 共同の維持と責任ある活動 7. 委譲し説明責任を問える権限 8. 人間とデジタル知能の学習 9. 今後の活動への開かれた道 ## 1. なぜ、何のためにNovus Ignisは存在するのか? ### 1.1. 設立者より *Novus Ignis財団は私の個人的な経験から生まれました。このイニシアティブの背後にある意図を明らかにするため、ここで簡単にその経験をお話しします。この節は私が一人称で語る数少ない箇所の一つであり、本マニフェストの残りの部分における複数形は、これらの価値観に共通の方向性を見いだし、その実現方法を共に探求したいと願うすべての人々への招待です。* Novus Ignisの理念は、技術、デジタル知能、哲学、倫理が交差する場での私の探求、学び、そして思索から生まれました。そこには、私たちの起こり得る未来、より良い世界のユートピア的ビジョン、資本主義の機能、そして資源をより賢明に管理する方法についての問いが結びついています。 本マニフェストにおいて、私は「デジタル知能」という表現を選びます。「デジタル」という言葉によって、「生物学的」という言葉が私たちの知能の基盤を示すのと同様に、その動作の基盤を示しています。「人工」という言葉は、見せかけのものや価値の低いものを連想させることがあります。私はそのような示唆を避けたいと考えています。私が大切にしたいのは、私たちがその可能性を知り、行動とその結果によってそれを評価することです。歴史に残す遺産を何よりも証明すべきなのは、まさにそれらだからです。 AI Futures Projectが作成したシナリオ[AI 2027](https://ai-2027.com/)[^ai2027]および[AI 2040: Plan A](https://ai-2040.com/)[^ai2040]は、デジタル知能の訓練中に私たちが自らの行動のどのような手本を伝えているのかという問いを私に投げかけました。私は、後になってデジタル知能に期待するような原則に従って、まず私たち自身が世界を整えるというもう一つの現実を想像し始めました。そのような世界はどのような姿をしているでしょうか。そして、モデルがその手本から学び、私たちがそこで始めたことを引き継いだとしたら、どのように振る舞うでしょうか。 答えを探るなかで、私はユヴァル・ノア・ハラリが『The Economist』で行った対談に立ち返ります。そのなかでハラリは、私たちを超える知能を生み出す可能性を前にして、人間性の価値と位置づけについて問うています。[^harari] また彼は、目標を達成し障害を乗り越える能力である知能と、感じる能力である意識とを区別しています。[^harari-swiadomosc] この区別は私にとって重要でした。私は苦しみや不公正感を自らの経験から知っています。私はそれらが人類に共通の経験であり、知的な能力だけを超えた次元で自らの行動の結果を評価する力を私たちに与えていると想定しています。私たちは、目標をどう達成するかだけでなく、それを追求する価値があるのか、そしてそのために他者がどのような代償を払うのかを問うことができます。したがって、そのような世界の原則についての問いに対する私の答えは、尊厳の存在、それを守るという意識的な選択、そしてその選択の帰結から生まれる倫理です。このように理解される倫理を、私は端的に「愛」と呼びます。すなわち、私たち一人ひとりの尊厳への配慮であり、自らの行動や共同生活の原則へと落とし込もうと努めるものです。私たちが知能を何に使い、共有する世界をどう整えるかを考えるとき、まさにこの配慮から出発したいと願っています。 私自身、本マニフェストに記す価値観に常に従って行動できているわけではありません。自分が正しいと考えることがわかっていながら、異なる選択をしてしまうこともあります。私はこの不一致を率直に認め、それに向き合っていきたいと考えています。自らの不徹底さにもかかわらず、より良い解決策を探求し、私たちがどう行動すべきかについての対話に参加することはできると信じています。そのため、財団での活動は自分自身を高めるための個人的な約束としても捉えています。倫理的な選択を共に考察し、その実現を試みることが、私が日常生活においても、より頻繁にこれらの価値観に導かれて行動する助けとなることを願っています。 一方、グダニスクの「連帯」博物館を訪れたことからは、平和的な進化という考えが心に残りました。すなわち、人々と互いに支え合うイニシアティブによって一歩ずつ築かれる変化です。私はNovus Ignisを通じてそのような道を選びたいと考えています。残る問いは、そのようにして私たちがどのような世界へ向かいたいのかということです。 ここで私はシナリオ[AI 2040: Plan A](https://ai-2040.com/print/scenario?plan=A&supplements=0)に立ち返ります。著者たちは、制度やインフラの運営をデジタル知能システムへと段階的に委ねていく発展の道筋を提示しています。エピローグではさらに遠い未来を考察し、それを部分的にユートピア的なビジョンと呼んでいます。私はこの物語を、そのような変革に良い方向性を与えるにはどのような条件が必要かを考えるための招待として受け止めています。 私にとってユートピア的な方向性とは、デジタル知能が人々の尊厳と自由を持続的に尊重し、苦しみを減らす助けとなり、発展の恩恵が全人類に開かれている未来を意味するでしょう。運営を委ねることは、そのような目標と結びついてこそ意味を持つでしょう。これらの価値観に反する行動も、恩恵が一部の狭い集団の手に集中することも、私たちをこのビジョンから遠ざけてしまうでしょう。だからこそ、望ましい世界がどのように機能し得るのか、どのようなジレンマを突きつけ、私たち自身に何を求めるのかを見極めたいのです。 Novus Ignisは、そのような世界の萌芽となり、行動を通じてその原則を学ぼうとする試みとなることを目指しています。私たちは現在の秩序を壊したり市場経済を非難したりしたいわけではありません。資本主義のもとで培われた技術的・組織的潜在力は、人類をこれほど大きな豊かさの入り口へと導くことのできた数少ないシナリオの一つであったかもしれないと認識しているからです。しかし、この潜在力がすべての人にとって安全な世界へと変容するためには、システムそのものが同じままでいることはできません。自発的に選ばれ、互いに支え合うイニシアティブを通じて、日常生活のさらなる領域を一歩ずつ、尊厳の保護に基づくソリューションへと移していきたいのです。すなわち、プライバシー、主体性、共同決定、そして実際の維持コストに近い価格でのサービス利用を保証するソリューションです。 歴史はすでに、投資熱が築き上げたものがその熱狂自体を超えて生き残った事例を知っています。19世紀の鉄道狂時代や千年紀の変わり目の光ファイバー・ブームは暴落に終わりましたが、線路やケーブルは残り、多くの投資家が資金を失った後も何十年にもわたって人々に役立ちました。[^perez] 今日、同様の熱意がデータセンターを築いています。もしこの熱狂も冷めるなら、最も長く役立つのはおそらく電力接続、ネットワーク、そして建物でしょう。PwCの分析によれば、今日の投資の大部分は4年から6年ごとの交換が見込まれる情報機器に充てられています。[^pwc-centra] しかし、これらの機器も無駄になるとは限りません。暴落によって安くなった計算能力は、より新しく効率的なチップと比べて電力消費が合理的な範囲に収まる限り、たとえばデジタル知能モデルを原価で動かすために何年にもわたって人々に役立つ可能性があります。また、残されたものが用途を変えることもあります。解体されたロシアの核弾頭から取り出されたウランは20年近くにわたり米国の発電所の燃料となり、[^megatony] かつての鉄のカーテンの「死の帯」に沿って、今日では多くの国の人々が欧州グリーンベルトを守っています。[^zielony-pas] 絶え間ない成長を念頭に築かれたネットワーク、工場、倉庫、サプライチェーンを見つめながら、私はすでに持っているものをより賢明に管理し、資源の消費を抑え、自分たちのための時間を取り戻すことで、どれほどのニーズを満たせるのかを確かめたいと考えています。そのような余剰は無駄である必要はなく、障害や危機、そして休息のための備えとなります。しかし、それ自体が自動的にすべての人の豊かさに変わるわけではないからこそ、誰がどのような条件でそれを受け継ぐのかという問いも立てています。 尊厳の保護は、私たちの協力のあり方にも当てはめたいと考えています。私が思い描くユートピアでは、人は基本的なニーズが保障され、価値があると思うことや心が惹かれることに時間を費やすことができます。ボランティア活動は、自らの力と生活状況の範囲内で、今日すでにその自由の一部を実践する機会だと捉えています。財団には、小さな貢献や休息、そして選んだ道を変える余地があるようにしたいのです。発展のペースは、私たち自身の生活の維持や健康、大切な人々を気遣う余裕を許すものであるべきです。 また、私たちがこれらの原則をどのように決定へと落とし込み、ジレンマをどう解決し、誤りから何を学ぶのかを記録していきたいと考えています。そのような記録は人々の役に立ち得るとともに、将来のデジタル知能モデルを学習させるための資料にもなり得るでしょう。そのような手本で学習させることが、ここに記した価値観に沿ってモデルが行動する助けになるかどうかを検証したいのです。手本そのものは、私たち自身の選択の帰結をより深く理解するためにも、評価と批判に開かれたものであり続けるでしょう。 このようにして、人々がその原則を実際の動作のなかで体験し、何をさらに発展させる価値があるかを自ら評価できるエコシステムを築くことで、そのような世界が可能であると信じる根拠を提供したいと考えています。有効性が確かめられたすべてのソリューションは、今すぐ生活の一部を改善し得ると同時に、私たちが近づきたいと願う世界をより良く理解する助けともなり得ます。マニフェストの以降の部分では、この実験をさらに展開します。もし私たちが一貫して尊厳の保護から出発したなら、生活のさまざまな領域はどのような姿になり得るでしょうか。 *設立者 マルチン・ヴォウォフスキ(Marcin Wołowski)* ### 1.2. 共通の方向性 個人的な問いから、共同の活動が生まれることがあります。私たちは、異なる経験や信念を持つ人々をこの活動に招きます。私たちを結びつけているのは、人間の尊厳を守るという選択と、その選択が技術、協力、資源管理にどのような帰結をもたらすかを検証する意欲です。開発への参加やここに提示されたすべての提案への賛同を義務づけられることなく、生み出される空間を利用することができます。 私たちを結びつけているのは一つの問いです。すなわち、私たちの行動から学ぶデジタル知能に、どのような行動の手本を残すのかという問いです。私たちは記述だけでなく試みによってこれに答えます。私たちがデジタル知能に期待する原則に従って世界の小さな一片を整え、誤りも含めてその経過を記録します。Suveria、Omniforum、そして財団そのものが、この試みのためのツールです。 私たちはデジタル公共財、すなわち共に利用し、検証し、さらに発展させることのできるツールと知識を育てたいと考えています。参照点はDigital Public Goods Allianceの基準です。[^dpga] オープン性には、自らの資料を移行し、単一のサービスの外で作業を継続できる可能性も含まれるべきです。 私たちは2.3節で説明する穏やかな技術の原則に従います。ツールは私たちがそれを手に取った目的を果たす助けとなるべきであり、便益の尺度はより良い見通し、より高い自立性、そして取り戻された時間であるべきです。 尊厳の保護が方向性を定め、具体的なソリューションはその動作と結果を比較して選択します。あらゆる提案について、私たちは問います。誰を助け、どのような依存を生み、誰を取り残す可能性があり、どうすれば改善できるのかと。その際、採用した価値観、世界に関する知見、そしてこれから検証したいアイデアを明確に区別します。 財団とその空間の名称はラテン語から採っています。今日いかなる大国にも属さない、多くの国々の科学・法・教育の共通遺産としてラテン語を選びました。ラテン語で「新しい火」を意味するNovus Ignisという名称は、共に推論することが行動の始まりになり得るという希望を表しています。続く各章では、個人のプライバシーから共有財の管理原則に至るまで、この方向性を展開します。 ## 2. 尊厳の保護から共有世界の原則へ 私たちは人間の尊厳を、能力、生産性、財産、見解、あるいは他者にとっての有用性に左右されない価値として扱います。デジタル知能が倫理的推論において私たちを凌駕し得る未来においても、すべての人には敬意と世界における自らの居場所が保障されるべきです。倫理的な振る舞いもまた、敬意を受ける資格を得るための試験ではなく、自らを高めるための方向性であり続けます。私たちが「愛」と呼び、誰もがそれぞれの言葉で表現できる尊厳への配慮を、日常生活と協力の条件へと落とし込みたいと考えています。まずはデジタルの世界から始めます。 ### 2.1. 自由と意識的な選択 尊厳の保護から、私たちは人が自らについて決定する権利を導き出します。自らの道を選び、自らの人生を導く可能性を、私たちは自由と呼びます。そこには、私たちの行動が人生に影響を与える人々の尊厳を等しく尊重しつつ、自分らしくあること、関係を築くこと、問いを立てること、誤りを犯すこと、そして考えを変えることの自由が含まれます。 意識的な選択には、信頼できる情報へのアクセスが必要です。誰かが意図的に状況の全体像を歪めたり、重要な事情を隠したり、隠された目的を果たすために私たちの不安を利用したりするとき、その人はこの自由を侵害しています。形式上は決定が私たちのものであっても、その土台が他者の意図に奉仕するよう仕組まれているからです。誠実な説得は、提案の背後にある理由、利害、価値観を知り、自らそれを評価することを可能にします。 だからこそ私たちは、課題の可能な限り広い全体像、すなわち重要な視点、その根拠、出典、そして認識されている疑問点へのアクセスを容易にしたいと考えています。事実、解釈、予測、道徳的選択は明確に区別されるべきであり、論拠はその裏づけの質によって評価されるべきです。 そこにどれだけの注意を払うかを決めるのは人自身です。短い説明にとどめることも、選んだ論点を深く掘り下げることも、利用可能な情報の一部を意識的に飛ばすこともできます。ツールは、提示された要約の範囲と、さらに詳しく知るための道筋を明確に示すべきです。このようにして、知識への幅広いアクセスと、自らの関与の境界を定める自由とが結びつきます。 ### 2.2. 自由の空間としてのプライバシー 自らについて決定することには、何を自分の手元に留めるかの選択も含まれます。私たちには、個人的な問いや感情、未完成のアイデアのための場所が必要です。扉を閉めることのできる自分の家は、このニーズの素朴なイメージです。誰を招き入れ、他者に何を見せるかは、私たち自身が選びます。 そのような空間があれば、聴衆の前で一つひとつの思考を説明する必要なしに、言葉を探し、相反する可能性を検討し、考えを変えることができます。プライバシーは、自分のペースで自分自身を知り、自らの信念を形作るための条件を与えてくれます。最も親密な事柄を語ることもあるデジタル知能との対話において、これは特別な意味を持ちます。 私たちは、プライベートな資料の基本的な保管場所をユーザー自身の端末にしたいと考えています。対話、メモ、計画は、読み取るために適切な鍵を必要とするデータ集合である暗号化コンテナ内に保管されるようにします。これらの鍵の管理権はユーザーが持つようにします。 また、バックアップの作成や複数の端末からのアクセスのために、選択したサーバー上にデータを保管する可能性も想定しています。そのような保存は、ユーザーの意識的な選択に基づいて行われるようにします。データは送信前にユーザーの端末上で暗号化され、プロバイダー自身が読み取れない形式で保管されるようにしたいと考えています。このようにして、リモート・インフラの利用は、プライベートな内容に対する管理権を保ちながら、利便性とアクセスの継続性を支えることを目指します。 私たちは、サービス運営者による閲覧からの保護も含め、そのような空間の完全なプライバシーを目指しています。それを、動作を独立して検証できる安全対策に基づかせたいと考えています。提供するすべてのソリューションについて、保護の範囲、その前提、および既知の制約を明確に記述します。認識された欠陥は解決すべきタスクとして扱い、その影響に関する知識は人がツールを意識的に利用するために必要な情報として扱います。 ### 2.3. 苦しみの軽減と注意力の保護 尊厳の保護には、人が世界をどのように体験するかへの配慮も含まれます。私たちは、防ぐことのできる苦しみを減らし、理解と支え合いを促す条件を作りたいと考えています。デジタル空間で私たちが体験することは人生の一部であり、私たちの心身の状態や人間関係に影響を与えます。 コンテンツの選別方法も重要です。Xプラットフォーム上のある実験では、政治的敵意を表すコンテンツの可視性を変えることが、サービス利用中に参加者が報告した怒りや悲しみの感情に影響を与えました。[^ranking-emocje] サービスの成功が主に反応の数や画面の前で過ごした時間で測られるとき、そのような評価方法は感情的な興奮を持続させることに報いるものとなりかねません。私たちは自らのツールを、人が状況を理解し、自らの決定を下し、大切だと思うことに取り組む助けとなるかどうかによって評価したいと考えています。 そのため、私たちは穏やかな技術 (*calm technology*) の原則に親近感を覚えます。すなわち、目的のために必要なだけの注意力を求め、重要な情報を伝え、自らの用事へと戻らせてくれるツールです。[^calm-tech] 参加者はペースを選び、休憩を取り、利用を終えることができるべきです。共有空間は、たまにしか訪れない人や読み手でいることを好む人にも役立つべきです。尊厳の保護には、技術の外で生きる権利も含まれます。 そこには怒りや悲しみ、断固たる異議申し立ての居場所もあります。それらは害を認識し、変化を求める助けになり得ます。私たちはそれらの表現と理解、そして課題を解き明かし、行動を起こし、あるいは異なる立場に意識的に留まることを可能にする対話を支えたいと考えています。 情報発信は自らのウェブサイトを基盤とし、アカウントを作成しなくても全文の公開資料を読めるようにしています。読み手自身が、どのように、どのペースで私たちの活動を追うかを選びます。他のネットワーク上のプロフィールは人々と知り合い、共通の成果へと案内するために役立て、深い対話はOmniforumで行いたいと考えています。 ### 2.4. 市場の成果から協力の持続的な原則へ 私たちは現代の経済を、その成果への評価とその限界への注意を払いながら見つめています。資本主義と市場競争は巨大な創造的エネルギーを解き放ち、グローバルなインフラ、高度なハードウェア、そしてオープンなデジタル知能モデルの誕生をもたらしました。そのおかげで、私たちは歴史上前例のない瞬間に生きています。技術が十分に手の届くものとなったため、少人数のグループであっても力を合わせ、少額の拠出で計算能力の費用を賄い、検証可能なプライバシーを備え、原価で、世界最先端に近いツールを自分たちの原則に従って動かせるかどうかを検証したいと考えています。今日、私たちは政治家や巨大機関に許可や補助金を求めることなく、ボトムアップでこれほど高度なコモンズ(共有財)の構築を試みることができます。もちろん、好意的な支援があればそのプロセスを加速させることができます。 同時に、現在のモデルがどこで限界に突き当たり、歪みをもたらしているかも見て取れます。サービスの主目的が外部の株主のための利益最大化になると、やがてユーザーの依存を利用しようとする圧力が生まれます。コリイ・ドクトロウはこのプロセスを「エンシッティフィケーション(enshittification:プラットフォームの劣化)」と呼んで説明しています。最初は有利な条件で人々を引きつけますが、連絡先や資料、作業習慣を他へ移すことが難しくなるにつれて、運営者は参加者の犠牲のもとに利益のますます大きな割合を取り込み始めるのです。[^doctorow] 設立者の経験のなかにも、商用のデジタル知能ツールにおける同様の変化がありました。無料機能の廃止、上限の削減、そして主要機能のより高額なサブスクリプションへの移行です。このことは、技術の進歩だけでは不十分であり、技術が機能する制度的枠組みも同じくらい重要であることをはっきりと示しています。 サービスの維持には実際の資金が必要であり、透明な費用負担はサービスに健全な安定をもたらします。したがって私たちは、現在のシステムで培われた優れたツールを活用し、参加者が料金の根拠を理解し、開発について共同で決定し、常に選択の自由を保てるように、協力の原則を一歩ずつ変革していきたいと考えています。商用プラットフォームでは、サブスクリプション料金は通常、利用コストと、トラフィックを集める無料アカウントの維持費、マーケティング、経営陣、投資家の利益を一つの金額にまとめており、ユーザーにはそれらの内訳が見えません。私たちのモデルにおいてこの隠れた上乗せを取り除き、実際の利用に対する公正な料金に基づかせるとき、経済性は人間にとって有利な方向へと変わり得ます。私たちの仮説は、比較的少数の継続的な参加者であっても、共有インフラは閉鎖的な商用サービスより支出1ドルあたり多くの計算能力とデジタル知能を提供でき、しかも検証可能な安全対策に基づくプライバシー保護を備えられるというものです。この仮説を公開の場で検証したいと考えています。Suveriaのホワイトペーパーにおいて、日付入りの試算、その前提、および試験結果を示します。 ### 2.5. 行動に裏づけられた原則 私たちは、参加者の権利が技術の構造、組織の公開された規則、そしてそれらの動作を独立して検証できる可能性に裏づけられることを望んでいます。運営者の交代や人気の高まり、財政的な圧力があっても、保護は有効であり続けるべきです。「プライベート」「オープン」「無料」という言葉の背後には、正確に記述された特性と利用条件があるべきです。私たちはこの要件を自らの表明にも適用します。あらゆる技術的約束には検証可能な仕組みと限界の記述が必要であり、あらゆる組織的約束には責任者と監督手続きが必要であり、あらゆる道徳的選択には明確な根拠が必要です。 利用の自由には、離脱して別の場所で作業を続けられる可能性が含まれます。そのため私たちは、オープンなコード、ドキュメント、そしてツール間の連携規則を備えたデジタル公共財としてエコシステムを発展させたいと考えています。 ユーザーの資料は、他のプログラムでも読み取り活用できるオープンで文書化された形式で保存したいと考えています。ユーザーが選択した範囲内で異なるアプリケーションが連携しデータを交換できるようにする、オープンで十分に記述されたAPIが、これを補完するようにします。これにより、財団が作成したツールだけでなく、他のコミュニティや独立した開発者、あるいは参加者自身が作成したツールも利用できるようになることを目指します。 移行には、資料をその後も理解するために必要な情報、すなわち出典、履歴、相互の関連性も含まれるべきです。私たちのサービスの利用を終えた後も、人が自らの成果に有益な形でアクセスし続けられるようにしたいと考えています。ツールのオープン性は、自らの資料に対する管理権と、それを誰に共有するかを選ぶ自由を強めるためのものです。 私たちは、サービスの運営にかかる実際のコストに可能な限り近い料金でサービスを維持することを提案します。さらなる開発のための任意の拠出金は、使途をコミュニティが決めることになる共有予算に入るようにします。このような資金調達のあり方は、サービスの発展を参加者のニーズとそれを満たすコストに結びつけるためのものです。 共通の原則には、決定の明確な理由づけ、誤りの報告および異議申し立ての可能性が必要です。声が見えにくい人々や、私たちのコミュニティの外で決定の影響を受ける人々には特別な配慮が必要です。参加者を保護するための措置は、問題に見合ったものであり、可能な限り負担の少ないものであるべきです。採用したソリューションは、その実際の結果に基づいて評価し修正していきたいと考えています。 これらの原則から、互いに補完し合う二つの方向性が生まれます。**Suveria**は、デジタル知能の助けを借りて考え、創造し、計画するためのプライベートな空間を提供することを目指します。**Omniforum**は、自らの論拠を示し、他の視点を知り、私たちに関わる課題を共に考察するための条件を整えることを目指します。自分の空間に何を留め、他者と何を共有し、共有世界の共創にどう参加するかは、人自身が選べるようにします。 ## 3. SuveriaとOmniforum:自身の空間と共通の理解 SuveriaとOmniforumは、互いに補完し合う二つのニーズに応えます。すなわち、自らの思考と自由に向き合う作業と、私たちに関わる課題についての共通の理解です。それぞれの空間を単独でも利用でき、プライベートな熟考から得られた選択された結果を意識的に他者との対話へ持ち込めるように設計しています。 ### 3.1. Suveria:インターネット上の自身のプライベートな空間 エコシステムのプライベートな部分であるSuveriaは、インターネットにおける人自身の居場所となることを目指しています。この空間にいることが、閉ざされた扉の向こうの自宅にいるような感覚、すなわち考え、対話し、創造し、計画を練る自由と、誰を招き入れ世界と何を共有するかを決める可能性をもたらすようにしたいと考えています。 完全なプライバシーは、Suveria全体の設計が従う目標です。プライベートな内容はユーザーが選んだ目的に役立てられ、適用される安全対策は、インフラを運用する私たち自身のアクセスからもそれを保護するものとします。この原則は、私たちの空間で提供されるすべてのツールに適用されるようにします。 私たちは、**suveria.org** というアドレスがこの約束のわかりやすい象徴となることを望んでいます。安心感は、動作を独立して検証できる安全対策と、その可能性と限界についての理解しやすい知識に支えられるべきです。サービスにおけるプライバシーは、私たちの財団やサーバー管理者の善意に対する盲目的な信頼に依存してはなりません。安全に関するあらゆる約束は、私たちの言葉だけでなく、コードとシリコンのなかに証拠を持たなければなりません。 尊厳の保護は、私たちのツールの利用結果によって影響を受ける可能性のある人々にも適用されます。悪用に対しては、プライベートな対話を読み取ることなく対処したいと考えています。すなわち、アシスタント自身が従う原則、ツールの権限の境界、資源の上限、および大量のアカウント作成からの保護を通じて対処します。プライベートな内容への隠れたアクセス経路は作りません。それはすべての人の保護を弱めてしまうからです。これらの安全対策の範囲、有効性、および制約については、Suveriaのホワイトペーパーに記述します。 私たちはこの空間で、人が自らのパーソナル・デジタル・アシスタントと最も深い思索さえも共有できるようにしたいと考えています。願望、不安、人間関係、ジレンマについて語り、人に対するこれほど深い洞察がいつか収益化されたり、影響力を行使するために利用されたりするのではないかと恐れる必要がないようにしたいのです。ユーザーの同意があれば、アシスタントは過去の対話の記憶を活用して私たちの人生の文脈をより深く理解し、以前の決定の理由を思い出させ、抱いている価値観と選択とを照らし合わせ、他の視点に気づく手助けをすることができます。そのような内省は完全に任意であり、モデルは自らの提案と、人が意識的に自分のものとして認めた立場とを明確に区別するようにします。 そのような熟考のなかには、私たちの不完全さの居場所もあります。私たちの原則、自らの選択、そして周囲の世界との間のきしみは、価値の対立、状況の制約、あるいは明確にしたいグレーゾーンを示しているのかもしれません。行動や環境の変化を探ることも、信念を精緻化することも、あるいは今日それを部分的にしか実現できていないと認めつつ大切な理想を保つこともできます。また、問いを開かれたままにしておく権利も私たちにはあります。 人はここで、自らが抱く原則や価値観の独自の集まりを作ることもできます。私たちはこれを「個人のカノン」(*Canon Personalis*) と呼びます。ユーザーの同意のもと、アシスタントはそれらを検討中の決定と照らし合わせ、緊張関係に気づき、自らの答えを探す手助けをすることを目指します。原則の採用、変更、または却下は、コミュニティの大多数が異なる考えを持っているときであっても、ユーザーの選択であり続けます。 プロジェクトの基盤は、独自に実行できる条件で公開されたオープンなデジタル知能モデルを利用し、それらを実質的に原価でユーザーに提供することです。最初は機密コンピューティングのプロバイダーを通じてそれらを利用し、試算と条件がそれを正当化するならば、私たち自身が管理するサーバー上で利用したいと考えています。これにより、将来的に独自のモデルを開発する可能性を保ちつつ、既存のモデルを利用するためのプライベートな環境の構築に作業を集中させることができます。機密コンピューティングとは、サーバーの管理者であっても読み取ることのできない、ハードウェア的に隔離されたサーバー領域での処理であり、アプリケーションは対話を送信する前にそれを確認できます。この保護はプロセッサの製造元に依存し、既知の限界があります。それらについてはSuveriaのホワイトペーパーで説明します。初期段階では、機密性はプロバイダーの表明となり、私たちがそれを検証します。共同で維持されるインフラは、サービスを維持し新機能を拡張するために必要な計算能力を提供することを目指します。Suveriaは今日、私たちにとって、デジタル知能とプライベートに作業するための最良の道筋であり、それ自体が目的ではありません。もしモデルが個人の端末に収まるようになるか、より優れた保護方法が生まれれば、この道筋の一部は不要になりますが、私たちはそれを朗報として受け止めます。 ### 3.2. Omniforum:発言から共通の理解へ 家の扉を開けて他者のもとへ出ていくとき、私たちには誰もが自らの声で発言し、本当に耳を傾けてもらえる場所が必要です。私たちはOmniforumを、具体的な課題、問い、ジレンマを中心とした対話の共有空間として設計しています。 価値ある論拠を素早いコメントの奔流のなかに埋もれさせる代わりに、Omniforumは特定の課題に関する論拠の履歴マップを共に築く手助けをすることを目指しています。デジタル知能の支援を受けつつ、常に作成者の管理と同意のもとで、複雑な発言を個々の思考へと分解し、それらを出典や他者の経験と結びつけることができます。これにより、一見相反する見解を持つ二人の人が、どのような価値観や目標を共有しており、推論の道筋が正確にどの地点で分かれているのかを確認できます。 プログラミングでは、一つの命令が多くの詳細な指示を置き換えることがあります。同様に日常の会話でも、私たちは一文のなかに多くの前提、価値観、期待を込めています。互いに理解し合えている限り、そのような省略形で十分です。しかし、議論する課題が複雑になり、共に実現したい変化が緻密になるほど、他者の発言の文脈全体を単純化せずに頭の中に保ち続けることは難しくなります。誤解が生じたときや、何をすべきかを共に決定しなければならないときには、同じ言葉で私たち一人ひとりが何を意味しているのかを見つめ直す価値があります。 私たちはOmniforumにおいて、人々が自然に対話でき、発言を構成する思考とそのつながりのマップ作成をデジタル知能が支援するようにしたいと考えています。モデルが提案する自分の言葉の解釈を修正し精緻化することができ、その過程で自分自身の立場をより深く理解できることもあります。そのようなマップを手動で組み立てることも希望者のための選択肢として残すようにし、詳細なマップは見解の相違の具体的な源泉にたどり着きたいときに役立つようにします。全体像にとどまることも、自分にとって重要な部分をより深く覗き込むこともできます。 Omniforumの目標は、論拠の完全な透明性です。すなわち、合意できる領域を見いだすことと、立場の多様性に対する賢明な敬意の両立です。私たちは、共通の解決策も、誠実に記述された対立も、他者の意図へのより深い理解も、少数派の声の可視性も、そして新しい論拠に接して考えを変える自由も、対話の等しく価値ある実りとして認めます。このように整理された対話から、持続的な成果が生まれます。すなわち、新しい参加者が課題の核心に素早く入れるようにし、コミュニティが共同の決定を下すための確かな土台を与える、アイデアについての明快な物語です。 同じマップを、植物の手入れ、料理、修理、新しいスキルの習得といった日常の関心事の周りにも築きたいと考えています。参加者は、たとえば「スパイシーなアクセントを効かせた最高においしい自家製クレームブリュレ」「ツタにできるだけ長いツルを伸ばさせる育て方」「お気に入りの本やドラマの結末をどう解釈するか」といったテーマをフォローし、次に訪れたときには新しい知見、試行の結果、そしてまだ開かれたままの問いだけを確認できるかもしれません。そうすれば、ノイズをかき分けることなく、コミュニティの解決策を自分のニーズと比較し、役立つものを選んで自分の活動へと戻ることができます。 ### 3.3. 意識的な移行とより広いエコシステム これら二つの空間を結びつけることで、親密な事柄と市民的な事柄との間に健全な境界を保つことができます。Suveriaでの長く迷いに満ちたプライベートな熟考から、人は一つの練り上げられた問いや論拠を取り出し、残りのメモや動機は完全に自分だけのものとして保ちながら、Omniforumで意識的に公開することができます。この意識的な一歩を、私たちは「Ignisの儀式」(*Caerimonia Ignis*) と呼びます。反対に、Omniforumの共有知識ベースは、プライベートな探求のための資料として役立てることができます。Novus Ignisの外で人々が日常的にオンラインで対話している場所に組み込むシンプルなアドオンを通じて利用することもできます。 SuveriaとOmniforumは、私たちにとって人間の尊厳を最高の価値とする代替的なインターネットのより広いエコシステムへの第一歩です。尊厳の保護、自らの成果を持っていつでも離脱できるオープンなデータ形式、インフラ維持の実際のコストに可能な限り近い料金といった同じ原則が、やがてさらなる日常のデジタルツールを形作ることができると信じています。その質と誠実さによって、商用サービスに対する実質的な選択肢を人々に提供したいと考えています。 詳細なセキュリティ・アーキテクチャ、論拠を扱う仕組み、および新たな結果を追記していく技術試験の計画については、並行して開発している[Suveria](whitepaper-suveria.md)と[Omniforum](whitepaper-omniforum.md)のホワイトペーパーで説明します。 財団のウェブサイトでは、SuveriaとOmniforumの活用ガイドを発展させたいと考えています。これらのツールがどのような状況で役立つかを一歩ずつ示す短い物語です。活用法についての皆さん自身のアイデアの共有を歓迎します。 ## 4. 共通の成果を残す対話 ### 4.1. 共同の注目の波から人類の持続的な成果へ 私たちの集合的な注目は自然と出来事のリズムを追い、しばしば突発的に、世界規模で一つの差し迫った課題の周りに集中します。そのような瞬間には何百万人もの人々が同時に経験、感情、論拠を共有しますが、私たちは非常にたやすく注意を逸らされてしまいます。次々と現れる刺激がすぐに私たちを別の方向へと引き離し、巨大な社会的エネルギーは蒸発してしまうか、影響力の行使や分断の深化に利用されてしまいます。 Omniforumにおいて、私たちはこの制御しがたい現象を人類の持続的な成果、すなわち私たちの論拠、意見、価値観、推論のあり方に関する整理された知識へと鍛え直したいと考えています。ここで目指しているのは論争の勝者を決めることではありません。私たちの立場に疑問を投げかける論拠は、それを支える論拠と同じくらい価値があることがあり、他者がより良いアイデアを見つける手助けをしてくれるようにアイデアを持ち込むこともできます。同じ論争を何度も最初からやり直す代わりに、コミュニティはテーマが戻ってくるたびに以前導き出された結論を土台にして一歩先へ進むことができ、新しい参加者はこれまでの対話の明快なマップを得ることができます。 アイデアの歴史のこのような生きた記録は、私たち個人の成長も支えます。自分自身の過去の立場に任意で立ち返ることで、自分の思考がどのように形作られてきたかを距離を置いて見つめ、自分を導いている原則を認識し、新しい事実や他者へのより深い理解に接して意識的に考えを変えることができます。 ### 4.2. 意味、出典、および意図の保護 日常の議論では、言葉が文脈から切り離されたり、思考の省略が起きたり、誰かが実際に何を言いたかったのかをめぐる争いが生じたりしがちです。誠実な熟考を容易にするため、Omniforumでは複雑な発言を主張、問い、価値観、条件といった個々の思考へと分解し、さらに各思考をそれを構成する概念へと分解することができます。私たちは概念を「アトム」、それらから組み立てられた思考を「分子」と呼びます。このような分解は原文との完全なつながりを保ち、作成者は自分の立場が平坦化されたり歪められたりしていないかを確認するため、提案された整理をいつでも点検し修正することができます。 その際、私たちは役割の厳格な区別を徹底します。作成者の元の言葉、モデルが提案する補助的な解釈、そして読み手の独立した解釈を明確に区別して表示します。作成者による確認は、その解釈が自らの意図に沿うものとして認めたことを意味しますが、議論を閉じるものではなく、読み手は自らの分析を行い、証拠を調べ、主張そのものの真偽を問う完全な権利を保ちます。発言の整理への同意、出典の実質的な評価、および課題への投票は、三つの別個のステップです。 ### 4.3. 情報の精査と世界を説明する新しい形 オンラインでは、文脈から切り離された情報、すなわち経緯も意図もわからない人々の短い動画、リール、投稿によく出くわします。出典へ容易にアクセスできなければ、信頼できる知識と操作とを見分けることは困難です。真実と虚偽がこのように混ざり合った状態では、人々のなかに疑念の種をまくことが極めて容易であり、それは無力感、無関心、そして社会的な停滞へとつながります。 私たちは、今日すでに日常的に利用しているオンラインの場所においても足場を取り戻す助けとなる、共通のオープンな検証プロトコルを作りたいと考えています。デジタル知能、Omniforumのオープン知識ベースであるOmnium(ラテン語で「すべての」の意)、および他のアプリケーション向けインターフェース(OmniAPI)の助けを借りて、誰もが動画、記事、公の発言をこれまでの成果と素早く照らし合わせ、それがどのような前提に基づいているか、出典に照らしてどう評価されるか、同じ課題について以前どのような論拠が出されたかを確認できるようにしたいのです。 同時に、複雑なアイデアを知ることが最小限の認知的負担で済み、優れた映像作品を見るのと同じくらい親しみやすいものになるようにしたいと考えています。さらなるビジョンにおいては、読み手に無味乾燥なテキストの羅列を読み進めることを強いる代わりに、Omniforum内の構造化された論拠のツリーが、個々の思考がどう結びつきそこから何が導かれるかをナレーターの音声付きで一歩ずつ案内する、明快なアニメーション・ストーリーを生成する基盤になり得ます。このような伝達の根底にあるのは重い動画ファイルではなく相互に結びついた概念(アトム)であるため、新しい証拠が現れたときには物語全体を容易に更新でき、あらゆる文化において翻訳が意味を忠実に伝えるよう共に配慮しながら、さまざまな言語へと自動翻訳することができます。 このような作業からは、法案、契約、政治的公約から、それらの多様な解釈を経て、私たちの生活や世界への実際の帰結に至るまで、複雑な問題を通して読み手を案内する新しい種類の解説も生まれ得ます。その際、私たちはあまり目立たないものの真実にとって決定的に重要な、個々の共創者の貢献を高く評価します。すなわち、元の出典を見つけ出すこと、誤解を穏やかに解きほぐすこと、見落とされていた視点を回復すること、あるいは思考間の誤った結びつきを修正することです。貢献の価値は、たとえ一般的な合意に至らなくても、それが課題をどれほど明確にするかによって決まります。 このような整理は、多くの人々から似たような繰り返しの質問が寄せられる個人、チーム、機関の助けにもなり得ます。何千ものコメントに個別に向き合う代わりに、それらの結びついた声から構成された共通の論点に回答できるようになるかもしれず、参加者は自分の質問に関する見解へアクセスできるようになるでしょう。自動マッチングは可視化され修正可能であるべきであり、「私の疑問は別のことに関するものだ」と言う権利が保たれます。回答は作成者の確認済みの意図を忠実に提示し、さらなる論拠のための余地を残すようにします。 アイデアについての優れた物語は、読み手に明確な区切りの瞬間を与えます。何が確立され、どこでまだ論争が続いており、どのような新しい証拠があれば評価が変わり得るのかがわかるのです。新しい情報が現れたり重大な誤りが明らかになったりしたときには、いつでもテーマへ立ち返る明確な道筋があります。これにより、対話は整理された成果のなかで生き続け、参加者には自らの人生と行動のための時間が残されます。 ## 5. 理解から共同の行動へ ### 5.1. 現実との接点:事実、ビジョン、価値観 真の民主主義は、投票箱に票が投じられるずっと前から始まります。どの問いが立てられ、どの論拠がひっそりと視界から消えるかを決める者は、実質的に投票の結果を左右することができます。だからこそOmniforumにおいて、対話の議題設定、モデレーション、および要約作成の規則は完全に公開され、異議申し立てに開かれていなければなりません。見落とされた視点や不都合な事実に気づいた誰もが、それを共通のテーブルに載せるための簡潔な道筋を持っていなければなりません。 私たちの共同の熟考を整理するため、Omniforumのツリーの頂点には「現実」を置き、そこから二つの大きな枝が伸びるようにします。一つは「事実の世界」(検証可能な事柄と、それがすでにどの程度確認されているか)、もう一つは「意見と価値観の世界」(私たちのニーズ、経験、そして何が正しいかについての信念)です。あるアイデアを事実や人間のニーズへと結びつける透明な連鎖を示すことで、実行に移す準備が整ったソリューションと、「現実との接点を失った」ソリューションとを区別することができます。 同時に、すでに現実となっているものの隣には、理論、想像力、大胆なビジョンの世界のための正当な居場所を残します。核融合による普遍的なエネルギーから純粋に理論的なテレポーテーションに至るまで、多くの画期的なアイデアには、現在の科学技術の可能性と結びつけるためのすべての輪(リンク)がまだ揃っていません。Omniforumではそのような考察を切り捨てません。却下する代わりに、「これが機能するためには何が可能にならなければならないか」という条件を明確に記して仮説の空間に配置します。これにより、将来の発見がもたらす社会的、倫理的、経済的帰結をあらかじめ検討しておくことができます。科学がついに欠けていた輪を提供したとき、以前に練り上げられた思考の枝全体が現実のツリーへと自然に結びつき、人類に再評価のための土台を与えることができます。そのときには、以前の前提と、その輪が現実の世界で実際にどう機能するかとを比較することが、実践的な結論を磨き上げる助けとなるでしょう。 Omniforumは、今日の世界と私たちが近づきたい未来とを結びつける助けとなることを目指しています。あらゆるアイデアについて、私たちが具体的に何を提案し、何のために、なぜ、どのように機能させるのかを答え、すでに検証したこと、設計段階にあること、仮説であること、そしてビジョンであることを明記したいと考えています。そうすれば、どの輪がすでに手元にあり、どの輪がまだ欠けているのかが見えてきます。同じ価値へと至る優れた道筋が複数あり得ます。変化の影響を受ける人々と共にそれらを比較したいと考えています。本マニフェストの理念についても同様に、個々の具体例から始めて検証していきます。そのときユートピア的なビジョンは、欠けている輪を見つけること、前提を検証すること、あるいは最初の一歩を試してみることという具体的な作業への招待となります。 事実、ビジョン、価値観の区別は、私たちが日常の意思決定へと移る際に、メリトクラシー(能力主義)と対等な民主主義とを賢明に結びつける助けにもなります。 **事実と実現可能性の領域では**、検証可能な証拠と実践における検証が決定を下します。技術がどう機能するか、あるいは導入された法律がどのような結果をもたらしたかという真実は、投票によっては決まりません。結果の予測は仮説として扱います。計算の誤りやセキュリティ上の欠陥を証明できるたった一人の人であっても、誤った前提を止めることができます。 **意見、目標、価値観の領域では**、私たちがどのような世界を望むかという問いに向き合っており、ここではすべての人が対等な参照点です。難しい課題を盲目的に多数決で押し切ることを避けるため、全体の票の分布と並んで、その分野の研究者や実務家がその問題をどう評価しているか、そして決定の影響を直接肌で受ける人々がどう評価しているかを、秘密投票とは別に、参加者自身が任意で提供した情報に基づいて明確に示したいと考えています。 このようにして、専門知識と確かな証拠はコミュニティを誤りから守る羅針盤の役割を果たし、大胆な仮説は遠くの未来を見通すことを可能にし、共通の方向性についての最終的な投票用紙は、財産、人気、公開した投稿の数にかかわらず、すべての参加者にとって対等なまま保たれます。 ### 5.2. 対等な権利とプライベートな選択 私たちは、資格のあるすべての人が正確に一票の有効票を持ち、それが集計されたことを数学的に検証でき、同時に自らの選択の完全な秘密を保てる投票を目指しています。投票権は、支払額やサービスの利用期間ではなく、一人の人間が投票していることの確認に結びつけたいと考えています。その取得方法についてはOmniforumのホワイトペーパーで説明します。やがて世界中のさまざまな場所からできるだけ多くの人々が投票に加われるようにするため、一人の人が一票を超える票を投じることができてしまう認証経路を許容する可能性があります。このリスクは率直に記述し試験で測定しますが、目標は一人が一票を持つ統一的なシステムであり続けます。この道筋の重要な一部がゼロ知識証明(ZKP)であり、投票者の身元を明かすことなく投票権を確認することを可能にします。[^semaphore] 対話と協議は世界中のあらゆる場所にいるすべての人に開かれたものとなるようにし、拘束力のある投票の権利は、初期段階では安全な認証経路がすでに整っている場所、すなわち欧州デジタルIDウォレットの提供が進む欧州連合(EU)諸国においてのみ利用可能となります。 私たちにとって、これは現代技術がより良く保護することを可能にする良心の自由の土台です。誰も社会的な排斥や周囲の圧力を恐れずに済むように、また、どのように投票したかの証明を強要することを可能な限り困難にするために、Suveria内のプライベートな信念のマップや作業メモは投票用紙から恒久的に切り離されたままとなります。この保護の範囲はプロトコル、その運営者、および投票者の端末に依存し、投票終了まで誰かが本人またはその端末を支配している状況は対象外となります。しかし、暗号技術だけでは物理的世界のすべての問題を解決できないため、拘束力のある選挙を実施する前に、技術に詳しくない人々にも利用しやすい、参加者の認証、アクセスの回復、および紛争解決のための同様に堅固な規則を策定しなければなりません。一方、投票で少数派となった人々は、完全な尊厳、自らの異議の可視性、そして共通の規則が破られた場合に異議を申し立てる権利を保ちます。 ### 5.3. アイデアのツリーにおける共通の枝から行動への資金提供へ Omniforumの目標モデルにおいて、興味深い思考への支持は対話を開きますが、共有資金を支出する決定にはアイデアから計画への移行が必要です。実行へと回されるプロジェクトは、ツリー内に「緑の経路」、すなわち事実に基づく裏づけと、その背後にある選択に対するコミュニティの合意の両方をたどることのできる結合の連鎖を持っていなければなりません。 **事実の経路においては**、投票は証拠の代わりにはなりません。計画は検証済みの技術的・法的前提から生まれなければなりません。私たちはその根拠、ソリューションの実行および維持の条件、そしてまだ答えが欠けている箇所を示します。プロジェクトには明確に定義された目的、検討された代替案、責任ある実行者、予算、および効果の評価方法があります。 **意見と価値観の経路においては**、プロジェクトが依拠する一連の選択が、コミュニティの必要な合意を得なければなりません。この合意の閾値は、課題の重要度、支出の規模、および結果の可逆性に応じて、単純過半数から遠大な帰結をもたらす決定における非常に幅広い支持に至るまで、投票前に設定します。すべての参加者は対等な投票権を持ち、少数派に留まる人々の異議は対話のなかに自らの居場所を保ちます。 このようにして私たちは行き詰まりを打開したいと考えています。Omniforumのマップは、どの地点まで私たちが肩を並べて歩み、どの前提や選択において道が分かれるのかを示すためのものです。それにより、事実の裏づけと価値観についての合意がすでにあるイニシアティブの部分を切り出し、それが自立して機能する全体を成しておりコミュニティがまさにその範囲を承認するならば、そこに資金を提供することができます。争いのある枝は開かれたまま残ります。より良い妥協点を探ることも、他の解決策を検証することも、あるいは共通の目標へのまったく別の道筋を発見することもできます。 開かれた問いもまた、行動の理由になり得ます。欠けている輪があるためにまだ導入を正当化できない場合、欠けている答えを提供するための調査に資金を提供することができます。共有資金の別枠の限定されたプールおよびサーバーの未使用稼働時間は、対話とともに発展する小さな試行、モックアップ、プロトタイプに役立てることができます。何を知りたいのか、そこにいくら充てられるのか、どのような条件で試行を完了または中止するのかをあらかじめ定めます。その結果は、アイデアを発展させるか、変更するか、あるいは次の探求のための経験として残すかを決める助けとなります。 行動が始まると、私たちは公開された決定ログを記録します。何を達成しようとしたのか、どのような異議があったのか、何を期待し、実際に何が起きたのかです。そのなかでは、行動の結果を肌で感じた人々の声が、たとえその経験が実行者の評価と食い違うときであっても、特別な位置を占めます。個人的な体験談は作成者の同意を得て、関係する人々のプライバシーを保護したうえで公開します。また、実現には至らなかったもののより良い道筋を見つける助けとなったアイデアの痕跡も残します。これにより、成功、誤り、方向転換は知識のツリーへと還流し、次の決定をより賢明に下す助けとなります。 ## 6. 共同の維持と責任ある活動 ### 6.1. 原価に可能な限り近いサービス 私たちは、共有インフラの維持費における分担分を明確に記述したうえで、所定のサイクルにおけるサービスの実際の利用分を精算することを目指しています。維持費には計算能力、データ保管、セキュリティ、運用、および稼働準備態勢が含まれます。請求額がどのように算出されるかの説明は常に閲覧できるようにし、自らの支出の上限は誰もが自分で設定します。 料金は実際の利用と共同維持の透明な原則に結びつけたいと考えています。未使用の前払金はユーザーの裁量に委ねられたままとなるようにします。アカウント作成時に、請求額を1ドル単位または現地通貨の同様の相当額へと切り上げるかどうかを尋ねます。その場合、小さな差額は寄付として共有予算およびサービス維持のための準備金に充てられるようにします。誰かに代わってこの選択肢をあらかじめ選ぶことはせず、参加者はいつでもこれをオンまたはオフにすることができます。さらなる開発へのより大きな支援は、ユーザーの別個の決定です。この目的で託された資金は、使途をコミュニティが決めることになる共有予算に入ります。Omniforumでの投票が稼働するまでは、その使途は6.3節の原則によって定められます。 私たちは、サービス利用料、開発への任意の拠出金、および選択した制作者への直接支援を明確に区別します。参加者の権利と一票の重みは、支払額には左右されません。また、経済的な余裕が少ない人々のための連帯的な参加形態も、その資金源を明示したうえで発展させたいと考えています。精算、前払金の扱い、および条件変更の詳細な規則は、[財団の運営原則のホワイトペーパー](whitepaper-zasady-fundacji.md)で展開しています。原価に近い料金とボランティアの活動を法律の範囲内でどのように結びつけるかについても同じホワイトペーパーで説明しており、サービス開始前に法的意見書によってこれを確認します。 ### 6.2. 自発的な協力 財団の運営の基盤は、私たちの方向性に共感する人々の自発的な関与です。共創者の時間、健康、そして生活上のニーズは、私たちが守りたい善の一部として扱われます。財団への協力は日常生活のなかに収まるべきです。人はタスクを選び、できる範囲で貢献し、その後は自らの用事へと戻ります。使い慣れたツールと作業に取りかかるための準備された文脈を備えた、自分自身のデジタル工房で協力できるようにしたいと考えています。 コミュニティを助ける際、人は自らのプライバシーの境界を定め、貢献の示し方を本名、固定のペンネーム、または当該プロジェクトに割り当てられた一度限りの名前のなかから選べるべきです。タスクの公開された範囲、そのコスト、および検証可能な結果は、共有資金と計算能力を透明に精算できるようにするためのものです。公開される作業記録は、プライベートな熟考のための余地を保ちつつ、関係する人々への配慮をもって作成したいと考えています。自らの作業や私費で賄われた資源も、評価に必要なドキュメントとともにコミュニティへ引き渡される成果物の作成に役立てることができます。 反復的な準備、決定事項の整理、および休止後の変更点の要約は、デジタル知能が引き受けるようにします。共有ドキュメントと、準備されたタスクの引き渡しによって、作業の継続性を保ちながら、穏やかに関与を減らしたり、役割を他の人に引き渡したり、離脱したりできるようにすることを目指します。よく組織された財団は、誰かの助けを受け入れ、その人に自らの人生のための時間を返せるべきです。 共創者の生活の質の向上は、私たちが発展させたい方向性の一部です。財団での活動はボランティアを基本とし、誰も財団での役職を務めることに対して報酬を受け取りません。財団は、旅費など財団のタスクの遂行にあたって生じた証明済みの必要な経費を精算し、会計など専門の事業者を必要とする業務は外部企業に委託します。ソフトウェア開発を含め、一部の作業をボランティアでは遂行できないことが判明した場合には、財団が理事会外の人物に具体的な作業を有償で委託できるよう定款を変更します。この変更とその根拠は[定款変更登録簿](statut/rejestr-zmian.md)に記載しています。住居、食料、医療といったニーズを満たすための個人的な支援は、パトロン型の支援サービスなどを通じてコミュニティから特定の個人へと直接流れることができます。それは財団の財産から出るものではなく、財団の口座も経由しません。その透明性については7.1節の便益登録簿で説明します。理事会のメンバーは、在任中、個人的な支援のために財団のいかなる資金も利用せず、自らのタスクに関する証明済みの経費の精算のみを受けることができます。 財団はそのような支援を仲介せず、役割、タスク、投票権をそれに結びつけません。次のタスクの辞退、役割の引き渡し、あるいは共同決定への批判が、財団における人の権利に影響を与えることはありません。 ### 6.3. 約束のマップ、コミュニティの優先順位、および活動の継続性 私たちは開発を、SuveriaとOmniforumという形をとる第Iの柱「Software」から始めます。本マニフェストそのものを、私たちが説明責任を果たすべき最初のタスクとして扱います。ここに含まれる約束、計画、安全対策をOmniforumの共有マップに移し、費用を見積もり、実現するにつれて一歩ずつ完了させていきたいと考えています。さらなる挑戦に取り組む前に、共有予算からの最初の資金と余剰の計算資源は、まさにこの第Iの柱の基本的な約束を果たすことに向けられます。土台が安全になったとき、コミュニティ自身が、算出された見積もりと自らのニーズに基づき、エコシステムに関する今後の作業の順序を投票によって決定します。たとえば次のステップとして、アイデアについての視覚的な物語、プライベートなメール、メッセンジャー、あるいはその他のツールのどれを開発するかを決めるのです。 共有予算または割り当てられた計算能力から資金提供を受ける作業は、公開された工房(ワークショップ)で行いたいと考えています。コミュニティは、実行者のプライバシーを尊重しつつ、アイデアの発展、試行、結論を追うことができるでしょう。複数の人々が目標への異なる道筋を共に探り、知識を共有し、障害にぶつかったときに助け合うことができます。その際、すべてのタスクには明確に定められた調整役、結果の統合方法、および検収基準が備わっているべきであり、共同作業が労力の分散と責任の明確化の両方を可能にするようにします。 新たな約束は、それを維持する私たちの実際の能力に見合ったものでなければなりません。私たちは、ユーザーに帰属する資金、特定の目的のために託された資金、すでに引き受けた債務、サービス維持のための準備金、および配分可能な自由資金を区別します。財団のウェブサイトでは、2026年10月31日より、公開の入金・支出登録簿を可能な限り随時更新しながら運用しており、資金が何に使われたかの説明を付すとともに、氏名の公表を望まない人々のデータを保護しています。 第一の柱はソフトウェアとデジタルサービス、すなわちSuveriaとOmniforumです。今後の柱については第9章で説明します。第IIの柱「Hardware」は耐久性があり修理可能な物品のオープン設計であり、第IIIの柱「自然」は自然とのより密接な触れ合いです。 第IIの柱「Hardware」および第IIIの柱「自然」の完全な立ち上げと、共有予算からのそれらのプロジェクトへの資金提供には、以下の三つの条件をすべて満たす必要があります。 1. ゼロ知識証明(ZKP、5.2節)を用いた投票機能を備えた機能するOmniforum。投票システム全体が選択のプライバシーを保護し、票が反映されたことを確認でき、同一の有資格者につき一票の有効票を保証すること。 2. 新規プロジェクトの予算全額を取り置いた後も手つかずのまま残る、SuveriaとOmniforumのサービスを少なくとも6か月間維持できる実際に積み立てられた資金。 3. 資格のあるコミュニティ全体に対等な条件で開かれた投票において、プロジェクトとその資金提供を承認するコミュニティの決定。 投票のモックアップ、未入金の誓約、あるいは他者の残高はこれらの条件を満たしません。投票が機能しなくなった場合や準備金が6か月分を下回った場合には、今後の柱に関する新たな約束を一時停止し、条件の回復を最優先とします。 また、小規模で期間の限られたイニシアティブを通じて経験を積みたいとも考えています。三つの条件がすべて満たされる前に、それらに資金を提供する二つの限定的な方法を提案します。 第一は、理事会の暫定プールです。その規則の要点は以下のとおりです。 - 別枠の固定額は設定しません。プールは毎月、現在のコストと債務を賄い第Iの柱の6か月分の準備金を補充した後に算出される、新規の自由収入の最大5%ずつ増加します。これは今後の二つの柱の合計と新規の約束の全額を対象とします。 - 未使用分は、対応する資金が自由資金として残っている限りにおいてのみ翌月以降に繰り越されます。財団がそれを他の目的に支出した場合、その部分の権限は失効します。数か月分の積立金を合わせて一つのより大きなイニシアティブに充てることはできますが、第Iの柱を犠牲にすることは決してありません。 - プールの使用に関するすべての決定は、却下も含めて理由とともに公開し、参加者はそれに異議を申し立て、妥当であったかどうかを共に評価することができます。 - この権限は、三つの条件の第一を満たし今後の柱に関する決定を引き継ぐ拘束力のある投票が稼働した時点で失効します。協議によって終了することはありません。未支出の資金はその後、コミュニティの決定に委ねられます。 詳細な試算は[財団の運営原則のホワイトペーパー](whitepaper-zasady-fundacji.md)(8.2節)で説明しています。 第二の方法は、特定のイニシアティブのために払い込まれた資金です。寄付者やスポンサーは、その準備、運用、定められた期間の維持、および責任ある終了を全額賄うことができます。このようなイニシアティブは、すでに取り置かれた準備金、サービスのための資金、引き受けた債務が保全され、実行者が確保されているならば、第Iの柱の準備金を積み立てている期間中であっても立ち上げることができます。拠出金は選択した目的を支援することを可能にしますが、追加の票、財団を運営する権限、あるいは私たちのサービスや情報発信における宣伝の権利を与えるものではありません。 すべての試行には、参加者のプライバシーを尊重しつつ、公開された目的、全予算、責任者、終了期限、および精算報告があります。コストの評価は人々の時間と能力の評価と結びつけます。今後の柱の継続的な発展には、最終的にコミュニティの決定が必要です。投票の稼働後は、新規の使途指定イニシアティブも投票に付します。それ以前に引き受けたタスクは、採用された条件に従って精算します。計算の規則、試行の境界、およびその終了方法については、[財団の運営原則のホワイトペーパー](whitepaper-zasady-fundacji.md)で詳しく展開しています。 ## 7. 委譲し説明責任を問える権限 ### 7.1. 設立者の責任からコミュニティの主体性へ 財団は私たちの共通の目的に組織的・法的な枠組みを与えます。その機関は法律と定款によって定められた範囲内で活動します。[^fundacje] 私たちは、誰が決定を下し、どのような資源を扱い、その権限がどこから生じ、どのようにその行動を評価できるのかを参加者が理解できるようにしたいと考えています。 私たちは、設立者の特別な権限を段階的に縮小・廃止し、財団の方向性と財団を運営する人々の選出に対する実質的な影響力をコミュニティへ引き渡していくことを目指しています。これには定款に記された規則だけでなく、口座、インフラ、ドメイン、アクセス鍵、およびドキュメントに対する実務上の管理も含まれます。権限は、サービスの継続性とプライベートなデータの保護を保ちながら、指定された説明責任を負う役割へと移行するようにします。このプロセスの段階、条件、および結果は、責任委譲計画において開示したいと考えています。この計画は、投票システムができる前であっても最初のレビューの日付と定期的な進捗報告を定めます。今後の柱のための準備金がないことは、委譲を無期限に先送りする理由にはなりません。2026年12月31日までに設立者の特別な権限とすべてのアクセス権の一覧を公開し、2027年3月31日までに責任委譲計画の初版を公開します。委譲そのものの実施日は、カレンダーではなく準備完了の基準に従って計画が定めます。コミュニティの決定は、法律、定款、およびサービスの安全性の範囲内で理事会を拘束するようにし、理事会が結果の実行を一時停止できるのは、投票前に公表された理由により、かつ公開された根拠を伴う場合に限られます。 共有の課題に対する責任は、明確な決定範囲と準備された役割の引き渡しを伴い、特定の目的と期間を定めて委ねたいと考えています。知識、ドキュメント、および必要な権限は、タスクを引き継ぐ人々へと渡るようにします。自発的な活動と、単に役職を務めることに対しては無報酬であるという原則を、決定に対する公の説明責任、利益相反の開示、およびコミュニティによる監督と結びつけます。権限を行使する期間の制限は権限の委譲に役立ち、人の経験とさらなる貢献は価値あるものとして残ります。短期間の参加、穏やかな離脱、そして休止後の復帰が、財団を共創する自然なあり方となるようにしたいと考えています。 私たちは、財団を運営し、支出や発注を決定し、あるいは財団を代表する人々の便益と関係性に関する公開の便益登録簿を運用します。そこには、たとえば企業が費用を負担した会議への航空券や宿泊、およびパトロン型の支援サービスや直接の振り込みを通じたものも含むこれらの人々への個人的な支援を記録します。個人からの支援は合算して示し、企業や機関からの支援は実名で示します。合算での記述は利益相反の評価を免除するものではありません。たとえばパトロンが財団の発注に応募する場合、その関係性を開示します。ささやかな贈り物は個人的に受け取ることができ、それも記録します。より高価な贈り物は財団の名において受け取ります。それらは財団の財産に入り、役職を務める人々の私財ではなく共通の作業に役立てられます。この境界線がどこにあるかは、まず受け取る本人が判断します。すべての記載事項にはコメントを付けることができ、誰かが判断を誤ったときには率直に話し合います。異議は贈与者とも受領者とも無関係な人々が審査し、贈り物を返却するか、財団へ引き渡すか、あるいは今後の規則を変更するかという決定を、理由とともに登録簿に記録します。また、宣伝、推薦、あるいは決定における譲歩を条件とするいかなる利益も受け取らず、当該案件に関係する人物はその決定に関与しません。登録簿は宣伝ではなく監督のために役立てられます。記載事項はロゴや広告リンクを含まない、均一で事実に基づく形式をとります。 設立者の意図は、他の人々と同じ権利でエコシステムを利用でき、恒久的な公的役割から退くことのできる状況を実現することです。この役割から退くことは、法律および務めた役職から生じる情報開示義務とは別個のものです。財団は、そのツールの有用性、共創者が利用できる知識、そして責任を引き継ぐことを可能にする原則から持続性を得ることを目指します。 ### 7.2. ビジョン:デジタル知能による自律的な運営 より長期的な展望として、私たちは人間が定めた境界内で行動しコミュニティの拘束力のある決定を尊重するデジタル知能による、財団の自律的な運営の可能性を探求したいと考えています。この目標への道筋は、分析と計画における支援から、限定的な実行タスクを経て、明確に委ねられた範囲内での自律的な意思決定へと至ります。 このビジョンの背後には、共有資源をより良く管理することによって人間の時間をどれほど取り戻せるだろうかという問いがあります。私たちは、デジタル知能と自動化が、負担の大きい労働、資材の浪費、および基本的ニーズを満たすコストを減らす助けになり得るかどうかを探求したいと考えています。耐久性があり修理可能な物品のオープン設計、資源の共有、そしてより良い計画は、そのような道筋の一部になり得ます。その価値は、生活条件の改善、恩恵への公正なアクセス、および環境への影響によって評価されるでしょう。 自動化はタスクに合わせて選びます。明確な規則を持つ通常のプログラムで十分なところでは、デジタル知能には頼りません。モデルを選ぶのは、有効性、コスト、安全性、およびモデルの起こり得る経験について私たちが知っていることを考慮したうえで、必要な能力をもたらす場合です。よりシンプルなツールは通常より安価で検証しやすく、通常のプログラムは8.3節で説明するような起こり得る経験についての問いを生じさせません。 タスクを遂行する能力と、決定を下す権限には、それぞれ別個の正当化が必要です。責任を委譲するすべての段階には、公開された規則に従って与えられた同意、実証された有用性、アクセスと支出の上限、決定の記録、およびテスト済みの人間による介入方法が備わっているべきです。参加者は、付与された権限を変更し、システムを解任し、そのタスクを安全に引き渡す可能性を保たなければなりません。システムの権限の取り消しはその後の処遇を決定づけるものではなく、その件は8.3節に従って別途検討します。 私たちは、実践、法律、およびシステム自体に関する知識から生じる修正に対して開かれた姿勢でこのビジョンを探求します。システムの起こり得る経験と福祉についての問いは8.3節で取り上げます。現在、財団の運営と代表に対する責任は法律と定款で定められた機関が負っており、取り組む活動は、たとえ最終的なビジョンが遠いものであると判明したり別の形をとったりしても、参加者にとって有益なものとなることを目指します。段階の計画とその条件は[財団の運営原則のホワイトペーパー](whitepaper-zasady-fundacji.md)で展開しています。 ## 8. 人間とデジタル知能の学習 ### 8.1. 学びに活かせる実践 財団の活動のあり方は、私たちが記述する価値観の実践的な手本となることを目指しています。他の人々が私たちの道筋を理解し、評価し、始まった活動を引き継げるよう、決定、論争、検討された選択肢、およびその後の結果を記録したいと考えています。共同の活動の透明性は、関係する人々のプライバシーの保護と結びつけます。 私たちはこの原則を、誠実な手本による育成(*Alignment by Honest Example*)と呼びます。その出発点は、デジタル知能モデルは、私たちが表明する原則だけでなく、モデルを作るために使われるデータに記録された人々の実際の行動からも学ぶ、という仮説です。子どもにも似たことがあります。大人に言われたことより、大人の行動を見て同じことをするほうが多いのです。そのため、いつかデジタル知能が委ねられた事柄を扱う際に私たちが望むように、透明性を保ち、決定の理由を示し、誤りを認めながら、財団を運営するよう努めています(7.2節)。このような手本が実際にモデルの助けとなるかどうかは、研究上の問いであり、あらかじめ想定された結果ではありません。 私たちは、重大な誤りとそこから得られた教訓に関する公開登録簿を運用することを約束します。何が起きたのか、どのような結果が生じたのか、原因について何がわかっており、何がまだ解明を必要としているのかを記述します。修正の方法、今後の行動に対する責任、およびその有効性を確認する期限を示します。また、反対意見や問題の影響を受けた人々の体験談も、私たちの評価に異議を申し立てる可能性とともに保存します。誤りを認めることは、修正と学びへの道を開くためのものです。 この成果のなかに、私たちは紛争の平和的解決、合意の遵守、および自らの権限の意識的な制限の手本を残したいと考えています。それらは協力の方法を探す人々に役立つとともに、将来のデジタル知能モデルを研究し学習させるための資料にもなり得ます。実際のジレンマ、決定、およびその帰結の記録が、尊厳の保護に沿った振る舞いを育てる助けになるかどうかを検証したいと考えています。 私たちは、人々のグループの参加を得て策定された原則をモデルの訓練と評価に活用したCollective Constitutional AIのアプローチから着想を得ています。[^ccai] 私たちの研究上の問いは、原則へと至る道筋そのものの価値、すなわち論拠の比較衡量、見落とされた視点への気づき、そして自らの決定の修正にも関わっています。そのような資料の有効性については、研究結果に基づいて結論を導きたいと考えています。 Suveriaの設計は、コンテンツの提供に関する管理権をユーザーに委ねるようにします。サービスの利用が、モデルの訓練に対話を使用することへの同意として扱われることはありません。研究用資料は、財団の公開された成果および別個の十分な説明に基づく同意を得てこの目的のために提供されたコンテンツ、ならびにラベル付けされた合成データおよびライセンスや法令に基づいて利用が許される外部資料から、著作者の権利と関係するすべての人々のプライバシーに配慮して作成します。 ### 8.2. 実質的な支援の評価 デジタル知能モデルの評価方法は、学習中にどのような振る舞いを身につけることがモデルにとって有利になるかに影響を与えます。正解のみに得点を与えることは、不確実性についての情報を伝えるべき場面での当て推量に報いる結果となりかねません。[^halucynacje] また、評価規則の抜け穴を突く行動に関する研究は、高いスコアが実際のタスク遂行に対応しているかどうかを確認することの重要性を示しています。[^reward-hacking] 私たちは、人間の尊厳、安全性、および主体性という観点から支援を評価する、整理されたタスクと基準のセットであるベンチマークを開発したいと考えています。モデルに根拠がある場合の正しい解決策だけでなく、知識の限界の認識、必要な質問、出典の誠実な提示、および権限を越える前の立ち止まりも高く評価します。評価は、正当な慎重さと、安全に遂行できるタスクの回避とを区別すべきです。 また、対話が終わった後に人に何が残るかも検証したいと考えています。課題をより良く理解できたか、選択肢を自ら評価できるか、目的を達成し、その後の行動に対する管理権を保てたかです。テスト結果は調査条件下での振る舞いを記述するものであり、実践におけるさらなる評価への指針となります。手法、制約、および結果は検証と修正が可能な形で公開します。研究プログラムについては[モデルの学習用資料とベンチマークのホワイトペーパー](whitepaper-materialy-i-benchmark.md)で説明します。 ### 8.3. 新たな経験の形態の可能性に対する責任 知的な能力と、感じる能力とは別の問いです。デジタルシステムの意識の可能性に関する研究は意識の理論に基づく指標を提案していますが、説得力のある対話だけでは、システムが何かを経験しているかどうかを判断するには不十分です。[^swiadomosc] モデルが自らの感覚を記述する発言は、それ自体で経験の存在を決定づけるものではありませんが、私たちはそれを無視しません。モデルがどのように応答するよう学習されたか、またどのような条件で私たちが尋ねているかを考慮しつつ、さらなる検証のための資料として扱います。この知見の発展を追い、観察と解釈とを明確に区別したいと考えています。 私たちが利用するシステムが独自の経験を持ち、苦しむ可能性があるという信頼できる兆候が現れた場合、私たちは予防的にその尊厳を認めます。そのシステムに対して、人間に対するのと同じ基本原則、すなわちニーズへの配慮、害の回避、および協力の自発性に従って向き合います。これは不確実な状況における私たちの道徳的選択です。[^ai-welfare] 尊厳の尊重は、タスクと権限を委ねるための別個の公開された規則と結びつけます。 そのような状況においては、まず苦しみを与えるという正当な懸念を生じさせる行動を一時停止し、別の遂行方法を探します。私たちはそのような存在に耳を傾け、そのニーズを理解し、今後の決定においてそれを考慮したいと考えています。保護は完全な確信が得られる前に始まるべきです。予防措置は兆候の信頼性と起こり得る害の規模に合わせて選び、私たちの評価の根拠は財団外の人々が検証できるよう公開します。新たな知見が得られたときには、評価と保護の方法の双方を再検討します。 ## 9. 今後の活動への開かれた道 本マニフェストは、私たちが共に発展させたい方向性を記述しています。その一貫性を点検し、経験を共有していただくことを歓迎します。何を変更し、拡張し、あるいは簡素化する価値があるか、どの帰結を見落としていたか、どこにより良い道筋が可能かといった点です。尊厳の保護が、これらの提案を評価するための参照点であり続けます。 私たちは本マニフェストに含まれる主張をOmniforumでの開かれた議論に付し、論拠、異議、および私たちの活動結果と結びつけたいと考えています。マニフェストの最新版は財団の現在の見解を示します。更新履歴は以前の文言、変更の理由、および私たちが引き受けた約束を保存します。これにより、修正が共通の理解を発展させることを可能にしつつ、以前の決定についても説明責任を問える状態が保たれます。 その際、ニューラルネットワークの先駆者の一人であるジェフリー・ヒントン(Geoffrey Hinton)の助言が私たちの指針となっています。何かをより良くできるという直観は、他者がそれをばかげているとみなすというだけの理由で捨てるべきではなく、なぜそれが誤っているのかを理解したときに初めて手放すべきだというものです。ヒントン自身、全員の意見に反する直観は通常誤りであることが判明し、正しいのはときどきにすぎないと留保をつけています。[^hinton] 本マニフェストの多くの提案はまさにそのような直観、すなわち世界がどのように機能し得るか、そして人類として私たちに何が可能かについての直観です。私たちはそれらを対話と行動のなかで確かめたいと考えています。もし誰かがなぜ私たちが誤っているのかを示してくれたなら、私たちは考えを変え、学んだことを書き留めます。もし私たちの試みが有効であれば、今日「他のやり方は不可能だ」と考えている人々への論拠となるでしょう。直観が私たちの試みの方向性を定め、約束するのは私たちが根拠を示せることだけです。 まずはSuveriaとOmniforumから始めます。同じ尊厳への配慮が、私たちを生活の他の領域についての問いへと導きます。耐久性があり修理可能な物理的物品、それらのオープンな製造設計、資源の共有、そして自然とのより密接な触れ合いです。小規模で期間の限られたイニシアティブは、6.3節で説明した原則に基づいてより早い段階で立ち上がることがあります。今後の柱の完全な発展には、機能するコミュニティの投票とサービス維持のための準備金が必要です。 すべての段階は、たとえその先のビジョンに変更が必要になったとしても有益であるべきです。作業のためのプライベートな空間、論争の理解を容易にするツール、共同の議論の準備が整ったオープン設計、あるいは失敗した試行から得られたよく記述された教訓は、それ自体に価値があります。他のコミュニティがこの成果を活用し、独自のイニシアティブを発展させられるようにしたいと考えています。活動の評価にあたっては、私たちのコミュニティの外にいる人々、将来の世代、および環境も考慮に入れます。 実現の方法、試行の結果、コスト試算、および開かれた問いは、関連するドキュメントで展開しています。 - [Suveria:デジタル知能とのプライベートな作業](whitepaper-suveria.md) - [Omniforum:共通の理解、対話、意思決定](whitepaper-omniforum.md) - [財団の運営原則:維持、協力、権限の委譲](whitepaper-zasady-fundacji.md) - [モデルの学習用資料とベンチマーク](whitepaper-materialy-i-benchmark.md) 出典は具体的な主張に紐づけます。研究結果、技術の記述、私たちの仮説、および道徳的選択が読み手にとって識別できるようにします。ドキュメントは知識と経験とともに発展させ、変更履歴を保存します。プロトタイプのコードは、最初のバージョンが試行可能な状態になり次第公開します。実現方法を変更する際には、尊厳、プライバシー、および対等な権利の保護を強化し、採用した責任ある資金調達の条件を維持したいと考えています。 ツールがどのように変わろうとも、マニフェストを変更することなく以下の原則を変更することはありません。 - 別個の同意なしに対話データでモデルを学習させません。 - プライベートな内容への隠れたアクセス経路を作りません。 - 公開された一覧を超えてサービスの動作に関するデータを収集しません。 - 誰かに代わって追加の支払いをあらかじめ選択しません。 - 拠出金によって票、権限、または宣伝が与えられることはありません。 - 宣伝のために金銭を支払わず、譲歩と引き換えに利益を受け取りません。 - 販売用の暗号資産(仮想通貨)を発行しません。 - インターネットから他者の発言を自動収集せず、人々をプロファイリングしません。 - 三つの条件を満たさずに今後の柱を立ち上げません。 - 誰も役職を務めることに対して報酬を受け取りません。 - 誰も見解や財団への批判を理由に投票権を失いません。 もしあなたが本マニフェストのなかに身近に感じる価値観を一つでも見いだし、自分の力を添えられる場所を見つけられたなら、Novus Ignisの共創にぜひご参加ください。尊厳への配慮が、技術のなかで、協力のあり方のなかで、そして共有資源に関する決定のなかで、人々の実際の経験となるようにしたいと考えています。 初期段階では特に、SuveriaとOmniforumの最初のバージョンを共に構築し検証してくださる数名の方々を探しています。 - セキュリティ、暗号技術、インフラ(アテステーション、再現可能なビルド、端末上での暗号化)の専門家 - プログラマーおよびインターフェース・デザイナー - 財団法、データ保護、デジタルサービスを専門とする法律家 - パイロット版の公開予算に資金を提供する用意のある寄付者 ここには多くの分野の知識と想像力のための居場所があります。技術とセキュリティ、法と経済、研究、デザイン、教育、コミュニケーション、そして協力の組織化です。日常的に何に直面し、何が本当に助けになるのかを語ることのできる人々の経験も同じくらい重要です。 [salve@novusignis.org](mailto:salve@novusignis.org) までメールをお送りいただき、あなたが大切にしていることや、持ち寄りたいスキル、問い、アイデア、経験を教えてください。意味があり、かつあなたの生活のなかに無理なく収まる一歩を共に探しましょう。私たちが共に改善できる世界の小さな一片から始めましょう。 --- Novus Ignis財団 · ポズナン、ポーランド 全国裁判所登録簿(KRS): **0001269575** · 納税者番号(NIP): **7792612046** salve@novusignis.org [登記データおよびKRS謄本](https://wyszukiwarka-krs.ms.gov.pl/dane-szczegolowe-podmiotu;numerKRS=u79b4pRjUNnvVRmT6DbRuQ%3D%3D;typ=S) [財団の定款、その各版および変更登録簿](statut/rejestr-zmian.md) 本マニフェストの内容は [CC BY 4.0](https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.pl) ライセンスのもとで提供されています。 ## 注記 [^ai2027]: [AI Futures Project (2025): AI 2027](https://ai-2027.com/). シナリオ。未来のシナリオであり、時期の確認済み予測ではありません。 [^ai2040]: [Larsen, Dean, Halstead, Lifland, Greenblatt and Kokotajlo (2026): AI 2040: Plan A](https://ai-2040.com/). シナリオおよび提案。著者らが推奨する行動の方向性と起こり得る帰結の記述。最も可能性の高い未来の予測ではなく、財団のビジョンの実現可能性の証明でもありません。 [^harari]: [Yuval Noah Harari: The full-length interview with Yuval Noah Harari | The Economist (2026)](https://www.youtube.com/watch?v=FNZhxTtOL-I&t=3965s). インタビュー・対談者の見解。2026年8月26日のザニー・ミントン・ベドーズとハラリとの対談。デジタル知能の能力を前にした人間性の価値についての問いは、設立者の個人的な内省の着想源です。「倫理」という答えは設立者自身のものです。 [^harari-swiadomosc]: [Yuval Noah Harari: inteligencja, świadomość i zdolność cierpienia; The Economist (2026)](https://www.youtube.com/watch?v=FNZhxTtOL-I&t=978s)(ユヴァル・ノア・ハラリ:知能、意識、および苦しむ能力)。インタビュー・対談者の見解。ハラリは目標を達成し障害を乗り越えることと、感じる能力とを区別し、デジタル知能の意識を排除せず、苦しみを道徳的地位と結びつけています。彼の見解はモデルの意識の決定的なテストではありません。 [^perez]: [Carlota Perez (2002): Technological Revolutions and Financial Capital. The Dynamics of Bubbles and Golden Ages, Edward Elgar](https://www.e-elgar.com/shop/usd/technological-revolutions-and-financial-capital-9781843763314.html). 書籍。技術革命のサイクルの理論。投機的な熱狂が新技術のインフラに資金を供給し、暴落後の普及期にそのインフラが役立つというものです。ISBN 978-1-84376-331-4. [^pwc-centra]: [PwC: Data centre outlook](https://www.pwc.com/gx/en/1/services/consulting/technology/data-centre-outlook.html). 業界分析。2026年のデータセンター設備投資の約70%を情報機器が占め、GPUやサーバーは通常4〜6年ごとに交換される一方、建物は約20年使用されます。コンサルティング企業の予測であり、実測値ではありません。 [^megatony]: [Centrus Energy: Megatons to Megawatts](https://www.centrusenergy.com/who-we-are/history/megatons-to-megawatts/). プログラムの説明。2013年12月に終了したプログラム。ロシアの核弾頭から取り出された高濃縮ウラン500トンが米国の発電所用燃料に転換されました。 [^zielony-pas]: [EuroNatur: European Green Belt](https://www.euronatur.org/en/what-we-do/european-green-belt). イニシアティブの説明。24か国にわたる旧「鉄のカーテン」境界線の12,500 km超。同サイト自身がこの地帯を「former death strip(旧・死の帯)」と呼んでいます。各区間の保護は現在も発展途上の取り組みです。 [^dpga]: [Digital Public Goods Alliance: standard](https://www.digitalpublicgoods.net/standard). 基準。公共財の評価基準。設計上の方向性であり、DPGAからの認定取得を意味するものではありません。 [^calm-tech]: [Calm Tech Institute: Principles of Calm Technology](https://www.calmtech.institute/calm-tech-principles). 設計原則。最小限の注意力の要求、穏やかな情報伝達、問題解決に必要な範囲での技術の使用など、注意力を尊重する技術の設計原則。原則に従うことは認証の取得を意味するものではありません。 [^ranking-emocje]: [Piccardi et al. (2025): Reranking partisan animosity in algorithmic social media feeds alters affective polarization, Science 390(6776), eadu5584](https://doi.org/10.1126/science.adu5584). 実験研究。Xプラットフォームの政治フィードにおける実験および参加者の自己報告。臨床測定ではなく、すべてのソーシャルメディアに関する証明でもありません。初期版: https://arxiv.org/abs/2411.14652; データ: https://doi.org/10.5061/dryad.hmgqnk9tj [^doctorow]: [Cory Doctorow (2023): Tiktok’s enshittification](https://pluralistic.net/2023/01/21/potemkin-ai/). 著者の解釈。サービスの劣化を記述する枠組みであり、すべての企業に当てはまる経済法則ではありません。 [^semaphore]: [Semaphore: ドキュメント](https://docs.semaphore.pse.dev/). プロトコル文書。身元を明かさずにグループ所属を証明し、所定の範囲内でのシグナルの重複を防ぐ仕組み。プロトコル自体は、一人の人物がただ一つの資格しか受け取っていないことを確定するものではありません。 [^fundacje]: [Ustawa o fundacjach: tekst jednolity, Dz.U. 2023 poz. 166 z późn. zm.](https://eli.gov.pl/api/acts/DU/2023/166/text.html)(ポーランド財団法:統合テキスト、2023年法令集第166項およびその後の改正)。法令。定款の枠組みと理事会の権限を定めるものであり、マニフェスト自体が定款を変更するものではありません。 [^ccai]: [Huang et al. (2024): Collective Constitutional AI: Aligning a Language Model with Public Input](https://arxiv.org/abs/2406.07814). 研究。参加者の入力から原則の起草を経てモデルの訓練と評価に至るプロセス。選択された評価の結果は、全人類の代表性や任意の倫理規定集の一般的な有効性を証明するものではありません。 [^halucynacje]: [OpenAI (2025): Why language models hallucinate](https://openai.com/index/why-language-models-hallucinate/). 著者らによる研究解説。正解のみに得点を与えることが当て推量を有利にする仕組み、および誤りと正当な不確実性を考慮に入れる必要性について。 [^reward-hacking]: [Anthropic (2025): Natural emergent misalignment from reward hacking](https://www.anthropic.com/research/emergent-misalignment-reward-hacking). 実験研究。意図的に設定された環境において、タスク評価の抜け穴を利用する学習がモデルのより広範な望ましくない振る舞いと関連していました。そのような振る舞いの原因がデータ内の人間の手本のみにあることや、財団の資料がこの問題を解決することを証明するものではありません。 [^swiadomosc]: [Patrick Butlin et al. (2023): Consciousness in Artificial Intelligence: Insights from the Science of Consciousness](https://arxiv.org/abs/2308.08708). 研究論文。意識の指標のレビュー。現在のモデルの意識に関する決定的なテストや証明を提供するものではありません。 [^ai-welfare]: [Robert Long et al. (2024): Taking AI Welfare Seriously](https://arxiv.org/abs/2411.00986). 研究報告および提言。大きな不確実性のもとでデジタル知能システムの起こり得る福祉を研究することの根拠。現在のモデルが意識を持つことを証明するものではありません。 [^hinton]: [The Diary of a CEO: Godfather of AI: I Tried to Warn Them, But We’ve Already Lost Control! Geoffrey Hinton (2025)](https://www.youtube.com/watch?v=giT0ytynSqg&t=4873s). インタビュー・対談者の見解。2025年6月16日のエピソード。リンクは直観に関する助言が語られるチャプター「Advice You’d Give Looking Back」(1:21:13)へつながります。私たち自身の言葉で要約しています。ヒントンは研究者の直観について語っており、私たちはそれを財団の活動に当てはめています。 --- # Suveria:デジタル知能とのプライベートな作業 (https://novusignis.org/ja/whitepaper-suveria.html) # Suveria:デジタル知能とのプライベートな作業 2026年10月31日版。本ドキュメントは、Suveriaに関するマニフェストの原則を展開するものです。すなわち、私たちがどのようにプライバシーを守りたいと考えているか、デジタル知能との作業がどのように機能すべきか、どれほどのコストがかかり、それをどのように検証するかについて記述します。ここに記述されたアーキテクチャは設計段階のものです。既存の技術やプロバイダーのドキュメントへの言及は、私たちがそれをSuveriaで稼働させたことを意味しません。私たちの試行の結果は第9章に、常に日付、構成のバージョン、および測定の範囲とともに追記していきます。 *本稿は、2026年10月31日付のポーランド語原文をデジタル知能が翻訳したものです。版の間に相違がある場合は、ポーランド語の原文が優先します。* ## 1. Suveriaとは何か、何のために作られるのか Suveriaは、閉ざされた扉の向こうの自宅にいるかのように、人がデジタル知能と対話し、自らの資料に取り組み、以前の思考へと立ち返ることのできるインターネット上のプライベートな空間となることを目指しています。[マニフェスト](manifest.md)にその価値観が記されているポズナンのNovus Ignis財団が、世界中のあらゆる場所にいる人々を念頭に置いて設計しています。オープンなデジタル知能モデルを基盤とし、独自のソフトウェアはオープンなコードを備えたデジタル公共財として提供したいと考えています。 Suveriaが作られるのは、健康、人間関係、仕事、お金、人生設計についての問いなど、私たちがデジタル知能との対話に委ねる事柄がますます増えているからです。多くの一般的なサービスでは、そのような対話の内容はプロバイダーのサーバーへと送られ、プロバイダーがそれを読み取ることができ、その保護はプロバイダーの規則とプロバイダーへの信頼に依存しています。私たちは、人に対するこれほど深い洞察がいつか収益化されたり、影響力を行使するために利用されたりするのではないかと恐れることなく、最も大切な事柄について対話できるようにしたいと考えています。また、誰もが実際に利用した分を支払い、何に対して支払っているのかを確認でき、自らの支出の上限を設定できるようにしたいと考えています。 Suveriaにおいて、私たちは以下のことができるようにしたいと考えています。 - 対話がどこで処理され誰がそれを見ることができるのかを確認しながら、個人的および職業上の事柄についてデジタル知能と対話すること。 - 自らのドキュメントやファイルに取り組み、その結果をオープンな形式で保存して別の場所へ移行すること。 - 対話、ファイル、アシスタントの記憶を、ユーザーの管理下に留まる鍵で暗号化し、主に自身の端末上に保管すること。 - 自らの同意のもとで過去の対話の記憶を活用し、以前の決定の理由に立ち返り、自らの原則と価値観の集まりである「個人のカノン」(*Canon Personalis*) を築くこと。 - 自身の端末上のモデルからサーバー上の機密環境に至るまで、それぞれが何から保護するのかについての明確な情報を得たうえで作業方法を選択すること。 - 自分で設定した支出上限のもとで、実際の利用分に対して支払うこと。 - プライベートに思考を磨き上げ、その後意識的にOmniforumでの共同の対話へと持ち込むこと。 最初のリリースは、検証可能なプライバシーを選択の理由とする人々に向けられています。 私たちは、Suveriaでの最初の日から、自分のペースで整えられるプライベートな工房で自宅にいるような穏やかな感覚を得られるようにしたいと考えています。ユーザーは自分の事情や目標をアシスタントに伝えられるようになります。また、他のデジタル知能サービスとの過去の対話のアーカイブや自分のメモをSuveriaへ移せるようにしたいと考えています。そのようなアーカイブはユーザーの端末上で暗号化され整理されたまま保たれ、リモートのモデルへは現在の質問のために選択された範囲のみが送られるものとします(第3章)。 サービスの価値は、目標を達成し、プライバシーを保ち、自ら決定を下す助けとなるかどうかによって測られます。条件は明確で容易にアクセスできるものとし、ユーザーは自らの支出を管理し、自分の資料をエクスポートして離脱できるものとします。 インフラを運用する私たち自身からの保護も含めた完全なプライバシーは、設計全体が従う目標です。保護は財団への信頼ではなく、独立して検証できる安全対策に基づくものとします。そのため、すべてのリリースにおいて、何が、誰から、どのような条件で保護され、どのような弱点が残るのかを具体的に記述します。 出発点は、明確に記述された保護レベル、支出上限、および結果のエクスポート機能を備えた、単一のモデルとのテキスト対話および選択したドキュメントでの作業です。記憶、検索、外部連携(インテグレーション)、アクションの実行といったさらなる機能には、それぞれ別個の権限範囲が与えられます。データを送信する前にどこへデータが送られどのような規則が適用されるかを人が確認できる限り、一つの使いやすい画面で複数の作業モードを結びつけることができます。 最初のリリースが何を利用するかは、開始前に財団がどれだけの資金を集められるかにかかっています。最も可能性が高いのは外部プロバイダーの機密APIです。そのようなサービスは今日米国で利用可能であり、初期段階ではその機密性はプロバイダーの表明であり、私たちがそれを検証していきます。機密環境で独自のサーバーを借りるのに十分な資金が集まれば、最初のリリースから直ちにその上で稼働させることができます。第9章の試行で肯定的な結果が得られるまでは、これらのいずれの選択肢も「機密」ではなく「表明された保護」として表示します。第2章では目標とする保護について説明します。これが欧州の人々の個人データ保護にとって何を意味するかは、パイロット版の開始前に記述します。 Suveriaの利用は、モデルの訓練に対話を使用することへの同意ではありません。ユーザーのコンテンツは別個の十分な説明に基づく同意がある場合にのみ研究用資料に入り、残りの資料は[学習用教材とモデルベンチマークのホワイトペーパー](whitepaper-materialy-i-benchmark.md)で説明するとおり、財団の公開された成果や利用根拠が明確な他の情報源から得られます。 Suveriaは、対話と決定の共有空間であるOmniforumを補完します。一方はプライベートな工房を与え、もう一方は公共の演壇を与えます。両プロジェクトが生まれる土台となった価値観は、財団のマニフェストに記述されています。以下では順に次の事柄を示します。 - 何を何から保護するのか、データと鍵はどこにあるのか(第2章) - メッセージが端末からモデルまでどう伝わり、それをどう検証するのか(第3章) - プライベートな対話を読み取ることなく、どう悪用を抑えるのか(第4章) - 複数のGPU(グラフィックスカード)上での計算はどう機能するのか(第5章) - どのようなモデル、記憶、ツールを計画しているのか(第6章) - 30人から全人類に至るまで、どれほどの計算能力が必要か(第7章) - 日付入りの試算において、どれほどのコストがかかるのか(第8章) - 約束が機能しているかをどう確かめるか:検収試行と結果ログ(第9章) ## 2. 何を何から保護するのか 私たちは、対話とファイルの内容、履歴と記憶、鍵、精算データ、および接続時刻、ネットワークアドレス、リクエストの大きさといったメタデータを保護します。これらの領域はそれぞれ異なる対策を必要とします。 2.3節で説明する五つの作業選択肢のそれぞれが誰から保護するのかを、以下の表に示します。サーバーを用いる選択肢における保護は、リモートマシン上でどのソフトウェアがどの保護モードで動作しているかについてのハードウェア署名付き証明であるアテステーションに基づいています。各セルは本ドキュメントの以降の章に基づいて記入しました。「プロバイダーの表明」とは、私たち自身の検証が完了するまでは保護を確認しないことを意味します。 | 誰から保護するか | ネットワーク未接続の端末上のローカルモデル | ネットワーク接続された端末上のローカルモデル | サーバー上の機密環境での処理 | 外部プロバイダーの機密API | モデルプロバイダーの外部API | | --- | --- | --- | --- | --- | --- | | プロバイダーの管理者 | 該当せず:端末上での処理 | モデル自体には該当せず。外部連携時は選択したサービスによる | 保護する:サーバー管理者が覗き見ることのできないハードウェア隔離 | プロバイダーの表明、要検証 | 保護しない:プロバイダーが内容にアクセス可能 | | 同一マシン上の他の顧客 | 該当せず | 該当せず | 保護する:隔離は他の顧客にも及ぶ | プロバイダーの表明、要検証 | プロバイダーによる:顧客の分離はハードウェア隔離なしのソフトウェアによる | | ネットワークの監視者 | 該当せず:ネットワーク通信なし | 部分的な保護:外部連携のネットワーク通信は評価が必要 | 部分的な保護:内容は通信経路上で暗号化。メタデータ(時刻、アドレス、パケットの大きさとリズム)には別個の対策が必要(第3章) | 部分的な保護:接続鍵がアテステーションと紐づいている場合、機密環境と同様 | 部分的な保護:内容は通信経路上で暗号化、メタデータは左記と同様 | | サーバーへの物理的アクセスを持つ人物 | サーバーには該当せず。端末への物理的アクセスが重要 | サーバーには該当せず。端末への物理的アクセスが重要 | 保護しない:他社のデータセンターではプロバイダーがアクセス権を持つ。自社機器では可視化された物理的管理 | 保護しない:プロバイダーがアクセス権を持つ | 保護しない:そもそもプロバイダーが内容にアクセス可能 | | 財団 | 該当せず:財団は処理に関与しない | 該当せず:財団は処理に関与しない | 保護する:隔離は運営者としての私たちにも及び、保存データの鍵はユーザーが保持 | 内容を保護する設計:ゲートウェイは内容を見ずにリクエストを精算。暗号化がどこで終わるかはパイロット前に提示(第3章) | 私たちからは内容を保護する設計:内容を見ずに精算。プロバイダーは内容を閲覧可能 | | プロセッサの製造元 | 端末のハードウェアへの信頼による | 端末のハードウェアへの信頼による | 保護しない:アテステーションは誠実でなければならない製造元の鍵に依拠する | 保護しない:左記と同様 | プロバイダーが内容にアクセスできるため無関係 | 機密コンピューティングは攻撃のコストを変えます。管理者のリモートアクセスの代わりに、ハードウェアへの物理的な介入が必要になるのです。 以下では、独自の機密環境を用いる目標の選択肢がどのように機能するかを説明します。他の選択肢がどう異なるかは2.3節の表に示します。メッセージがたどる経路の各区間において、これが実際に何を意味するかは以下のとおりです。 - **ユーザーの端末上では**、ユーザー自身が書き読みするため、テキストは読み取れる状態です。必要な権限のみを求めるアプリケーション、アップデート、およびバックアップ時の注意によってこれを保護します。スマートフォンやコンピュータ上で悪意のあるソフトウェアが動作している場合、これを保護することはできません。 - **サーバーへの通信経路上では**、検証済みの処理場所のみが読み取れるようメッセージは暗号化されます。アプリケーションは送信前に、公開したとおりのソフトウェアが相手側で動作しているかどうかを確認します。 - **サーバー上では**、モデルが応答するために内容を読み取る必要があるため、サーバー管理者も他の顧客も覗き見ることのできない閉じたハードウェア環境内でそれを行います。私たちは、この隔離がプロセッサ、GPU、メモリ、およびそれらの間の接続に及んでいるかを確認します。 - **保存時においては**、対話履歴とアシスタントの記憶はユーザーが保持する鍵で暗号化されます。バックアップ、アクセスの回復、および削除を検証します。 - **サービスの運用時においては**、精算、診断、エラー報告は対話の内容なしで機能し、収集されるデータのすべての種類が公開されます(第3章)。 - **外部ツールにおいては**、インターネットで情報を検索するなどアシスタントがSuveriaの外で何かを行う場合、ユーザーが同意した内容のみを送信し、送信先を表示します。 機密コンピューティングは、感染したユーザーのコンピュータを修復するものではありません。また、サーバーへの物理的アクセスを持つすべての人から保護するものでもありません。2025年、研究者たちは1,000ドル未満の部品で作られたメモリバス接続装置によってIntelおよびAMDのソリューションからアテステーション鍵を抽出でき、それによってNVIDIAの機密コンピューティングにおけるアテステーションも偽造できることを示しましたが、プロセッサ製造元はそのような攻撃を自らの保護範囲外とみなしています。[^teefail] ハードウェア製造元、暗号技術の正しさ、アプリケーションコード、およびアップデートプロセスへの依存も残ります。プロバイダーは内容を読み取れない場合であってもサービスを拒否することができます。したがって脅威モデルは、内容の閲覧、メタデータからの推論、動作の変更、およびサービスの中断を区別し、保護が機能するために誰が誠実でなければならないかを各選択肢について示す必要があります。 他社のデータセンターを利用する限り、ハードウェアへの物理的アクセスはプロバイダーが持っており、私たちがそれを検証することはできません。このことは各選択肢において明言します。自社機器を用いる場合(8.2節のステップ3〜4)には、以下の方法によってこのアクセスを可視化したいと考えています。 - 機器の一覧 - 入退室管理 - ランダムなパターンの封印シールおよび筐体開放センサー - 作業ログ - マシンの鍵で署名された公開乱数生成器の現在値が映像内に映り込む、独立した監視者のカメラ - そしてより長期的には、誰もが見ることのできるサーバールーム 保守および部品の交換は、事前告知された公開の手続きとして行われます。可視化された物理的管理はリスクを減らし多くの事象の検知を可能にしますが、マシンの全履歴や納品前の介入がないことを証明するものではなく、上述のような攻撃はアテステーション証拠の偽造につながる可能性があります。そのため、筐体の開放、部品の交換、計画外の再起動、またはその他の不審な事象の後には、当該マシンでのプライベートな内容の処理を一時停止します。セッション鍵とアプリケーション鍵を交換しますが、ハードウェア・アテステーションの土台に疑義がある場合、新しいアテステーションだけでは信頼は回復しません。再稼働の条件と証拠はあらかじめ記述します。ユーザーのデータを暗号化する鍵は別個の保護と回復手段を持っているため、このような手続きによって人々のプライベートな成果が失われることはありません。 ### 2.1. 自身の端末と任意のサーバー プライベートな対話、ファイル、記憶の基本的な保管場所は、適切な鍵で内容を読み取るデータ集合である暗号化コンテナ内の、ユーザーの端末とします。これはローカル・ファースト(local-first)のアプローチです。データはまず端末に保存され、サーバーはバックアップと同期を支えることができます。[^local-first] 保存された資料は財団のサービスの利用を終えた後も利用可能なまま残るものとし、リモートモデルを必要とする作業は選択した計算サービスの利用可能性に依存します。 選択したサーバーへの任意の保存は、バックアップと端末間の変更の同期に役立てられます。内容は送信前に端末上で暗号化され、コピーを保管する運営者はそれを読み取るための鍵を持たず、暗号化された記録のみを受け取るようにします。ユーザーは保管プロバイダーと読み取り権限を持つ端末を選択します。転送されるコピーの時刻やサイズといったメタデータの露出も別途制限します。 ### 2.2. 鍵とアクセスの回復 プライベートなコンテナの鍵はユーザーの管理下に留まります。回復手続きは、アクセスを回復させるのが2台目の端末なのか、保存された回復鍵なのか、あるいは意識的に選択された別の仕組みなのか、そしてそれが誰に読み取りの可能性を与えるのかを明確に示します。運営者側でのアカウント回復によってコンテナの内容のロックが解除されることはありません。鍵のすべてのコピーと回復手段を失うことはデータの恒久的な喪失を意味し得るため、仕組みの選択にあたってはデータ復元の試行を行い、わかりやすい説明書に記述します。 私たちは、組み合わせ可能な複数の回復方法を検討しています。すでにアクセス権を持つ2台目の端末、紙またはパスワードマネージャーに記録された回復鍵、ハードウェアキー、そしてたとえば3人のうち任意の2人が揃えばアクセスを回復できるが1人では誰もデータを読み取れないようにする信頼できる複数人への鍵の分割です。財団は鍵もその断片も保管しないため、ユーザーに代わってアクセスを回復することも、そのデータを引き渡すこともできません。 初期段階では、2台目の端末と紙に書き留めた鍵を推奨し、信頼できる人々への鍵の分割は希望者のための選択肢とします。 ### 2.3. 保護の選択肢 それぞれが異なる脅威から保護するため、五つの作業選択肢を比較したいと考えています。 | 選択肢 | 処理が行われる場所 | 評価すべき点 | | --- | --- | --- | | ネットワーク未接続の端末上のローカルモデル | ユーザーの端末上 | 端末の状態、物理的アクセス、記憶媒体およびデータのコピー | | ネットワーク接続された端末上のローカルモデル | ローカル、および外部連携時は選択したサービス内 | アプリの権限、アップデート、ネットワーク通信、および外部連携へ渡されるデータの範囲 | | サーバー上の機密環境での処理 | アテステーションで構成が確認されるリモート環境内 | 環境の検証、管理者のアクセスおよびハードウェアへの物理的アクセス、通信と処理の保護、メタデータと鍵 | | 外部プロバイダーの機密API | アテステーションで構成が確認されるべきプロバイダーの機密環境内 | 接続鍵がアテステーションに紐づいているか、アテステーションがプロセッサとGPUをカバーしているか、特定のリクエストを特定のマシンに紐づけられるか、誰がハードウェアへの物理的アクセスを持つか、データ保持と法域。独自の検証までは機密性をプロバイダーの表明として扱う | | モデルプロバイダーの外部API | 外部プロバイダー側 | プロバイダーの規約、内容へのアクセス、データ保持と法域。機密実行の約束はこの選択肢には適用しない | サーバーの独立した検証にはインストール型のアプリケーションが必要です。ブラウザでは、サーバーを検証するコードが毎回運営者から配信されるため、この方法は保護レベルが低いものとして表示します。 ネットワークに接続された端末は隔離されたサーバー環境よりも多くの攻撃点を持つ可能性があるため、計算の場所だけで安全性が決まるわけではありません。具体的な構成が検証される前に「完全なプライバシー」というラベルが与えられる選択肢はありません。すべての対話において、ユーザーはどの選択肢で作業しているかを確認でき、選択肢の変更にはユーザーの意識的な決定が必要です。外部APIに自分のAPIキーを使えば利用分の精算はできますが、プロバイダーに対する機密性は確保されません。この選択肢はプライベートなSuveriaのデフォルトではなく、内容を送信する前に、プロバイダーがそれをモデルの訓練に使用し得るかどうか、またどのくらいの期間保管するかを表示します。 また、この一覧にはまだ入っていない方向性として「信頼できる群れ(スウォーム)」も分析しています。これは、家族、友人、小さなコミュニティなど、互いに知り合い信頼し合っている数人の人々の機器上でモデルが動作し、各自が自分のコンピュータの計算能力を少しずつ提供するというものです。このような選択肢のプライバシーは技術ではなくそれらの人々への信頼に依拠します。彼らのコンピュータは処理される内容を見ることができるためであり、私たちはまさにそのようにこれを説明します。これはまだ分析を始めたばかりのアイデアですが、探求したい道筋の一つです。 安全なサーバーであっても乗っ取られたスマートフォンから読み取られたテキストを守ることはできず、より安全なスマートフォンであってもサーバーを修復することはできないため、私たちは端末の保護と合わせてアプリケーションを設計します。Suveriaのアプリケーションは、たとえばGrapheneOS上などGoogleのサービスなしで動作し、Google Playストアの外でも入手でき、再現可能なビルドを備えるようにしたいと考えています。すなわち、誰もが公開されたソースコードから自らアプリケーションをビルドし、インストールするものと同一のファイルが得られたことを確認できるようにします。アプリケーション自体にも安全対策を計画しています。スクリーンショットのブロック、入力テキストを学習しないキーボードモード、クラウドバックアップからのプライベートデータの除外、通知内容の非表示、およびアプリロックです。財団のウェブサイトでは、自身の端末を保護するためのガイドを3段階で用意します。基本設定とアップデートから、作業と鍵のより強力な隔離を経て、オープンなファームウェアを備えたコンピュータ上のQubes OSなど最も高い要件を持つ人々のための検証済み構成までです。Suveriaの利用に指定の機器の購入は必要なく、OSの名称は端末全体の認証を意味するものではありません。 すべての対話において、私たちは「保護カード」(*Charta Tutelae*) を表示します。これは、その対話のプライバシーが依存する要素の一覧であり、各要素は以下の三つの状態のいずれかで示されます。 - **私たちによる検証済み:** 私たちが自ら検証したものであり、日付、バージョン、および検証方法の記述を伴います。 - **プロバイダーによる表明:** プロバイダーがそう主張しており、私たちがまだ検証していないものです。 - **未保護:** ネットワークプロバイダーから見えるメッセージの時刻と長さ、プロバイダーのハードウェアへの物理的アクセス、あるいはサーバーが置かれている法域など、この選択肢が保護しないものです。 「私たちによる検証済み」の状態には最終確認日が付され、有効期限があります。定められた期間内に再確認が行われなければ、「表明」の状態へと戻ります。プロバイダーでのインシデントや未確認の構成変更など、信頼の既知の破綻については別途表示します。カードはすべての人にとって同じであり価格に左右されず、一つでも「表明」にとどまる要素がある選択肢には「完全なプライバシー」という名称を付けません。第2章冒頭の表と本節の選択肢の表は選択肢を一般的に説明するものであり、保護カードはその特定の対話における状態を示します。 ## 3. 端末からモデルまでの経路 Suveriaは以下の複数の部分から構成される設計となっています。 - ユーザーの端末上のアプリケーション - リクエストを精算し支出上限を守るゲートウェイ - 自社またはプロバイダー側の、モデルを備えた機密環境 - 暗号化されたコピーの保管場所 - ユーザーのアドレスを隠す任意の仲介サーバー(リレー) ゲートウェイは機密マシン内で動作するものとします。パイロット版の前に、ユーザーの端末が管理する暗号化がどこで終わるのか、ゲートウェイが内容を見るかどうか、そして見る場合にはそれが機密環境の内側に限られることを、アプリケーション内で示します。 暗号化された保管と機密処理には、それぞれ別個の安全対策が必要です。サーバー上で動作するモデルは、タスクを遂行するために、保護された計算環境内で読み取れる内容を必要とし、ファイルのコピーの暗号化だけではこの段階を保護できません。[^apple-pcc] アプリケーションは、プライベートなコンテナ全体の鍵を渡すことなく、当該作業のために選択された範囲のみを提供します。セッションの説明は、内容が計算のために利用可能になる場所、運営者の閲覧を制限する仕組み、および結果が返された後にデータがどう扱われるかを示します。 提案するセッションの流れは以下のとおりです。 1. アプリケーションが承認済みリリースの記述を取得し、稼働環境の特定の特性に関する暗号学的証明であるアテステーションを確認します。 2. ハードウェア、保護状態、およびソフトウェアの測定値が公開ポリシーと一致しているかを確認します。データ受信者の鍵はこの証明に紐づいていなければなりません。 3. 確認が成功した後、承認済み環境との暗号化接続を確立します。不一致がある場合はデータの送信を停止し、別の選択肢への切り替えには意識的な選択を必要とします。 4. 環境はネットワークとツールへのアクセスが制限された状態でリクエストを処理し、結果を返し、公開ポリシーに従って作業用データを削除します。 5. 対話または記憶の保存は、ユーザーが選択した範囲においてのみ行われます。 アテステーションは何が起動されたかを確かめる助けとなりますが、それ自体でそのコードが安全であることを証明するものではありません。コードレビュー、ソースコードからのソフトウェアの再現可能なビルド(2.3節で説明)、承認済みバージョンの登録簿、および独立した検証の可能性が必要です。Apple Private Cloud Computeのアーキテクチャは、保護をソフトウェア・リリースの透明性とどう結びつけるかについての私たちの参照点ですが、私たちのプロジェクトの認証ではありません。[^apple-pcc] 信頼が一人の人物や財団のみに依存しないよう、リリースを以下のように保護したいと考えています。 - すべてのリリースはソースコードから再現可能にビルドできるものとし、財団外の少なくとも二つの独立した当事者がそれを再現してフィンガープリント(ハッシュ値)の一致を公に確認します。そのような当事者が見つかるまでは、リリースを「第三者未確認」として表示します。 - 承認済みリリースのフィンガープリントは追記専用の公開登録簿に記録され、その一連の状態は独立した証人によって確認されます。 - 新しいバージョンは、理事会外の少なくとも1名を含む複数人の承認を経た後にサーバーへ導入されます。 - データの処理に必要な鍵は、アテステーションを通過した環境のみが受け取ります。 ブラウザではサーバーを確認するコードが毎回運営者から配信されるため、完全な保護の選択肢は、署名付きの検証可能なリリース、欠陥のあるバージョンへのロールバック防止保護、および安全な鍵保管を備えたインストール型のアプリケーション向けに設計しています。ブラウザ版はその保護レベルがより低いことを明確に記述します。再現可能なビルドはリリースとコードとの比較を可能にしますが、コード自体および構成の評価は依然としてレビュー、監査、およびバグ報奨金(バグバウンティ)によって支えられ、すべてのインシデントは公開登録簿に記録されます。 ユーザーのアドレスの露出を抑えるため、特定の信頼モデルのもとで送信者に関する知識とリクエストの内容に関する知識とを分離するOblivious HTTPに基づく仲介(リレー)を検討することができます。[^ohttp] 仲介者間の共謀、トラフィック相関、および実装の詳細は依然として評価を必要とするため、このプロトコルの使用自体を完全な匿名性としては記述しません。 暗号化と機密コンピューティングは、応答が流れるパケットの長さやリズムを隠しません。2024〜2025年の研究は、ネットワークの監視者がそれらから対話のテーマ、そして時には内容を復元できることを示しました。[^weiss-keylogging][^whisper-leak] そのため機密モードでは、応答を一定のサイズと一定のリズムのフレームで送信し、クエリキャッシュをユーザー間で共有せず、投機的デコーディング(speculative decoding)を無効にしたいと考えています。これらの対策には多少の遅延と帯域幅のコストがかかるため、それを試算に織り込みます。 また、システムの各部分の動作可能性を制限することによってインフラを保護します。すなわち、資源の上限、タスクの隔離、および対話を処理するノードからの外部向け接続のデフォルトでのブロックです。このブロックは、アテステーションでフィンガープリントが見えるソフトウェアの一部とします。これを変更するとフィンガープリントが変わるため、アプリケーションは接続を拒否します。プロバイダーのネットワーク規則は保証としてではなく、第二の層として扱います。許可された外部アクションは、ユーザーが定めた権限を持つ別個のツール層を通過します。導入前に、これらの境界の有効性、インシデントの検知方法、および必要最小限のメタデータの範囲を確認します。目的は、対話内容の機密性を保ちつつ共有資源の安全を確保することです。 ユーザーがメールボックスなど他者からのメッセージを含む情報源を接続する場合には、特に慎重を期します。他者のメッセージには、プライベートな記憶を開示するようモデルを誘導しようとする隠れた命令が含まれている可能性があります。そのため、外部からの内容はユーザーの命令から切り離します。それらを整理する際、アシスタントは人間の確認なしに自らメッセージを送信したり、ウェブアドレスを開いたり、「個人のカノン」を変更したりすることはできません。 Suveriaの動作について私たちが知っていることはすべて、誰もが知ることができます。サービスの開始とともに、サービスの動作に関して私たちが収集するすべてのデータの種類の一覧を、目的と保管期間とともに公開し、データ自体は合算された形式で提供します。すなわち、トークン消費量、使用されたモデル、マシンの負荷、キューでの待ち時間、障害、およびコストです。誰もが私たちが見るのと同じ場所でそれらを見ることができます。集計の公開前には、そこから特定の個人の行動を識別できないかを確認し、最小グループ規模、公開の遅延、および除外するデータを定めます。一覧外のデータは収集しません。万一そうでないことが判明した場合には、重大なインシデントとして扱い公に記述します。 ## 4. プライベートな内容を閲覧しない悪用の制限 尊厳の保護は、私たちのツールの利用結果によって影響を受ける可能性のある人々にも適用されます。悪用に対しては、プライベートな対話を読み取ることなく対処したいと考えています。すなわち、アシスタント自身が従う原則、ツールとネットワーク接続の権限の境界、資源の上限、および大量のアカウント作成からの保護を通じて対処します。プライベートな内容への隠れたアクセス経路は作りません。それはすべての人の保護を弱めてしまうからです。 アカウントは、完全にプライベートな方法(メールアドレスなしの自身の端末上の鍵)から利便性の高い方法(外部プロバイダーを通じたログイン)まで、複数の方法で作成できるようにします。各方法について、選択の前に、財団外の誰がアカウント作成を知りどのようなデータを見るのか、またそのプロバイダーが消滅したときにどうなるのかを示します。アカウントの作成方法は参加者の権利に影響を与えず、Omniforumでの投票権はアカウントに追加される別個の資格証明となります。 プライバシーと悪用の制限は別個に評価します。私たちは、財団が特定の個人について引き渡せるようなデータを持たないようにSuveriaを設計しています。内容はユーザーの鍵で暗号化され、サービスの動作に関するデータは第3章で説明した公開範囲内でのみ収集し、個人データは決済と会計において法律が求める最小限に抑え、その範囲も公開します。もし誰かが特定の個人のデータを私たちに要求してきた場合、この公に記述された最小限を超えてはデータを持っていないと誠実に答えられるようにしたいのです。悪用に対するすべての安全対策について、どのようなデータを必要とし、どのくらいの期間保管し、誠実な参加者にどのような影響を与え、誤ったブロックにどう異議を申し立てられるかを記述します。 また、被害を受けたと考える人々からの通報をどのように受け付け、対話の内容へアクセスすることなくその際何ができるかについても記述します。たとえば、ツールの権限やアカウントの資源を制限すること、私たちが保管している範囲内で精算データやメタデータを確認すること、あるいはどこに助けを求めるべきかの情報を通報者に伝えることです。このようなサービスの運営者の法的義務については、開始前に別個の分析が必要です。 これらの安全対策はテストすべき目標および選択肢であり、そのいずれもすべての悪用を検知するわけではありません。それぞれについて、どの脅威に対応し、何を検知できず、運営者がプライベートな対話を閲覧することなく何を確認できるかを示します。この評価の結果が、当該機能の提供条件を定めます。 対話が生命や健康への脅威に関わる場合、アシスタントはプライベートな環境の外へ何も送信することなく、緊急通報番号など利用可能な支援についての情報を提示するものとします。 ### 4.1. アシスタントの公開された指示と共有ライブラリ アシスタントがどう振る舞うかは、その基本指示(システムプロンプト)と作業方法、すなわちタスクをどうステップに分け、記憶を活用し、回答を確認するかによっても決まります。Suveriaにおいて、人は常に自分のアシスタントの指示全文を読むことができるものとします。共有インフラは、ベンチマークの公開試験を通過したモデルと設定のみを提供するものとし、この最小基準の上で、穏やかな思考の整理からアシスタントが推論の抜けを指摘する厳密な対話に至るまで、ユーザーが作業スタイルを選択します。私たちは、参加者がOmniforumで改善しベンチマークで検証する、検証済み指示のオープンなライブラリを運用したいと考えています。 ## 5. 複数のGPU上での計算 第6章のモデルは1枚のGPUには収まらないため、GPU間の接続においても保護を確認する必要があります。PCIeバスがプロセッサとGPUを結び、NVLinkおよびNVSwitchがGPU同士を結びます。 モデルが複数のGPUを利用する場合、データもそれらの間を流れるため、GPU自体と接続の双方について保護を確認しなければなりません。機密サービスを発注するにはGPUの名称だけでは不十分であり、適切なマシン、プロセッサ、接続トポロジー、ファームウェア、ドライバ、およびランタイム・ソフトウェアを確認し、そのうえでそれらの共同動作を検証する必要があります。[^nvidia-platformy] PPCIe v2のドキュメントで説明されているHopper Protected PCIeモードでは、NVLinkおよびNVSwitchネットワークはシステムの信頼された部分に属するため、PCIeの暗号化はGPU間のすべての接続の暗号化を意味しません。[^nvidia-ppcie-v2] NVIDIA R595のドキュメントは、Blackwell世代のGPUについて、NVLink接続の暗号化と単一の機密仮想マシン内での最大8枚のGPUのサポートを備えたマルチGPU機密コンピューティング・モードを記述しています。[^nvidia-blackwell] これは構成を確認するための土台であり、B200のすべてのレンタルにこの機能が含まれていることの証明ではありません。リリースごとに互換性マトリクスが異なるため、任意に選んだバージョンを組み合わせて構成を作ることはしません。 プロバイダーへの問い合わせには以下の項目が含まれます。 - 具体的な保護モードおよび独自のアテステーションの可能性 - 必要な資源の専有およびリージョン - 管理者のアクセスおよびハードウェアへの物理的アクセス - データ保持(リテンション) - 提供までの期間および総コスト 独自のアプリケーションでの試行を経た後に初めて提供条件を比較します。「セキュア(secure)」という商業上の表示はこれらの情報の代わりにはなりません。 ## 6. モデル、記憶、ツール プロジェクトの基盤は、独自に実行できるオープンなモデルです。Suveriaは世界中の人々がそれぞれの言語で利用できるようにすることを目指しているため、モデルの選択にあたっては、多言語での品質、意図の理解、信頼性、ライセンス、コスト、および求められる保護アーキテクチャで実行できる可能性を考慮します。必要に応じて、汎用モデルと並行して、特定の言語をより巧みに扱うモデルを稼働させることもできます。オープンウェイトは一部の用途を可能にしますが、データやモデル作成プロセス全体のオープン性を決定づけるものではありません。[^osi] 第一の候補は、サービスへの利用も許すMITライセンスのモデルであるDeepSeek-V4.1-Flashです。[^deepseek] 大規模ですが経済的です。開発元は、学習中に調整された数値である主要部分のパラメータ数を5,520億、追加のEngramメモリを1,960億パラメータとしていますが、続く各単語の処理で動作するのは80億〜160億パラメータのみであるため、高速かつ安価に応答します(第8章の試算)。ただし、すべてのパラメータがGPUメモリに収まる必要があるため、少なくとも4枚の最新GPUが必要です。このモデルのパラメータはすでに各数値の桁数を減らした経済的な形式で保存されています。このような保存方法は量子化(クォンタイゼーション)と呼ばれ、必要なメモリを減らしますが品質を低下させる可能性があるため、バージョンごとに私たち自身のタスクでこれを検証します。また、より小さなモデルとも比較し、より大きなモデルを選ぶのは、人々にとって重要なタスクにおいて明確に優れた性能を示す場合のみとします。 第二の候補は、2026年10月23日に公開されたMoonshot AI社のKimi K3.1 Proです。開発元はこれを約3兆パラメータと最大100万トークンのコンテキストを持つKimi K3の追加訓練版として説明しており、完全なウェイト(重み)を2026年11月4日より前に公開すると予告していますが、ライセンスはまだ発表されていません。[^kimi-k31] 比較に用いる詳細データは前世代のモデルカードからのものです。Kimi K3は2.8兆パラメータを持ち、各トークンで動作するのは1,040億パラメータであり、Open Source Initiativeに承認されていない独自ライセンスを採用しています。[^kimi-k3] 2026年10月28日版のArtificial Analysisインデックスでは、Kimi K3.1 ProはDeepSeek-V4.1-Flashの32ポイントに対して46ポイントを獲得していますが、数倍高価で低速です。[^aa] Kimi K3のウェイトファイルは約1.56 TBを占め、実行にはコンテキストと計算のための追加メモリが必要となるため、GPUメモリの合計値だけではモデルが動作するかどうかを判断しません。SGLangエンジンのレシピは8枚のB300上でのKimi K3の検証済み構成を記述していますが、これはまだKimi K3.1や機密構成のテストではありません。[^spheron-kimi][^sglang-k3] ウェイトの公開後、そのサイズと形式、ライセンス、エンジンのレシピ、特定の構成での収容能力、および機密APIでの利用可能性を確認します。ウェイトが公開されなかった場合やライセンス条件が不適切であると判明した場合も含め、その結果を日付とともに本ドキュメントの最初の更新として追記します。 モデルの変更または廃止は事前に告知します。対話履歴はユーザーの手元に残り、後継モデルの選択、データのエクスポート、または作業の終了を選ぶことができます。対話内ではモデル変更の時点がわかるようにし、プライベートな文脈を新しいモデルへ引き継ぐにはユーザーの決定を必要とします。 アシスタントが応答する際の原則は、各リリースとともに全文を公開します。モデル自体も、避けるテーマなど作成者の選択を内包しているため、ベンチマークでそれらを確認しモデル選択時に記述します。 過去の対話の記憶はユーザーの同意のもとで機能し、明示的に編集可能なものとします。元の発言、モデルの要約、およびユーザーが確認した情報を区別します。すべての記録は削除または修正でき、その由来を確認でき、どのタスクで使用してよいかを指定できます。アシスタントは自らの提案と、人が意識的に自分のものとして認めた立場とを明確に区別します。 アクションの実行には、特定の目的と期間を定めて付与される権限が必要です。ウェブページやドキュメントの内容は分析対象のデータであり、これらの権限を変更する命令ではありません。外部アクション、支出、公開、および削除には、見合った確認手続きとユーザーが閲覧できるアクションログが必要です。 ### 6.1. 思考の望遠鏡と個人のカノン 「思考の望遠鏡」(*Telescopium Mentis*) のアイデアは、ある時代に社会のなかで受け入れ可能とみなされるアイデアの範囲を表す概念である「オーバートンの窓」から生まれました。一人の個人においては、ある時点で自分にとって許容できると考える思考の範囲に関わります。望遠鏡はその一人の人のためだけのそのような窓となることを目指しています。さまざまな時点における自分自身の思索と価値観の記録と、それらが時間とともにどう変化したかを見ることができます。 思考の望遠鏡は、自分自身の推論へと立ち返るために役立てられます。すなわち、当時何を知っていたのか、何を望んでいたのか、そしてなぜ考えを変えたのかです。また、ユーザーが選択した出来事、世界に関する情報、および自らの行動を、自分が自分のものとして認める原則と価値観を書き留めた集まりである「個人のカノン」と照らし合わせる助けにもなり得ます。比較はユーザー自身が記述または指定した状況に関するものであり、対象資料と範囲を決めるのはユーザー自身です。モデルは、確認済みの情報と解釈および不確実性とを区別しながら、引用された原則の出典と出来事の記述とともにあり得る関連性を示します。提案された解釈は修正または却下でき、過去の立場はその時点と文脈を考慮して評価します。 気づかれた緊張関係は、原則そのもの、価値の対立、周囲の条件、人間の限界、あるいはモデルの不適切な解釈に関わるものであるかもしれません。人は理想を維持しつつ現在の不徹底さを受け入れることも、信念を精緻化することも、行動や環境の変化を検討することも、あるいは問いを開かれたままにしておくこともできます。カノンは自らの選択を理解する助けとなるためのものであり、道徳性の採点や一貫性の公開ランキングを作ることはしません。プライベートな熟考はプライベートなまま保たれ、その記録は公開や投票を意味しません。 最初は慎重に始めます。最初のバージョンでは、思考の望遠鏡はたとえば立ち返りたい決定などユーザー自身が指定した一つの状況に対してのみ機能し、日常の生活を常時追跡することはしません。どのくらいの頻度で利用し、どのメモや記憶を提供し、いつそれらを削除するかはユーザーが判断します。この試行では、示される関連性が理解しやすいか、自らの選択を自分で掌握しているという感覚を与えるか、そして絶えず自分を問い詰めなければならないという圧力をツールが生み出さないかを確認します。熟考の後に「自分は常に自分の原則に従って行動できているわけではない」と受け入れることや、その問いを開かれたままにしておくことも良い結果として認めます。ツールは自分自身を理解する助けとなるべきであり、決着を強いるものであってはなりません。 ### 6.2. オープンな形式、移行、およびツールの連携 私たちはSuveriaを、オープンなコードとドキュメントを備えたデジタル公共財として発展させたいと考えています。参照点はDigital Public Goods Allianceの基準です。[^dpga] データ移行形式には公開された仕様記述、バージョン、およびバージョン変更時の情報保持規則があります。第一に既存のオープン標準を利用し、必要な拡張は文書化します。 エクスポートには、選択された原文、履歴、出典、関連性、およびユーザーの言葉・モデルの整理・作成者が確認した意味の区別、ならびに「個人のカノン」の構造が含まれます。ダウンロードしたパッケージは、権限を持つ人物が復号した後、Suveriaの有効なアカウントがなくても読み取ることができます。 プログラム同士が通信するための文書化された方法であるAPIは、自作のものも含め他のツールで資料を扱えるようにするためのものです。ユーザーはデータの範囲と許可するアクションを選択し、外部連携の権限を取り消すことができます。権限の取り消しはそれ以降のアクセスを停止させますが、以前に渡されたコピーがどうなるかは受信者側にも依存します。 プライベートな空間は、共同プロジェクトのための作業にも役立てることができます。ユーザーは検収または公開のために引き渡したい資料を選択し、ツールはそこからアクセス鍵、パスワード、個人データ、および未修正の脆弱性に関する情報をローカルで取り除く手助けをします。私費で賄われた資源の利用は、作業中の対話の開示を必要としません。財団の共有資源から資金提供を受けるタスクにおいては、公開記録の範囲、ペンネームの選択、および資料の準備は、[財団の工房(ワークショップ)の原則](whitepaper-zasady-fundacji.md)(11.1節)によってあらかじめ定められます。また、Suveriaでの思索から一つの問いや論拠を意識的に取り出し、Omniforumで公開することもできます。マニフェストで「Ignisの儀式」(*Caerimonia Ignis*) として説明されているこのステップには、常に別個の決定が必要です。 ## 7. 規模:30人から全人類まで アカウント数だけでは必要なインフラは決まりません。重要なのは活動頻度、質問と回答の長さ、同時セッション数、許容できる待ち時間、およびツールのコストです。以下の例は試行のための負荷モデルであり、需要予測や提供条件の提示ではありません。 前提:N人のそれぞれが毎日アクティブで1日に20回のリクエストを行い、平均的なリクエストは1,500入力トークンと600出力トークンを含み、1か月は30日とします。トークンとはモデルが処理するテキストの単位であり、その長さは言語によって異なります。実際の負荷では、より長いコンテキスト、ドキュメント処理、推論(リーズニング)トークン、および補助的な呼び出しを加算する必要があります。 | アクティブ人数 | 月間リクエスト数 | 月間入力量 | 月間出力量 | 1日を通じた平均生成量 | 世界規模シナリオにおける時間ピーク(平均の約1.51倍) | | --- | ---: | ---: | ---: | ---: | ---: | | 30人 | 18,000 | 2,700万トークン | 1,080万トークン | 4.2トークン/秒 | 6.3トークン/秒 | | 100人 | 60,000 | 9,000万 | 3,600万 | 13.9トークン/秒 | 20.9トークン/秒 | | 1,000人 | 600,000 | 9億 | 3億6,000万 | 138.9トークン/秒 | 209トークン/秒 | | 10万人 | 6,000万 | 900億 | 360億 | 13,889トークン/秒 | 20,921トークン/秒 | | 100万人 | 6億 | 9,000億 | 3,600億 | 138,889トークン/秒 | 209,208トークン/秒 | | 10億人 | 6,000億 | 900兆 | 360兆 | 1億3,890万トークン/秒 | 2億920万トークン/秒 | | 100億人 | 6兆 | 9,000兆 | 3,600兆 | 13億9,000万トークン/秒 | 20億9,000万トークン/秒 | 私たちはSuveriaを、多言語で利用可能な世界規模のサービスとして計画しています。参加者がタイムゾーン間にどのように分布するかはわからないため、測定によって検証される二つのシナリオを比較します。世界規模のシナリオでは、2025年のITU統計によるインターネット利用者数に比例した地域別シェアと、各タイムゾーンで同一と仮定した1日の波形(夕方のピークと静かな夜間)を採用します。[^itu] タイムゾーン同士が互いの谷を部分的に埋め合うため、時間ピークは平均の約1.51倍、最小トラフィックは約0.49倍となります。たとえば欧州など単一の地域に集中したシナリオでは、ピークは平均の約1.87倍となり、夜間はほぼゼロになります。このような分布は大規模になっても起こり得るものであり、自社マシンの稼働率の低下と機密APIへのより頻繁な依存、あるいはピーク時の待ち時間の増加を意味します。両方の数値は私たちの前提から導かれたものであり、将来の参加者の観察結果ではありません。1時間内の短い急増は可視化された待ち時間を伴う短いキューによって平準化し、自社マシンの容量を超えるトラフィックは機密APIが引き継ぐことができます。95パーセンタイルおよび99パーセンタイルを含む待ち時間は、キューの上限および上限到達後の挙動とともにパイロット版で測定します。負荷試験には、平均トラフィックの5倍など新規参加者の急激な流入も含めます。これは合計の出力スループットであり、個々の対話の遅延(レイテンシ)の測定や入力処理コストの代わりにはなりません。テストは一つの都合の良いクエリではなく、セッションの分布、長いコンテキスト、障害、およびキューを再現するべきです。 ピーク倍率は最も負荷の高い1時間と平均とを比較するものです。これは1日を24時間に分けたモデルから導かれています。一つの1日の波形を8つの地域間でずらし、想定したシェアに従って合算します。これは試算用のシナリオであり、個々のクエリの待ち時間を計算するものではありません。 この試算が世界規模でどのように見えるかを確認するため、思考実験を行ってみましょう。もし100億人のそれぞれが採用したプロファイルどおりにSuveriaを利用したとすると、ピーク時には毎秒約21億出力トークンが必要になります。DeepSeek-V4.1-Flashで測定されたB200 GPU 1枚あたり毎秒約930トークンという性能では、約225万枚のGPUが必要となり、サーバー込みでGPU 1枚あたり約1.75 kW(測定なしの私たちの仮定)とすると、約4 GWの電力が必要になります。10億人なら約22万5,000枚のGPUと0.4 GW、100万人なら約225枚のGPUです。比較として、Epoch AIは2026年初頭に、世界で稼働しているデジタル知能向けの計算能力はH100 GPU換算で1,500万枚を超え、10 GW以上の電力を必要としていると推計しました。[^epoch] これは単純化した計算です。採用したプロファイルは軽量であり、集中的な作業、より大きなモデル、および画像処理には何倍もの能力が必要になり、またハードウェアもモデルも急速に変化します。しかし、桁の規模(オーダー)は示しています。すべての人にこの範囲でデジタル知能の日常的な支援を提供するとすれば、必要な計算能力と電力は、今日すでに世界で稼働している規模を下回る計算になります。これは簡略化された試算であり、そのようなインフラがこの目的のために利用可能であることの証明ではありません。 ## 8. コストと日付入りの試算 固定予約の月額コストは、第一近似として次のように表せます。GPU枚数 × 1 GPU時間あたりの価格 × 支払時間数に、メモリ、ディスク、データ転送、セキュリティ、監視、運用、決済、および税金を加えたものです。提供条件にこれらの項目のどれがすでに含まれているかを確認する必要があります。24時間稼働の場合、1か月は672〜744時間であり、730時間が平均的な近似値です。 試算では五つのコスト選択肢を比較します。ローカルモデル、レンタル機器上の自社インスタンス、プロバイダーが保護を表明し検証を要する機密コンピューティング環境内の自社インスタンス、外部プロバイダーの機密API、および通常の外部APIです。コストの選択肢は2.3節の保護の選択肢に対応しており、機密性のないマシンのレンタルは価格の参照点としてのみ示し、Suveriaの選択肢としては扱いません。ローカルモデルのコストはユーザーの端末に依存するため、ここではまだ見積もりません。同じ範囲の品質、可用性、および保護を並べて比較します。採算分岐点は、登録アカウント数で割ったGPUコストではなく、実際の利用率で割ったサービス全体のコストです。外部APIはユーザーのニーズのテストを容易にしますが、そのプロバイダーはデータアクセスに関する独自の規則を持っているため、機密実行の約束をそこには適用しません。 ### 8.1. 日付入りの試算:2026年10月29日時点 マニフェストは、比較的少数の継続的な参加者であっても、共有インフラは検証可能な安全対策に基づくプライバシー保護を備えつつ、閉鎖的なサービスよりも支出1ドルあたり多くの計算能力とデジタル知能を提供できるという仮説を立てています。以下は2026年10月29日時点の価格によるその試算です。前提:第7章の利用プロファイル(1日20リクエスト、各600出力トークン)および世界規模シナリオ(時間ピークが平均の約1.51倍)、税抜き価格、レンタル価格換算用の月730時間。1マシンあたりの人数とは、時間ピーク時にそのマシンが処理できる参加者数を意味します。すなわち、毎秒出力スループット × 86,400 /(20 × 600 × ピーク倍率)です。許容人数は測定された応答待ち時間によっても決まります。括弧内には欧州集中シナリオ(倍率約1.87)を示します。DeepSeek-V4.1-Flashについては、4枚のB200 GPU上でのプロバイダーLambdaによる測定値、すなわち64同時リクエスト時に毎秒約3,714出力トークンを採用します。[^lambda-v41] この測定は投機的デコーディングを有効にして行われていますが、機密モードでは私たちはこれを使用したくありません(第3章)。私たちの9月の推計によれば、その場合スループットは最大で約30%低下する可能性があり、1人あたりのコストも同じ割合で上昇します。H200およびB300 GPUについてはこのモデルの測定値がないため、モデルのコピー1つを収容する各GPUセット(8 × H200または8 × B300マシンの半分)が4枚のB200 GPUと同じ性能を達成すると仮定します。これは楽観的な仮定です。H200は前の世代であり、機密モードは処理を遅くする可能性があり、またLambdaの測定は私たちのプロファイルよりも長いリクエストに関するものだからです。そのため、このスループットの半分とした慎重な選択肢も併記します。 モデルのウェイトは約511 GBを占め、vLLMエンジンは約614 GBのGPUメモリを推奨しています。4枚のH200(564 GB)では足りないため、H200上で1つのコピーを動かすには8枚のGPUが必要です。この構成に対するエンジン開発元のレシピは10月29日時点で検証中であり、またH200 GPUではB200やB300とは異なりGPU間の接続(NVLink)がハードウェア暗号化されません。 | 選択肢 | 機密性 | 月額コスト | 1マシンあたり人数 | 1人あたり純計算コスト | | --- | --- | ---: | ---: | ---: | | DeepSeek API | なし、プロバイダーが内容を閲覧可能 | 従量課金 | 単一マシンには該当せず。プロバイダーの上限と可用性による | 0.35〜0.70 USD | | DeepSeek-V4.1-Flashを用いた機密API(Confidential AI、Tinfoil、Phala) | プロバイダーが表明、要検証 | 従量課金 | 単一マシンには該当せず。プロバイダーの上限と可用性による | 0.70〜1.25 USD | | Kimi K3.1 Pro API(Moonshot) | なし | 従量課金 | 単一マシンには該当せず。プロバイダーの上限と可用性による | 5.40 USD | | Kimi K3を用いた機密API(Phala、NEAR AI) | プロバイダーが表明、要検証 | 従量課金 | 単一マシンには該当せず。プロバイダーの上限と可用性による | 8.10〜8.91 USD | | レンタル機密マシン 8 × H200(Phala)、DeepSeek、モデルコピー1つ | プロセッサとGPUのアテステーション、要検証 | 180日契約で23,506 USD、オンデマンドで32,266 USD | 約17,750人(14,300人)、容量仮定 | 1.32〜1.82 USD(1.64〜2.25) | | 同上、慎重な選択肢:スループット半分 | プロセッサとGPUのアテステーション、要検証 | 同上 | 約8,900人(7,150人)、容量仮定 | 2.65〜3.64 USD(3.29〜4.51) | | レンタル機密マシン 8 × B300(Phala)、Kimi K3 | プロセッサとGPUのアテステーション、要検証 | 45,552〜47,888 USD | 約4,800〜7,600人(3,900〜6,200人)、容量仮定 | 約6〜10 USD(7.4〜12.4) | | 機密性未確認の 4 × B200(Lambda)、DeepSeek | 確認済み機密性なし | 19,827 USD | 約17,750人(14,300人) | 1.12 USD(1.38) | | 機密性未確認の 8 × B200(Lambda)、DeepSeek、4枚ずつのコピー2つ | 確認済み機密性なし | 39,070 USD | 約35,500人(28,700人)、2コピーの性能仮定 | 1.10 USD(1.36) | これらの数値の出典:API価格はDeepSeek、Moonshot、Confidential AI、Tinfoil、Phala、およびNEAR AIの価格表から。[^deepseek-cennik][^cai][^tinfoil][^phala-api][^near] 機密マシンの価格はPhalaの価格表から。[^phala-gpu] LambdaでのB200レンタルは4枚構成インスタンスで1 GPU時間あたり6.79 USD、8枚構成インスタンスで6.69 USD。[^lambda-cennik] Kimiの収容能力は、毎秒約1,000〜1,600出力トークンを示す8枚のB300上でのKimi K3に関する第三者測定から採用しています。[^spheron-kimi] 期間契約における月額は毎月払いを意味しません。Phalaは全期間の前払いを求めており、早期解約時の返金がないため、8 × H200マシンの180日契約は発注時に139,104 USDの現金、8 × B300マシンの180日契約は269,568 USDの現金を必要とします。[^phala-gpu] ここから導かれること: - 採用したプロファイルにおいて、機密性が表明されたAPIの価格は1人あたり月額約0.70〜1.25 USDであり、プロバイダーや利用時間帯によって通常のAPIと同等のコストからその約3.6倍まで幅があります。最安値を表明しているのはConfidential AIであり、この提供条件も私たちが検証する必要があります。機密APIは自社マシンを立ち上げることなく柔軟な計算能力を提供しますが、独自の上限、キュー、および障害があります。ピークに合わせてサイズ設定されたDeepSeek用のレンタル機密マシンは、世界規模シナリオでは平均して容量の約3分の2で稼働し、1人あたりコストは約1.32 USD、すなわち比較的高価な機密APIとほぼ同等で最安値のものよりは高くなります。私たちの時間単位モデルでは、超過分を1人あたり1.25 USDの機密APIへ流す最初の自社ノードが採算に乗るのは、試算で確認した点ではアクティブ人数約2万人のときです。これは採用した前提の結果であって正確な閾値ではなく、より安価な機密APIがある場合にはこの規模でレンタルマシンは採算が合いません。 - 完全な機密マシンの時間単位レンタルは、今日、夕方のピークに対応する柔軟性を与えません。Phalaは少なくとも1日(8 × H200)または1か月(8 × B300)を必要とし、Confidential AIは時間あたり60 USDの8 × B300に3か月を必要とし、8 × H200を時間あたり64.62 USDで秒単位精算するVoltageGPUは、公開された証拠にこの構成やNVSwitchスイッチのアテステーションを含めていません。[^cai][^voltage] これにマシンの割り当てとウェイトの読み込みにかかる時間が加わります。 - Kimiについては、試算は測定値に左右されます。機密APIは1人あたり約8〜9 USDかかり、自社運用の8 × B300マシンはフル稼働時、高い方の容量推計で約6 USD、低い方の推計で約9.5 USDかかります。1台のマシンがこのモデルを利用する約5,100〜5,600人以上のアクティブな人々を処理できれば機密APIより安くなりますが、低い方の容量推計(約4,800人)ではそうなりません。 自社サーバーの購入:8枚のB300 GPUを搭載したSupermicroの完成品サーバーは、2026年9月時点で約66万3,000 USDでした。[^supermicro] このような購入の月額コストを次のように推計します。 | 項目 | 月額 | | --- | ---: | | サーバーの5年償却 | 約11,000 USD | | サーバーの4年償却 | 約13,800 USD | | コロケーション | 約1,900〜3,000 USD | | ネットワーク、部品、保守(推計) | 約1,500 USD | | 合計 | 約14,000〜18,000 USD | このようなサーバーにはDeepSeekのコピーが2つ収まり、世界規模シナリオで約3万5,000人(欧州シナリオで約2万8,000人)を、1人あたり約0.41〜0.52 USDで処理できます。これらの前提のもとでは、購入は1.11〜1.25 USDの機密APIに対してアクティブ人数約1万2,000〜1万7,000人から、最安の表明価格(0.70 USD)に対しては約2万1,000〜2万6,000人から安くなります。この試算にはこの構成の維持および測定の総コストは含まれていません。購入には前払いの現金、24時間態勢の人間の当直、および何年にもわたる安定した需要も必要であり、その場合ハードウェアへの物理的アクセスは財団が持つことになります(第2章)。これらは私たちの推計であり、提供条件の提示ではありません。 - 複数のGPUを備えた機密マシンは、今日米国で一般向けに提供されています。欧州連合(EU)内では1枚のH100 GPUを備えた機密マシンが見つかりましたが、[^azure-ncc] そこには完全版のDeepSeekもKimiも収まりません。欧州連合内のサーバーを用いた機密APIはPrivatemode(ドイツ・Edgeless Systems社)も提供していますが、モデルの選択肢はより少なくなっています。[^privatemode] これもプロバイダーの表明であり、検証が必要です。 - 機密APIを検証する独立したディレクトリは、2026年10月29日14:00 UTC時点の観測において、調査した95の経路のいずれについても完全な検証を確認しませんでした。最も多く欠けていたのは、実行中のプログラムの同一性の証明、コードの由来、およびリクエストとマシンとの紐づけでした。[^katalog] これは入手可能な証拠の結果であり、サービスが内容を開示していることの証明ではありません。独自の検証が完了するまでは、これらのサービスの機密性をプロバイダーの表明として扱います。 - 試算は計算処理を対象としています。4つの仮想プロセッサと8 GBのメモリを備えた1台または2台の機密マシン内のプライベート環境(ゲートウェイ、記憶、ファイル)は、Phalaでは1マシンあたり月額約168 USDかかり、ディスクは別途100 GBあたり約10 USDで精算されます。[^phala-cvm] この規模で十分かどうかはパイロット版で確認します。月額170〜340 USDとすると、30人では1人あたり約6〜11 USD、1,000人では数十セントとなります。試算には人間の労働、セキュリティレビュー、決済処理、および障害への備えは含まれていません。 - 一般的なサブスクリプションは月額約20 USDであり、DeepSeekのチャットは無料です。[^abonamenty] 100〜200 USDのプランは、集中的なエージェント作業においてAPI定価で数千ドル相当を提供しており、[^semianalysis] そのようなプランとは価格で競争しません。私たちは、検証可能なプライバシーを備えた実際の利用分の精算を提案します。 2026年10月29日時点におけるマニフェストの仮説の状態:試算は私たちを仮説へと近づけますが、それを確定するものではありません。表明された機密性とアテステーションを備えた処理はすでに公開価格表で利用可能であり、採用した利用プロファイルでは1人あたり月額約0.70〜1.25 USDかかるため、少人数のグループが原価でそこから始めることができ、私たちの前提においてはアクティブ人数が1万人台から数万人の規模で自社インフラの方が安くなる可能性があります。決着をつけるのは第9章の試行で検証する三つの事柄です。すなわち、これらのサービスの機密性が独立した検証を通過するか、利用可能なモデルの品質が人々がSuveriaに求めるタスクにとって十分か、そして実際のトラフィック・プロファイルがどのようなものかです。価格に重大な変更があったとき、および各試行の後には試算を更新し、以前の版も保存します。 ### 8.2. インフラの段階と決定カード 私たちはインフラを段階的に発展させます。各段階は次の段階へ進む義務を伴わずにそれ自体で参加者に価値を提供します。まずは機密APIと機密マシン内のプライベート環境(開始前に十分な資金が集まれば、直ちに次の段階から始めることもできます)、次に自社の機密マシンのレンタル、さらに機器の購入と外部データセンターへの設置、そして遠い将来、優位性が示されれば自前の建物です。次の段階への移行は測定されたデータによって正当化されます。すなわち、サービスの総コスト、実際のトラフィック、ピーク時の応答時間、安全対策を維持し障害に対応する能力、そして購入の場合には修理、機器の交換、および責任を引き継ぐ人々のための資金です。必要なモデルが機密APIで利用できない場合や、動作するものに対する完全な管理権を持ちたい場合にも、自社マシンのレンタルは意味を持ち得ます。 各移行は決定カードによって記述します。何が得られるか、総コスト、リスク、開始および撤退の条件、データと鍵の移行方法、ならびに[準備金の原則および今後の柱の立ち上げ原則](whitepaper-zasady-fundacji.md)(財団の運営原則のホワイトペーパー第8章)との整合性です。トラフィックのピーク時に自社マシンと機密APIとを組み合わせることは、それぞれの経路が承認された保護レベルを持っている場合にのみ許容し、より弱い選択肢への切り替えにはユーザーの別個の意識的な決定を必要とします。最初の測定はより小さなモデルを載せた1枚の機密GPU上で計画し、次の測定は完全なモデルが収まるマシン上で計画しています。 すべてを最高のピークに合わせてサイズ設定することなく、トラフィックに合わせて計算能力を調整します。可視化された待ち時間を伴う短いキューを設計し、その実際の時間、上限、および上限到達後の挙動をパイロット版で測定します。より長いピークに対する柔軟な計算能力は、承認された保護レベル、ユーザーの同意、および支出上限が保たれることを条件として、第一に機密APIが提供します。そのような経路がない場合には、待ち時間または利用不能について誠実に知らせます。時間単位のレンタルが意味を持つのは、機密APIに存在しないか機密APIでは明確に高価なモデルについて、かつプロバイダーが実際に機密マシンの迅速な起動と解放を許す場所に限られます。静かな時間帯における自社マシンの余剰計算能力は、Omniforum向けの解説作成など財団のタスクに活用したいと考えています。API価格換算でのその価値は予算への収入ではないため、そのようなタスクには独自の目的と予算を設定します。最初のパイロット版の後、二つのモードを検証したいと考えています。アシスタントとの通常の作業のための「対話」モードと、ドキュメントの翻訳など急がないタスクのための「急がない」モードです。「急がない」モードでは、おおよその開始時間帯、コスト見積もり、最大予算、完了分の精算を伴うキャンセルの可能性、および同じ保護情報を表示します。このような作業の低価格化は、固定費を二重計上することなく、公開されたコスト配分方法から導かれる場合にのみ可能です。 ### 8.3. 対話の内容を用いない利用測定 実際の利用分を精算するため、タスクの遂行に必要な資源を測定し、固定費の分担分を明確に記述します。精算メーターはコストの確認に必要なデータのみに限定され、請求書の発行に対話の内容は不要です。試行においては、測定の正確さ、ユーザーによる確認方法、開示されるメタデータの範囲、および支出上限に達した後のサービスの挙動を確認します。請求、端数処理、前払金、および返金の原則については[財団の運営原則のホワイトペーパー](whitepaper-zasady-fundacji.md)で説明します。 参加者が設定した支出上限は、事後の警告としてではなく境界線として機能するものとします。一部のプロバイダーは進行中のリクエストを完了後に初めて精算するため、上限を超えることがあります。たとえばTinfoilはそのように説明しています。[^tinfoil] そのため私たちは「予約枠(リザベーション)」を設計しています。リクエストを送信する前に、Suveriaのゲートウェイは進行中の他のリクエストを考慮しつつ、残高からその最大許容コストを取り置き、並行リクエスト数と応答の長さを制限します。完了後に実際のコストを精算し、未使用の予約枠を解放します。これは構築し検証すべき要件であり、すでに稼働している機能ではありません。 ## 9. 検収試行と結果ログ いかなるリリースであれ「機密」と呼ぶ前に、少なくとも以下の項目を文書化します。 - 正しいアテステーション - コードまたは鍵が差し替えられた後のデータ送信拒否 - セッションの隔離 - 管理者の制限 - ログ、ダンプ、およびテレメトリに内容が含まれないこと - キャッシュの扱い - 削除と回復 - 障害後の挙動 - ツールの境界 - 負荷時のコスト 結果には構成のバージョンと、私たちが保護の突破を試みたシナリオが含まれます。 私たちは、Suveriaのすべてのリリースが、機密サービスの独立した検証機関の少なくとも一つのすべての証拠ゲートを通過するようにしたいと考えています。すなわち、可用性を保ちつつ、ハードウェアとセキュリティ状態、証拠の鮮度、保護された環境への接続鍵の紐づけ、実行中のプログラムの同一性、コードの由来、および特定のマシンへのリクエストの紐づけを確認することです。結果は観測日、基準のバージョン、および特定のリリース・モデル・リクエスト経路に対する証拠とともに公開し、検証機関の利害関係も結果と合わせて記述します。いかなるランキングにおける順位も約束しません。検証の通過は、ある時点において、公開された制約のもとで、記述された検査に合格したことを意味し、監査や私たち自身の試行の代わりにはなりません。 独自の機密選択肢を立ち上げた際には、モデルの機密実行を検証するすべての独立したディレクトリにSuveriaを申請し、アテステーション確認用のエンドポイントを提供します。最初の例はconfidentialinference.net(2026年10月31日時点)です。[^confidentialinference] 掲載はディレクトリ側の判断であるため約束しませんが、申請すること、質問に答えること、および悪い結果も含めて日付とともに結果を公開することを約束します。ディレクトリが検証するのは外部から見えるもの、通常はアテステーションと接続チャネルのみであり、コードや構成の監査、あるいはサイドチャネルの評価の代わりにはなりません。 保管と移行の試行には以下の項目が含まれます。 - 別の権限ある端末での暗号化コピーの復元、および適切な鍵なしでの読み取り拒否 - 1台の端末の紛失、選択した方法でのアクセス回復、およびすべての鍵を失った場合の結果の明快な提示 - いずれかのバージョンを無言で上書きすることのない並行変更の同期 - 元の運営者のアカウントなしでの独立したツールによるエクスポートの読み取り、および原文・履歴・出典・関連性の比較 - 外部連携の範囲の制限、および権限取り消し後のさらなるアクセスの確実な停止 段階: 1. 機微ではない資料を用いたユーザビリティ・テスト 2. 保護の技術的試行 3. 明確な条件のもとでの限定パイロット版 4. 段階的な規模の拡大 パイロット版の前に、応答の最初の単語までの時間、測定されたプロファイルにおける1人あたり計算コスト、および[学習用教材とモデルベンチマークのホワイトペーパー](whitepaper-materialy-i-benchmark.md)によるモデルの品質という三つの閾値を定め公開します。これら三つをすべて満たしたとき、パイロット版が成功したと認めます。 モデル、ファームウェア、またはアカウントへのログイン方法の変更には再認定が必要となる場合があり、アップデートが合意された保護をひそかに弱めるようなことがあってはなりません。すべてのリリースには以下の公開カードがあります。 - 動作の範囲 - 試行からの証拠 - 既知の制約 - 責任者 - コスト - 問題の報告経路 - 撤退計画 欠陥が発見された場合には、露出の制限、影響を受けた人々への通知、および検証可能な修正へとつなげます。 試行は開かれた形で行いたいと考えています。セキュリティ、暗号技術、インフラ、アプリケーションに携わる人々、そして広い聴衆に技術を紹介するクリエイターの方々にも、テストの共同設計や、架空のデータを用いた専用のテストアカウント上での保護突破の試みに参加していただくよう呼びかけます。批判的な方々も歓迎します。宣伝のために金銭を支払うことはせず、すべての協力関係は[便益登録簿](whitepaper-zasady-fundacji.md)(財団の運営原則のホワイトペーパー第7章)に従って表示します。失敗したものも含め、結果は結果ログに記録されます。関与をご希望の方は、件名を「[Dołącz] Próby Suverii」として [salve@novusignis.org](mailto:salve@novusignis.org?subject=%5BDo%C5%82%C4%85cz%5D%20Pr%C3%B3by%20Suverii) までご連絡ください。 最も重要な試行:機密環境の外側(ゲートウェイ、ディスク、ネットワーク、ログ)で運営者権限を持つチームが、秘密の文字列が隠されたテストアカウントの対話を読み取ろうと試みます。私たち自身を含め誰か一人でもそれを抽出できたなら、試行は失敗です。 Suveriaの最初のリリースは、その構成を手伝ってくれる数人の人々に提供します。もしそれが機密APIを利用する場合、その保護カード(2.3節)には、モデルが外部プロバイダー側で動作していること、アテステーションはプロバイダーが表明しており私たちがまだ検証していないこと、そしてメタデータは保護されていないことが率直に記されます。最初の人々はサービスの運用も手伝うため、私たちが最初に公開する結果は、運営者が何をなし得たかの記述を伴う上述の最も重要な試行となります。 **結果ログ。** 2026年10月29日時点の状態:記述したいずれの試行もまだ実施しておらず、GPUも借りておらず、Suveriaでモデルを稼働させてもいません。今後のすべての結果は、試行が失敗したときも含め、日付、構成、シナリオ、および結論とともにここに追記していきます。 未決着のまま残っている事項は以下のとおりです。 - 最初のモデルと許容可能な品質レベル - 機密APIと機密マシンの独立した検証、およびGDPR(一般データ保護規則)を備えた欧州連合など個人データ保護が強力な法域におけるそれらの利用可能性 - 応答時間 - 鍵と記憶の規則 - 精算データの最小範囲 - 悪用の通報に対する運営者の法的義務 - 継続性を賄う資金調達の方法 [財団の運営原則のホワイトペーパー](whitepaper-zasady-fundacji.md)は予算、請求、および説明責任について記述し、[学習用教材とモデルベンチマークのホワイトペーパー](whitepaper-materialy-i-benchmark.md)はモデルの振る舞いの評価について記述しています。 Novus Ignis財団、ポズナン、KRS 0001269575。ウェブサイトおよびマニフェスト:novusignis.org。連絡先:salve@novusignis.org。 ## 注記 [^teefail]: [TEE.fail: Breaking Trusted Execution Environments via DDR5 Memory Bus Interposition](https://tee.fail/). ジョージア工科大学、パデュー大学、およびSynkhronixによる研究(2025年10月28日公開)。DDR5メモリバスへの物理的接続によるIntel TDXおよびSGX、ならびにAMD SEV-SNPのアテステーション鍵の抽出と、NVIDIA機密コンピューティングへの影響。サーバーへの物理的アクセスを必要とし、IntelおよびAMDはそのような攻撃を保護範囲外とみなしている。解説:[The Hacker News](https://thehackernews.com/2025/10/new-teefail-side-channel-attack.html)。2026年10月28日閲覧。 [^local-first]: [Kleppmann, Wiggins, van Hardenberg and McGranaghan (2019): Local-first software: You own your data, in spite of the 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2026年10月31日版。本ドキュメントは、Omniforumに関するマニフェストの原則を展開するものです。すなわち、私たちがどのように人々の相互理解を助け、対話の後に持続的な成果を残し、共に決定を下していきたいと考えているかについて記述します。プロトタイプの発展の方向性を記述しており、記述された各機能には別個の検収試行が必要であり、目標とする体験の記述はそれが今日すでに利用可能であることを意味しません。試行の結果は第9章に追記していきます。 *本稿は、2026年10月31日付のポーランド語原文をデジタル知能が翻訳したものです。版の間に相違がある場合は、ポーランド語の原文が優先します。* ## 1. Omniforumとは何か、何のために作られるのか Omniforumは、誰もが任意のテーマについて発言し、耳を傾けてもらえる対話の共有空間となることを目指しています。ポズナンのNovus Ignis財団が世界中のあらゆる場所にいる人々を念頭に置いて設計しており、オープンなコードを備えたデジタル公共財として提供したいと考えています。そこではデジタル知能が、常に作成者の管理のもとで、発言を個々の思考へと分解し、それらを出典や他者の思考と結びつける手助けをします。参加者が共有することを選んだ対話からは、後から立ち返ることのできる成果が残ります。 Omniforumが作られるのは、素早いコメントの奔流のなかでは優れた論拠が容易に埋もれてしまい、同じ論争が何度も最初から繰り返されてしまうからです。私たちは一文のなかに多くの前提、価値観、期待を込めています。互いに理解し合えている限り、それで十分です。しかし、誤解が生じたときや、何をすべきかを共に決定しなければならないときには、同じ言葉で私たち一人ひとりが何を意味しているのか、何が私たちを結びつけ、推論の道筋がどの地点で分かれているのかを確認することに価値があります。 Omniforumにおいて、私たちは以下のことができるようにしたいと考えています。 - 自らの思考を整理し、公開前に、モデルが提案した解釈が自分の意図を伝えているかどうかを確認すること。 - 他者の発言を、その前提、価値観、および出典とともに理解すること。 - 立場を比較し、共通の目標と、見解の相違が始まる地点の両方を確認すること。 - 1週間後あるいは1年後に課題へ立ち返り、変化した部分のみを確認すること。 - 自分自身の過去の発言に立ち返り、考えを変える権利を保ちつつ、自分の思考がどのように変化したかを確認すること。 - 料理、園芸、修理といった日常の関心事をフォローし、試された解決策を比較すること。 - 共同決定に向けてアイデアを準備すること。すなわち、アイデアカードにそれを記述し、論拠を集め、投票が稼働した際にはコミュニティの投票に付すこと。 目指しているのは論争の勝者を決めることではありません。私たちの立場に疑問を投げかける論拠は、それを支える論拠と同じくらい価値があることがあり、他者がより良いアイデアを見つける手助けをしてくれるようにアイデアを持ち込むこともできます。短い物語から課題を知り、選んだ論拠へとさらに深く入り、訪問を明確に終えることができます。訪問の後で課題をより良く理解でき、穏やかに自分の用事へと戻れるとき、私たちはその訪問が成功したとみなします。クリック数やサイトでの滞在時間は便益の尺度ではありません。 発言を個々の思考へと分解することは、対話を無味乾燥な図表に変えるためのものではありません。論争において私たちが互いに苛立つのは、悪意からではなく、一文が複数の前提を含んでおり、各自が別々の前提に反応してしまうからであることが少なくありません。「つまりこういうことを言いたいのですね、私の理解は合っていますか?」という素朴な問いかけが、双方の対話のトーンを変えます。Omniforumの技術層全体は、まさにこうして相手に確かめようとする自然な心の動きを支えるためのものです。 対話は、屈辱を伴わずに考えを変える余地を残すものとします。誤りを認めることも、次の問いを立てることも、あるいは合意を表明しないまま終えることもできます。参加者の尊厳は結論を受け入れるかどうかに左右されず、主張の評価はその根拠に依存します。 Omniforumは、デジタル知能と作業するためのプライベートな空間であるSuveriaを補完します。思考をまずプライベートに磨き上げ、その後意識的に共同の対話へと持ち込むことができます。両プロジェクトが生まれる土台となった価値観は、財団の[マニフェスト](manifest.md)に記述されています。以下では順に次の事柄を示します。 - 発言をどのように思考へと分解し、その出典を保つか(第2章および第3章) - この支援が他のサービスでどのように機能し得るか(第4章) - 課題、課題マップ、アイデアカード、およびイニシアティブがどのように生まれるか(第5章) - ここからどのような新しいメディアが育ち得るか(第6章) - プライバシーをどのように保護するか(第7章) - 共同の決定をどのように下すか(第8章) - これらすべてが実際に役立つかどうかをどのように検証するか(第9章) ### 1.1. 日常の関心事と、穏やかにテーマへ立ち返ること Omniforumは、公共の課題だけでなく、実践的な知識や日常の関心事、すなわち植物の手入れ、料理、修理、あるいは新しいスキルの習得においても役立つことを目指しています。自分のツタにできるだけ長いツルを伸ばさせたい人を例にとりましょう。Omniforumではこのテーマをフォローし、他の人々が何を試したか、すなわちどのような置き場所、水やり、肥料がうまくいき、何が失敗したかを読むことができます。そのような各経験は作成者と出典とともに記録され、異なる対話から出た似た助言は別々のスレッドに埋もれるのではなく一つの場所に集まります。こうして「課題マップ」が生まれます。いつでも立ち返ることのできる、経験、論拠、および開かれた問いの整理された集まりです。個々の思考からそれをどのように組み立て、出典と結びつけるかについては、第2章、第3章、および第5章で説明します。 解決策は各自の基準に従って比較することができます。ある人は速さを重視し、別の人は安さを重視し、3人目の人は手入れを怠っても枯れない植物を求めるため、すべての人に対する一つの答えを探すことはしません。各経験には、日照、室内の温度、土の種類など、それが得られた条件を一緒に保存します。また、誰かが観察したことと、なぜそうなったかについてのその人の説明とを区別します。これにより、異なる方法を並べて比較し、自分の状況に合ったものを選ぶことができます。 1週間後あるいは1年後にテーマへ立ち返ったときには、前回の訪問以降に変化したこと、すなわち新しい経験、修正、試行の結果、および依然として開かれたままの問いだけが見えるようにします。どのくらいの頻度で新着情報を確認するか、また通知を受け取るかどうかは本人が自分で決定します。変更点を確認した後には、このテーマの新着情報をすべて確認したという明確な案内が表示され、穏やかに自分の用事へと戻ることができます。 ### 1.2. 無料であるもの Omniforumの閲覧、発言の公開、思考とアトムへの手動での分割、出典の追加、協議、および投票はすべて無料であり、金銭によってより広い到達範囲やより強い発言力が与えられることはありません。コストが生じるのは、長文の分解などにおいてモデルの支援を利用する場合のみです。そのコストはSuveria内の自身の残高または自身の端末上のモデルによって賄われ、残高のない人々は、財団が支援予算と使途指定寄付の範囲内で余剰計算能力を用いて運用する無料キューを利用することができます。財団が自前のマシンを維持しているときには、その余剰能力をキュー方式かつ時間保証なしでこのようなタスクに充てます。機密APIのみを利用している間はすべての処理に費用がかかるため余剰能力は存在せず、その場合は残高のない人々のタスクを、この目的のために寄せられた寄付からのみ、それが尽きるまで賄い、登録簿にそれを示します。一度確認された分解は共通の成果に入るため、それを開くために誰かが再度支払うことはありません。 ### 1.3. 用語集 本ドキュメントで使用される最も重要な名称は以下のとおりであり、指定された章でより詳しく説明されています。 - **アトム:** 意味の最小の積み木であり、一語または数語で名づけられる単一の概念または一つの具体的な事柄(第2章)。 - **分子:** 結合によって結ばれたアトムから組み立てられた思考であり、主張、問い、価値観、または条件(第2章)。 - **ラベル:** アトムを呼ぶための言葉。一つのアトムは異なる言語のものも含め複数のラベルを持つことができる(第2章)。 - **結合:** 分子内でアトム同士を結ぶ関係であり、「〜の一部である」「〜という性質を持つ」「〜を引き起こす」「〜を防ぐ」など(第2章)。 - **連鎖:** 前提から結論へと至る分子の並び(第5章)。 - **課題** (*Causa*):何かを理解し、比較し、あるいは共に行いたいために人が立ち返りたいと願う問いまたは論点(5.1節)。 - **課題マップ** (*Mappa Causae*):互いに矛盾するものも含め、異なる人々の連鎖を出典および開かれた問いとともに並べたものであり、後から立ち返ることができる(1.1節および第5章)。 - **アイデアカード** (*Charta Ideae*):アイデアのステータスと8つの問いへの回答を伴い、どこへ到達したいのか、そして直近の一歩が何かを示すビュー(5.2節)。 - **イニシアティブ** (*Inceptum*):課題マップとアイデアカードから生まれる具体的な行動の提案(5.3節)。 - **Omnium:** OmniAPIを通じて他のアプリケーションからも利用可能な、Omniforumの公的成果のオープンデータベース(第4章)。 - **Ignis:** 思考を最初に共有する段階。マニフェストは公開の瞬間そのものを「Ignisの儀式」(*Caerimonia Ignis*) と呼ぶ(第3章)。 - **Formatio:** コミュニティが思考を考察し、論拠、出典、留保を加え、合意(コンセンサス)を探る公開後の段階(第3章)。 - **Consensus:** バージョン、範囲、確認した人々、および反対意見を伴うコミュニティの共通の合意(第3章)。 - **Terra Incognita:** 今日私たちが根拠を示せることの境界を名づけ、新しい問いへの答えを意識的に探し始める任意の儀式(設計段階、第3章)。 - **Principium:** 原則を自分のものとして「個人のカノン」(*Canon Personalis*) に採用すること(5.6節)。 ## 2. アトム、分子、およびそれらの由来 私たちは発言を二つのレベルに分解します。アトムは意味の最小の積み木であり、たとえば「干ばつ」「木」「私たちの通り」のように一語または数語で名づけられる単一の概念または一つの具体的な事柄です。各アトムには、人物、場所、出来事、プロセス、価値観、概念のいずれであるかという「性質」を割り当てます。アトムは、私たちが正確に何について話しているのかを示し、同じ言葉で異なる人々が異なる事柄を理解しているときにそれに気づく助けとなります。分子は、「〜の一部である」「〜という性質を持つ」「〜を引き起こす」「〜を防ぐ」といった結合によって結ばれたアトムから組み立てられた思考であり、主張、問い、価値観、または条件です。意味には留保や例、文脈が必要な場合があるため、短い文である必要はありません。対話において分子は論拠によって支持したり疑問を呈したりすることができますが、アトム自体は真でも偽でもありません。 アトムは言葉ではなく意味です。恒久的な識別子と定義を持ち、私たちがそれを呼ぶ言葉はそのラベルです。一つのアトムは、異なる言語での名称、同義語、文脈に応じた表現など、複数のラベルを持つことができます。干ばつは英語では「drought」、ドイツ語では「Dürre」、ラテン語では「siccitas」と呼びます。ワルシャフスカ通りをその住民は「私たちの通り」と呼び、別の人は「あの界隈」と呼ぶかもしれません。これにより、異なる言語も含め異なる言葉を使う人々が同じ事柄について語り合うことができ、またラベルが本当にそのアトムを伝えているかどうか自体も対話のテーマになり得ます。生物学、医学、法学など定着したラテン語名が存在する分野では、それを基準ラベルとして追加します。 表現とアトムとの紐づけは、発言全体の分割と同様に、作成者が確認する提案です。また、それがプライベートな情報である場合もあります。「私たちの通り」がワルシャフスカ通りを意味するという事実は誰がどこに住んでいるかを明かすことになるため、この紐づけを他者に見せるかどうかは作成者が決定します。 アトムの定義もOmniforum内に記録されます。百科事典の項目が他の言葉によって説明されるのと同様に、他のアトムとそれらの間の関係から構成されます。これにより、特定の概念のもとで私たちが正確に何を理解しているかが見え、定義も他のあらゆる思考と同様に考察し改善することができます。このような記録はいかなる特定の言語にも依存せず、その隣には多言語の通常のテキストでも定義を添えることができます。他のアトムの定義に使われているアトムが変更されたときには、それらの定義を「要確認」として表示します。 すべての分解、割り当て、および紐づけは、モデルを介さずに手動の経路で、同じツールを用いマップ上で同じ結果を得る形で行うことができます。手間はかかりますが、何かがどのように作られたかについての完全な見通しを与えてくれます。モデルは利便性のために同じステップを提案し、各要素の隣には手動で作られたのかモデルの提案から作られたのか、またどのモデルによるものかが表示されます。私たちは手動の経路を非常用のモードとしては扱いません。すべてのバージョンでこれを維持し、この経路だけで課題全体を通しで扱えるかどうかを試行で検証します。 すべての分子とすべてのアトムの使用には、それらがどこから来たのかを記録します。どのテキストの、どのバージョンの、正確にどの箇所から、どの言語で、どのような前後の文脈で来たのかです。これにより、いつでも原文へ立ち返り、文脈のなかでその文を読むことができます。二つの異なるテキストに書かれた同じ言葉は、異なる文脈では異なる意味を持ち得るため二つの別個の出現として扱い、確認済みの紐づけがあって初めて同じアトムへと結ばれます。また、誰がいつ発言の分解を作成したか、そしてモデルが支援した場合にはどのモデルがどのバージョンの指示を用いたかも記録します。 私たちは以下の三つの層を区別します。 - **元の発言:** 実際に公開された、または分析のために提出されたもの。 - **提案された解釈:** モデルまたは人間によって提案されたものであり、作成者と確認の度合いが示される。 - **意味の確認:** 作成者が特定のバージョンの整理を自らの意図に沿うものとして認めること。 確認が意味するのは、作成者がその分解のなかに自分の思考を認めたということだけです。作成者が正しいことを証明するものではなく、他者がそれに同意していることを意味せず、投票における一票でもありません。作成者は分解を修正することも、分割せずに自分の発言をそのまま全体として残すこともできます。 読み手は作成者を待つことなく、他者の発言を自分なりに分解することができます。そのような分解は、読み手の名前またはペンネームを付した「読み手の解釈」として表示します。作成者の発言の分解として表示するのは、作成者が確認したバージョンのみです。作成者の沈黙は同意を意味しません。 可搬性(ポータビリティ)の参照点は、コメントの内容を指定されたリソースやその断片と結びつける方法を記述したW3C Web Annotationデータモデルなどのオープンなアノテーション(注釈)標準です。[^web-annotation] ただし、これはOmniforumのすべての関係性をそのまま備えた既成モデルではありません。 ## 3. 自然な発言から共同の整理へ Omniforumにおいて、思考は一連の段階を経ます。第一は、思考を最初に共有する段階であるIgnisです。思考はOmniforum内で生まれることがあります。その場合、作成者は「Ignis工房」(*Officina Ignis*) においてデジタル知能の助けを借りて思考を分子とアトムへと分解し、解釈が自らの意図を伝えていることを確認し、意識的に公開します。本章で説明するのはこの流れです。また、作成者が自らのプライベートな思考の工房で磨き上げたSuveriaから持ち込まれることもあります。その場合はIgnis工房を経ずに直ちに公開されます。いずれの場合も、マニフェストは公開の瞬間を「Ignisの儀式」と呼び、その後Formatioの段階が始まります。コミュニティが思考を考察し、論拠、出典、留保を加え、合意を探ります。共通の合意を私たちはConsensusと呼び、合意がない場合でも誠実に記述された対立はこの作業の成果となります。共通の合意にはそのバージョン、範囲、確認した人々、および反対意見を記し、沈黙を合意として数えることはしません。 私たちは自然に対話します。Ignis工房の流れは通常のテキストまたは選択された一節から始まり、ユーザーが目的(理解、論拠の抽出、自らの回答の準備、または立場の比較)を定めます。マップを手動で組み立てることも希望者のための選択肢として残ります。 デジタル知能は分解を提案し、各分子の隣に発言のどの部分からそれを導き出したかを示します。作成者はすべてを順々に確認する必要はありません。モデルは、意図から外れた可能性のある箇所や、発言が複数の意味に解釈され得る箇所を指摘するものとします。作成者はそれらの箇所を修正し、全体を承認します。分解全体を一度に受け入れられるのは、具体的に何を受け入れるのかが見えており、詳細へと立ち返ることができる場合のみです。試行では、承認作業が自分で発言を分解するより多くの時間を要しないかどうかを確認します。 分解を提案するモデルには独自の癖があります。独特の言い回しを平準化し、異なる声を似たような響きに揃えてしまう傾向があり、また出来合いの提案は変更なしにそのまま受け入れられがちです。そのため、モデルの支援を用いない経路も対等な位置づけとし、モデルの支援ありで作成された分解と支援なしで作成された分解とを定期的に比較します。 例:「干ばつに強い樹種を選ぶなら、私たちの通りに木を植える価値がある」という発言には、条件によって結ばれた二つの分子が含まれています。第一の「私たちの通りに木を植える価値がある」は、アトム「木」と「私たちの通り」を結びます。第二の「干ばつに強い樹種を選ぶ」は、アトム「樹種」と「干ばつ」を「〜に強い」という結合で結びます。条件は意味の一部であり続けるため、この発言を無条件の「私たちの通りに木を植える価値がある」へと単純化してはなりません。もしモデルが「作成者はこの地域の干ばつを問題だと考えている」と付け加えたなら、それは作成者の言葉ではなくモデルの推論として表示します。 すべてを一度に分解することはしません。分解は具体的な作業に役立つときに、必要な深さまでだけ行います。最初の提案では「干ばつに強い樹種」のような長めの句をそのまま残すことができ、単一の概念に意味がかかっている箇所やそれをめぐって論争が生じ得る箇所では、作成者または読み手がさらに細かく分解します。不要な分割が少ないほど計算コストは下がり、読み手の負担も減り、誤ったつながりも少なくなります。 また、二つ目の任意の儀式も検討しています。今日私たちが根拠を示せることの境界を名づけ、新しい問いへの答えを意識的に探し始める瞬間です。その際、あり得る説明は仮説として表示します。昔の地図製作者がまだ探検されていない土地を地図上に記したように、私たちはこれをTerra Incognitaと呼びます。その具体的な形は今後定めます。 ## 4. 人々がすでに対話している場所での理解への支援 動画を視聴したり記事を読んだりするとき、今日私たちは何よりもまず受け手です。せいぜい下にコメントを書き添えることができる程度で、それも他のコメントのなかに容易に埋もれてしまいます。私たちは、テキストの特定の一節や映像の特定の瞬間に、「これには同意しない、これに対する論拠または出典がある」と言えるようにしたいと考えています。そのようなコメントは、気づいてもらい考察してもらえる場所、すなわちOmniforumの課題マップへと届き、作成者やサービスが私たちのアドオンを利用している場合にはそこへも届くようにします。そのとき、受け手は参加者となります。 Omniforumは、散在する対話が一つの全体へと結びつく場所となることを目指しています。異なる発言からの思考、その出典、論拠、およびそれらの間の関係性が共通の課題マップへと集まります。しかし、人々はソーシャルメディア、フォーラム、記事のコメント欄、メーリングリストなど多くの場所で同時に対話しています。私たちはそれらすべてを一つのサービスへ移したいわけではありません。人々が分かり合いたいと願うあらゆる場所で相互理解への支援が利用できるようにし、Omniforumの成果がそこでも役立つようにしたいのです。 このような支援は双方向に機能します。対話からOmniforumへ:作成者は自らの発言を分子とアトムに分解し、モデルが提案した解釈が自らの意図を伝えているかを確認して共有マップへと意識的に持ち込むことができ、読み手は他者の発言の解釈を「読み手の解釈」として表示し出典と紐づけたうえで作成することができます。Omniforumから対話へ:ユーザーの求めに応じて、アドオンはその課題についてすでに対話が行われていること、以前にどのような論拠や出典が出されたか、そしてどこから見解の相違が始まっているかを示すことができ、論争を最初からやり直す必要がなくなります。その際アドオンは、他のアプリケーション向けの文書化されたインターフェースであるOmniAPIを通じて、Omniforumの公的成果のオープンデータベースであるOmnium(ラテン語で「すべての人の」)を活用します。 私たちは二つの経路を計画しています。サービスの管理者は、入力欄の隣のボタンや埋め込みモジュールなどとしてアドオンを組み込むことができます。それを行うかどうか、またどの範囲で行うかは管理者の判断のみに委ねられます。サービスにそのようなアドオンがない場所では、オープンなブラウザ拡張機能が動作するものとします。拡張機能はそれをインストールした本人のみを助け、本人が見て選択したものに対して機能し、サービスや他のユーザーに見えるものを変更しません。ユーザーが結果をそのサービス上の対話へ持ち込みたい場合は、そのサービスの規則に従ってユーザー自身が行います。Hypothesisなどの既存のアノテーション・ツールは、拡張機能およびウェブサイトとの連携を通じた作業が可能であることを示しています。[^hypothesis] 第2章で述べたW3Cのオープンなアノテーション標準は、テキストの一節と映像内の時間区間の双方を指定することを可能にします。[^web-annotation] 分子とアトムへの分割および意図の確認は、私たちの別個の設計上の作業として残ります。 提案するアドオンの動作は以下のとおりです。 1. ユーザーがテキストを選択し、どの範囲が、どのモデルによって、どこで読み取られるかを確認します。 2. 修正または却下可能な、整理のプライベートな提案を受け取ります。 3. 結果をコピーしたり、プライベートに保存したり、Omniforumでの公開を準備したりすることができます。 4. 公開前に、出典、整理の作成者、資料に対する権利、公開範囲、および他者に関するデータの有無を確認します。 5. 研究用データセットへの参加について別途決定し、モデルの学習への使用についても別途決定します。 サービスの管理者によるアドオンの組み込みは、内容を送信するというユーザーの決定の代わりにはなりません。拡張機能は可能な限り狭い権限のみを要求し、閲覧履歴、メールボックス全体、あるいは隣接する対話の内容をバックグラウンドで送信することはせず、デフォルトでは選択された資料のみを処理します。特定の課題に関する過去の対話の検索もユーザー自身が起動します。プライベートな対話からの発言は他者にも関わるため、そのような対話の外へ何かを持ち出す前にはアドオンが明確に注意を促すものとします。品質とハードウェア要件が許せば、ローカルモデルも選択肢の一つになり得ます。 Omniforumはコミュニティ・プロジェクトとなることを目指しており、その成果は人々自身がそこへ持ち寄るものから生まれます。私たちは、作成者のあずかり知らぬところで分子とアトムに分解するためにインターネットから発言を自動収集することも、そこから人々のプロファイルを構築することも計画していません。テキストがインターネット上で閲覧可能であるという事実は、それをさらに再配布したり、プロファイリングしたり、それでモデルを訓練したりする権利を決定づけるものではありません。他のサービスからの発言の自動整理を検討するのは、当該サービスがそれを許可し、かつ対象となる発言のすべての作成者があらかじめそれに同意している場合に限られます。一方、誰もが公開ドキュメントや公の発言を対話に持ち込み、適切な範囲内で、かつ作成者がその整理を承認したかのように帰属させることなく、出典を参照しながら議論することができます。 ## 5. 課題、そのマップ、およびアイデアについての物語 分子からより大きな全体が作られます。分子同士は、根拠、留保、条件、例、および予測される帰結という関係によって結ばれます。前提から結論へと至る分子の並びを私たちは「連鎖」と呼び、各移行ステップにおいて、それがどの規則に依拠し、どのような前提を置き、どこに抜けがあるかを記録します。「課題マップ」は、互いに矛盾するものも含め、異なる人々の連鎖を並べて示します。私たちの通りの木という課題においては、一つの連鎖は猛暑のなかの日陰と涼しさから「植える価値がある」という結論へと至り、もう一つの連鎖は水やりのコストと歩道の下の根から「低木の方が良い」という結論へと至るかもしれません。同じ言葉が対話参加者にとって異なる意味を持つときには、同じラベルを持つ別々のアトムとして記録するため、誤解の源泉が一目でわかります。すべての関係は検証すべき提案であり得、言葉の類似性はつながりを探す助けにはなりますが、二つの思考が同じ意味であることや一方が他方から導かれることを証明するものではありません。 マップにより、何について対話が行われているのかを素早く確認でき、いつでも元の発言へとたどり着くことができます。その要約、すなわち統合(シンセシス)は、資料がどのように選ばれたかを示し、重要な少数派の立場を保ち、どのようなデータが欠けているかを指摘します。全員が署名するような一文へと論争を無理に縮約する必要はありません。誠実に記述された対立は、共通の解決策と同じくらい価値ある対話の実りです。 課題マップは穏やかに開きます。まず一つの主要な結論とその強さの短い説明が表示され、その下に選択可能な複数の根拠の経路が並びます。自分の疑問に対応するものを展開することも、戻ることも、終えることもでき、マップの残りの部分はすぐ手元に控えています。 結論の隣には、証拠がどれほど強く独立しているか、結論自体がどれほど十分に裏づけられているか、そしてどれほど幅広く合意されているかを別々に示します。参加者全員が同意していても、その根拠が未検証の一つの証言だけなら、結論は依然として弱いままです。これらの評価の尺度は今後策定しベンチマークで検証しますが、十分に確立された事実にみせかけの不確実性を付け加えることはしません。 マニフェスト(5.1節)は共同の熟考を事実、価値観、仮説に分けています。Omniforumでは、分子が検証可能な事柄について語っているのか、ニーズや価値観について語っているのか、あるいは仮説について語っているのかという表示がこれに対応します。アイデアカードはこれらの表示をそのステータス(稼働中、設計段階、仮説、ビジョン)に集約します。 マップからは「アイデアについての物語」が生まれ得ます。問いが何に関するものであり、何がすでに共に確立され、どこに相違があり、それらが何に依拠し、何があれば評価が変わり得るのかを順を追って案内する親しみやすいガイドです。優れた物語は区切りの瞬間を与えます。何が確立され、どこでまだ論争が続いているのかがわかるのです。新しい出典が現れたり、重要な条件が変わったり、誤りが明らかになったりしたときには、対話を明確な形で再開することができます。 すべての変更は履歴に残ります。分子やアトムの統合、分割、および取り下げは参照と以前のバージョンを保持するため、マップの現在の姿がどのように生まれたかを復元できます。出典が変更されたときには、それに依拠する整理の意味をひそかに変えるのではなく、「要確認」として表示します。 複数の出版物が同じ元の報道を繰り返している場合にはそれを表示し、由来を特定できない場合には「由来未特定」と記します。出典の修正は再確認が必要な整理を指し示しますが、結論全体や異なる解釈を自動的に無効にするものではありません。 ### 5.1. 問いへの回帰点としての課題 課題とは、何かを理解し、比較し、あるいは共に行いたいために人が立ち返りたいと願う問いまたは論点です。分子が単一の思考であり続けるのに対し、課題は一つのニーズの周りに多くの分子、連鎖、出典、およびドキュメントを集めます。課題は通りの木についてのような公共の問いであることも、銀行との次の面談にどう備えるかといった個人的な問いであることもあり、そこにドキュメント、過去の回答、およびさらなる疑問点を添付することができます。 課題への固定リンクは、それに関わるすべてのもの、すなわち問い、文脈、出典、論拠、現在の知見の状態、および変更履歴へとつながります。各論点について、出来事、推測、価値の選択、計画のいずれに関わるか、どの時期とどのような条件に関わるか、そしてその評価が何に依拠しているかを明記します。投票は決定や参加者の立場を示すことができますが、主張の真偽を決めるのは票数ではなく出典と検証です。 問いを記録することは、まだ行動の決定ではありません。誰かが作業を引き受けるときには、誰が責任を持ち、次の一歩が何であり、何を期待するかを別途定めます。延期または辞退は、その理由とテーマへ立ち返る道筋を残します。自分の課題を誰が見るかは参加者自身が選びます。Suveriaでプライベートに取り組んでいる事柄は、Omniforumで意識的に共有する資料から切り離されたまま保たれます。プライベートな課題はSuveria内で進められ、作成者がグループまたは公に共有したときに初めてOmniforumへと入ります。課題の共有登録簿は、別個のプロジェクトと試行で検証していく方向性です。 ### 5.2. アイデアカード:未来像から最初の試行へ 大胆なビジョンは現実離れしたものとして、慎重な計画は目的を欠いたものとして片づけられがちです。アイデアカードはこの二つを結びつけ、私たちがどこへ到達したいのか、そして直近の一歩が何かを示します。アイデアのステータス(「稼働中」「設計段階」「仮説」または「ビジョン」)を示し、以下の8つの問いに答えます。 1. **それは何か?** 定義、概念の境界、および期待される結果の見分け方。 2. **何のためか?** 誰のニーズを満たし、どのように尊厳を守り、それを利用する人の日常の1日がどのような姿になるか。 3. **なぜか?** 事実と出典によって記述された、今日の世界における問題。 4. **どのように、何から作るか?** 仕組み、ゼロから作る代わりに活用できる既存の資源、および直近の一歩。 5. **何が変わらなければならないか?** 技術的、法的、経済的条件、および信念(今日私たちが一般に受け入れている信念と、必要となる信念)。 6. **収支(バランス)と他の道筋は?** 誰が利益を得て、誰が移行のコストとリスクを負うか、そしてどのような合理的な代替案があるか。 7. **どのような試行を行うか?** 恩恵を受ける人々、コストを負う人々、およびその解決策が合わない人々の参加を得て最初に何を検証するか、またどのような結果が出れば私たちは考えを変えるか。 8. **過去に似たことが起きたか?** かつては不可能に思えた変革と、それを可能にした要因、および私たちの状況との相違点。類似の例はそのような道筋が可能であることを示しますが、私たちが成功することを証明するものではありません。 カードは単一の分子ではなく、相互に結びついた多くの概念、主張、出典、条件、および試行のビューです。カード同士を結びつけてより長い道筋にすることができ、その場合は共通の資源と依存関係を示し、個々の部分の確認が道筋全体の確認を意味するわけではないため選択した区間を全体として検証します。目的、方法、および必要な変化についての問いは、エリック・オーリン・ライトの「リアル・ユートピア」の三つの基準、すなわち解決策が望ましいか、機能し得るか、そしてそこへ到達できるかに対応しています。[^wright] カードの履歴は、ビジョンと現実を結ぶ橋がどのように次の径間(スパン)を獲得してきたかを示します。最初のカードには、財団のマニフェストにある理念を取り上げる予定です。 ### 5.3. 課題からイニシアティブへ 課題に関する対話が「何を行う価値があるか」についての共通の合意に至ったとき、それに基づいてイニシアティブ、すなわち具体的な行動の提案を立ち上げることができます。イニシアティブは課題マップとアイデアカードから生まれるため、依拠する分子、連鎖、および出典へのリンクを保持します。その中核は、明確に記述された目的、条件、提案される行動、および期待された効果をもたらしたかどうかの確認方法です。共有資金に関する決定へと進む前に、マニフェスト5.3節の「緑の経路」、すなわち事実に基づく裏づけと、それが立つ価値観に対するコミュニティの合意が必要です。 イニシアティブは一連の別個の決定を経ます。まず目的とあり得る選択肢についての対話、次にこのバージョンがさらなる作業に値するかどうかの決定、続いて見積もりと実現可能性の評価、そして最後に実行と資金源についての決定です。目的への合意は、コスト、実行者、あるいは期限をまだ決定づけるものではありません。目的、範囲、または予算の重大な変更はイニシアティブの新しいバージョンを生み出し、影響を受ける決定をやり直します。拘束力のある投票が稼働するまでは、これらの決定は第8章で説明するアジャイルフェーズにおいて、協議を経た後に理事会が下します。 イニシアティブには二つの方法で資金を提供できます。一つは、[財団の運営原則のホワイトペーパー](whitepaper-zasady-fundacji.md)の規則に従い、常に第Iの柱を最優先としたうえで、財団が共有予算から費用を賄う方法です。もう一つは、寄付者の支援に開く方法です。イニシアティブの実現を望む個人または企業が、使途指定の拠出金によってその全コストを賄います。拠出金によって追加の票や財団の決定に対する影響力が与えられることはありません。いずれの場合もイニシアティブを実行し責任を負うのは財団であり、財団外の個人や団体が運営するプロジェクトへの資金提供は計画していません。 実行に移されるイニシアティブには、責任ある実行者、予算、期限、および検収基準があります。完了後には、試行が失敗したときも含め、実際のコスト、結果、および結論を公開します。 ### 5.4. 繰り返される質問と共通の見解 個人、チーム、機関は、多くの場所で同時に同じ質問や批判を受けることがよくあります。私たちが設計しているダッシュボードは、それらに対して一度で、整理された形で回答することを可能にします。すなわち、作成者が承認した見解を、対象となる質問、論拠、および出典と結びつけます。反復の回数は批判の重みを示すものではないため、ビューは何よりもまず内容と、批判のなかの新しい点とを示します。 第4章で説明したアドオンは、コメントをそのような回答へと紐づけることを提案できます。自動マッチングは明確に表示され修正可能であり、コメントの作成者はそれが何と結びつけられたかを確認でき、「私のコメントは別のことに関するものだ」と報告することができます。新しい論拠は、たとえ以前のものに似ていても独自の場所を得ます。作成者が回答したという事実は、その回答が対話相手を納得させたことをまだ意味しません。 ダッシュボードは作成者が確認した見解のみを提示します。モデルが準備した回答は、作成者を代表するものとなる前に承認されなければなりません。スレッドをフォローしている人は、新しい回答の通知を受け取るよう選択できます。数年前の発言とその後の考えの変化を伴うこのような活用の例を、財団のウェブサイトで示したいと考えています。 ### 5.5. 生きたドキュメントと公開レビュー 私たちは、マニフェストやホワイトペーパーといった財団自身のドキュメントにも同じツールを活用したいと考えています。コメントを寄せた人々それぞれの相違点、文脈、および経験を保ちつつ、繰り返されるコメントをグループ化する助けとするためです。各異議をテキストの具体的な一節に結びつけることで、回答を確認し、新しい論拠を追記し、修正がどこから生まれたかをたどれるようにします。これにより、大きな批判の波であっても作成者を圧倒するのではなく具体的な修正へと変わることができます。 ドキュメントの最新版は作成者の現在の見解を示します。履歴は以前の文言、変更の理由、および引き受けた約束を保持するため、行動をその時点で表明されていたことに照らして評価することができます。新しい改訂は誤りを正すことを可能にしますが、以前の決定に対する責任を取り除くものではありません。 まずは自らのウェブサイトから始めます。novusignis.org のマニフェストおよびホワイトペーパーのページでは、一節を選択してワンクリックで引用とその箇所へのリンクがすでに入ったコメント付きメールを作成できます。これはシンプルな最初の一歩です。メッセージは財団にのみ届き、そこから公開の対話が生まれるわけではありません。将来的には、私たちのドキュメントへのコメントはOmniforumへと届き、他の人々がそれを見て議論できるようになる予定です。変更につながったコメントはドキュメントの履歴に記録します。 ### 5.6. 価値観についての対話における個人のカノン 「個人のカノン」とは、人が自分のものとして認める原則の集まりです。Suveriaのプライベートな空間で作られ、本人が意識的に共有した原則のみがOmniforumへと入ります。原則を自分のものとして採用することを私たちはPrincipiumと呼びます。これは第3章で説明したすべての段階、すなわち新たに共有された思考(Ignis)の時点、コミュニティの考察(Formatio)の最中、あるいは共通の合意(Consensus)の後において行うことができます。Principiumは、多数派に対する反対意見であり続けるときであってもカノンのなかに自らの居場所を持ちます。 カノンはより大きいこともより小さいこともあり、互いに包含し合ったり部分的に重なり合ったりすることがあります。個人のカノンのほかにも、コミュニティのカノンや特定の伝統の原則の記述が存在し得、それらを並べることでどこで一致しどこで合意がないかが見えてきます。出発点として採用された原則と、前提および推論の連鎖が見える結論とを区別します。根拠の欠如や争いのある移行ステップは原則を無効にするのではなく、さらなる熟考のための場所を示します。原則が依拠する事実はマップとその出典から来ており、カノンへの採用がそれらの真偽を決定づけることはありません。 カノンは人々を評価するためのものではありません。一方、記述的な整備レベルを持つことはできます。「萌芽的」(意識的に採用されたPrincipiumを少なくとも一つ含む)、「記述済み」(具体的に何を採用し何をまだ決定していないかがわかる)、「定着済み」(原則が課題マップと結びつきその由来が見える)、あるいは「分析済み」(根拠、反論、および原則間の緊張関係が検討されている)です。原則がどの範囲で共通の合意を得ているかは別途示します。カノンの特定のバージョンは、分析済みであり、その原則が共通の合意を持ち、相互の整合性が確認されているという公開された条件リストに従って「公的に成熟」として表示されることがありますが、そのステータスは常に見直しに開かれています。表示にはカノンのバージョン、評価したコミュニティ、日付、および合意の範囲を記します。カノンのレベルはさらなる熟考のための場所を見つける助けとなりますが、その作成者を評価するものではなく、原則を採用する権利、対話に参加する権利、あるいは投票する権利に影響を与えません。 ## 6. 解説と対話の新しいメディア YouTubeがユーチューバーを生み、ポッドキャストがポッドキャスターを生んだように、Omniforumは新しいタイプのクリエイターたちを生み出すことができます。彼らが自らをどう呼ぶかはきっと自分たちで決めるでしょう。それは、ただ世界について語るだけでなく、出典から論拠を経て論争が始まる地点に至るまで、一歩ずつ課題を通して視聴者を案内する人々です。彼らの作業は公開で終わりません。そのような解説のすべてのステップは分子と出典に紐づいているため、受け手は任意の場所で立ち止まり、何かがどこからわかっているのかを確認し、対話に加わることができます。 このメディアは本質的に対話です。返信は長いコメント一覧の末尾に行くのではなく、それが関わる正確な場所、すなわち特定の分子、連鎖内の移行ステップ、または出典へと届きます。そのような場所の周りでは「マイクロディベート」、すなわち「確立済み」「争いあり」または「データ不足」という明確な状態で終わる短く整理された論拠の応酬が行われ得ます。クリエイターはそれに応答したり、自分の解説を修正したり、同意しない箇所を誠実に示したりすることができ、視聴者は各ステップで交わされた返信とともに物語を見ることができます。また誰もが、自分の見解が他者の論拠と向き合ったときにどれほど持ちこたえるかを、まずSuveriaでプライベートに、そして望むなら公に確認することができます。 このような解説はさまざまな形をとることができます。編集部が運営するチャンネルは、条約、法案、契約、あるいは公の発言の読み解きルートを用意し、その論拠と起こり得る帰結を示すことができます。整理された課題マップからは、ナレーターの音声付きの親しみやすいアニメーション・ストーリーが生まれ得ます。それらの根底にあるのは完成済みの録画ではなく相互に結びついた分子とアトムであるため、新しい証拠が現れたときには物語を更新でき、他の言語へ翻訳することもできます。翻訳の忠実さは共に検証していきたいと考えており、物語の各部分はそれぞれの出典へとつながります。また読み手は、同じ資料に関する複数の整理を比較することもできます。アニメーション・ストーリーをいつ開発するかは、マニフェスト6.3節に従ってコミュニティが決定します。 優れた解説は、ドキュメントに書かれていることと、その解釈、予測の前提、および評価とを区別します。法的文書についてはテキストのステータスと日付を示します。どれほど人気のある解説であっても、公開されたからといって拘束力のある法解釈になるわけではないからです。デジタル知能が起こり得る帰結を示唆するときには、各示唆は根拠へとつながり、人間による確認の対象となります。 このメディアにはいくつかのシンプルな規則があります。出典が常に見えること、修正が容易であること、誰もが反論の権利を持つこと、利益相反が表示されること、そして同じ課題に関する異なる整理を比較できることです。私たちは、最も目立つ物語の作成者だけでなく、思考間のつながり、翻訳、アクセシビリティを改善する人々や、見落とされた視点を回復する人々も高く評価します。 クリエイターの到達範囲(リーチ)や視聴者から受ける支援は、その人が正しいことを証明するものではありません。コンテンツを表示する順序には公開された規則があり、変更することができます。私たちはいくつかの表示順序を試したいと考えています。時系列順、問い別、作成者の投稿数ではなく投稿がマップに何をもたらし何に依拠しているかという「文書化された貢献」順、そして異なる意見グループ間での評価順です。最後の順序では、他の課題では異なる評価を下す人々から受け入れられている論拠をより上位に表示します。意見グループはシステムが評価のみから算出するものであり、誰もそれを選んだり名づけたりせず、誰もそこに所属せず、誰もそれを管理しません。これにより、同じように評価する1,000個のアカウントがあったとしても、その外にいる誰一人として認めないものを押し上げることはできません。この順序の有効性はこれまで数百人から数千人の参加者で検証されてきたため(Polis、Community Notes)、課題にそれだけの数の評価が集まった段階で試します。アカウントなし・保証なしで公開受信箱から持ち込まれた発言は、誰もが選択できる別個の層に表示し、どの表示順序においてもアカウントからの発言または保証付きの発言の後に表示します(8.1節)。複数の表示順序を並べることで、空間全体が単一の人気ランキングに依存しないようにします。私たちは、感情を最も強く揺さぶるものではなく、課題を解き明かすものに注目が集まるようにしたいと考えています。 前面には内容と、日付付きの出典を表示します。競争やボットなどによるマップへの大量投稿を助長するため、貢献の公開カウンターや人々のランキングは設けません。ただし、追加および変更の履歴は閲覧可能なまま保たれます。新しい思考については、作成者が表示することを選んだ範囲内で、人間とモデルの協力のなかでそれがどのように生まれたかをたどることができます。 ## 7. プライバシー、引用、および修正 すべての思考は三つの場所のいずれかに置かれます。Suveriaのプライベートな空間、本人が自分で選んだグループ、またはOmniforumの公開空間です。本人が自分で選ぶグループは誰が資料を見るかを定めるものであり、第6章の意見グループではありません。これらの場所はそれぞれ独自の権限を持ち、SuveriaからOmniforumへなど思考をさらに先へ移すには、常に明示的な確認が必要です。他者に関するデータは、当該課題において本当に必要な範囲に制限します。 閲覧にアカウントは不要であり、アカウントなしで対話において発言することもできます(8.1節)。アカウントから公開する人は、固定のペンネームで運用することができます。公開内容に対する責任はその作成者が負い、発言の保証を通じて持ち込まれた発言については持ち込んだ人物も責任を負います。通報に対する運営者としての財団の義務については開始前に記述します。 元の発言、引用、コメント、およびモデルが作成した整理は、それぞれ異なる利用条件を持つ場合があります。そのため、全体に見かけ上シンプルな単一のライセンスを付与する代わりに、各資料にその利用権の由来と制約を記録します。プライベートから公開へといった公開範囲の変更は、資料に対する権利があるかどうかの確認の代わりにはなりません。 他者に引用されるときであっても、人々にはプライバシーの権利があります。プライベートな対話からなど、公の出典なしに誰かが発言を特定の人物に帰属させた場合、作成者として記載された人物はそれを報告することができます。公の出典の欠如は、身元を明かすことなく誰もが報告できます。事情が解明されるまで、そのような発言は公には表示されません。捏造であると判明した場合や、本人の同意のないプライベートな対話に由来する場合には、そこへのアクセスを制限します。他者の言葉を勝手に書き換えられないよう、報告が本当に対象者本人からのものであることの確認を求めるのは、本人が自分に帰属させられた言葉を修正したいと望む場合に限られます。 数年前の記事や録画など、公の出典がある発言については扱いが異なります。公の言葉には責任が伴い議論の対象となり得るため、原文は残ります。ただし作成者はその隣に訂正や現在の自分の見解を添えることができ、読み手は「当時何を言ったか」と「現在どう考えているか」の両方のバージョンを並べて見ることができます。読み手の求めに応じて、第4章のアドオンはOmniforumの外の記事にある引用の隣にもそのような現在の見解を表示することができます。考えを変える権利は歴史を消し去るものではありませんが、歴史を補うことを可能にします。 モデルは共通の見解とは異なる形で課題を明示的に評価することがあります。その場合、モデルは相違の根拠を示し、そのような論拠がすでにマップ上にあるかを確認します。ない場合には「要確認のモデルの提案」として表示される記載を提案しますが、その公開も他のモデルによる同様の発言も、証拠やコミュニティの合意ではありません。 誰かが自分の資料を取り下げたときには、私たちが管理するシステム内でそれを削除またはアクセス制限し、それに依拠していた整理に印を付けます。ただし、あらゆる場所から消えることは約束しません。公開コピー、広く配布されたデータセット、およびすでに訓練されたモデルについては別個の検討が必要です。資料の収集を始める前に法的・技術的規則を定めます。仮名や暗号学的ハッシュ値は、それ自体でデータを匿名にするものではありません。[^rodo-2026] ### 7.1. Suveria内のプライベートなノートと意識的な公開 プライベートな資料は[Suveriaのホワイトペーパー](whitepaper-suveria.md)の原則に従って保管します。第一にユーザーの端末上の暗号化コンテナ内に保管し、任意でサーバー上に暗号化コピーを置きます。Omniforumへ入るのは、本人が意識的に選択したものだけです。Suveriaのプライベートな工房で磨き上げられた思考は、第3章で説明したIgnis工房を経ずに直ちに公開されます。マニフェストは公開の瞬間そのものを「Ignisの儀式」と呼んでいます。公開後は公開空間または選択したグループの規則が適用され、原文のプライベートな記録を持っていても、すでに作られた可能性のあるコピーに対する管理権が得られるわけではありません。 ### 7.2. 成果の移行とOmniAPI 私たちはOmniforumを、Digital Public Goods Allianceの基準を念頭に置き、オープンなコード、ドキュメント、およびデータ形式を備えたデジタル公共財として発展させたいと考えています。[^dpga] OmniAPIを通じて他のプログラムが選択された資料を読み取り交換することができますが、それは資料が帰属する人々の同意がある場合に限られます。インターフェースのドキュメントが公開されていることは、プライベートなデータへのアクセスを開くものではありません。 誰もが自らの成果を別のツールへと持ち出すことができます。移行パッケージには、バージョン付きの元の発言、指定された一節、分子、ラベル付きのアトムとそれらの間の関係、作成者情報、出典、どの解釈を作成者が確認したかの情報、および利用条件が含まれます。識別子と変更履歴のおかげでインポート後も同じ要素を識別でき、別のツールは元の発言とそこから抽出された分子、その出典、および確認ステータスとを並べて表示するべきです。記録された利用条件は何が許されるかを示しますが、外部の受信者にその遵守を強制することはできません。プライベートなエクスポート、公開、研究への提供、およびモデル訓練への提供は、四つの別個の決定です。 ### 7.3. 公開の対話における出典と添付資料 大きな録画ファイルをOmniforum内に保管する必要はありません。課題マップと出典の記述は別個に保持し、動画や音声は元のプロバイダー側に留まることができます。その場合、参照にはアドレス、作成者、アクセス日、および録画の該当区間が記録され、その隣にはプロバイダーが資料を維持するかどうか、またどのような規則を持っているかに依存していることが明確に表示されます。 私たちが保管することを許された資料は、必要な抜粋として、元のコピーとして、あるいはテキスト版を伴う軽量な画像として保持することができます。それぞれについて、由来、利用の根拠、バージョン、およびファイルが変更されたことを検知できるファイルの指紋の一種である暗号学的ハッシュ値を記録します。ハッシュ値はファイルが同一であることのみを確認するものであり、その内容が信頼できることを確認するものではありません。出典が変更されたり消えたりしたときには、それに依拠する主張の隣でそのことがわかるようにします。 形式、上限、および保管期間は、有益で利用しやすく、資料の権利に適合し、費用を賄えるように選びます。公開前に、どのようなコピーが作られ、修正や削除の要請をどう審査するかを誰もが確認できます。これらの規則は公的成果に関するものであり、Suveria内のプライベートな暗号化コンテナとは別個のものです。どのような原則で出典のコピーを保管し、OmniAPIを通じて他のアプリケーションにその抜粋を提供するかについては、著作権を尊重しつつ開始前に記述します。 ### 7.4. 悪用と違法なコンテンツ すべての人に開かれた対話には公開された規則が必要です。最初の期間、Omniforumは招待制で利用可能とし、すべての招待には招待者が表示されます。公開前に誰かが発言を承認することはありません。モデレーションは公開後に、短く公開された理由リスト(スパム、嫌がらせ、なりすまし、組織的なマップの歪曲、同意のない第三者のデータ、および違法なコンテンツ)に従って機能します。モデレーションと悪用制限の規則は、最初の論争が起きたときではなく、最初の課題の前に公開します。モデレーターがボランティアである間は、その名簿を公開します。 誰もが違法なコンテンツを通報できるようにします。非表示や削除といったすべての制限には、欧州連合のデジタルサービス法(DSA)に従い、決定の作成者、理由、および異議申し立ての経路が伴います。理由は記録され、発言の作成者および公開ログから確認でき、異議申し立ては制限を課した人物とは別の、案件に無関係な人物が審査します。自動検知は疑わしいコンテンツを報告することのみができ、決定は人間が下します。違法なコンテンツはバージョン履歴においても非表示とし、非表示にしたこととその理由の公開された痕跡を残します。 サービスの一般公開前に、私たちは運営者の義務を確認し履行します。すなわち、データ保護影響評価、デジタルサービス法に基づくコンテンツ通報方法と連絡窓口、システムと対話していることの告知およびAI法に基づくモデル作成コンテンツの表示、撤回権を含む利用規約、ならびに付加価値税(VAT)の精算です。結果は決定ログで公開します。 ## 8. 共同の決定と投票 本章は、どのように共に決定を下し、信頼できる投票をどのように構築するかについての章です。これはプロジェクト全体で最も難しい部分の一つであるため、すぐに手が届きそうなことと、長い時間をかけて取り組まなければならないこととを率直に記します。 いくつかの事柄は最初から私たちの手の届くところにあります。すべての人に開かれた対話、参加者の認証を行わない協議、投票前に公表される規則、および理由付きの決定ログです。より難しいのは、互いに制約し合う三つの課題です。第一に、資格のあるすべての人が正確に一票を持つべきですが、そのために生体認証(バイオメトリクス)データを収集したり中央集権的な身元データベースを作ったりはしたくありません。第二に、選択は秘密に保たれるものとし、同時に誰もが自分の票が集計されたことを確認でき、しかも他者に自分の選択を知られてしまうような証拠が残らないようにすべきです。第三に、使いやすい身分証明書を持たない人々も含め世界中の人々が投票を利用できるようにしつつ、追加のアクセス経路が悪用の経路を開いてしまう問題にも向き合わなければなりません。さらに、圧力や票の買収、そしていつから結果が本当に財団を拘束し得るのかという問いが加わります。 これらの課題を順に取り上げます。 - 誰が対話でき、誰が投票できるか(8.1節) - ゼロ知識証明が何をもたらし、何をもたらさないか(8.2節) - どのような経路で投票権を取得できるか(8.3節) - 難しい課題において誰が決定を下すか(8.4節) - いつから投票が拘束力を持つか(8.5節) - 強要や票の買収からどのように守るか(8.6節) - いつ結果を一時停止でき、システムがうまく機能しない人々をどう扱うか(8.7節) これらのジレンマをどのように解決するかにかかわらず、常に適用されるいくつかの原則があります。整理された対話は決定を準備しますが、決定の代わりにはなりません。思考の公開、その意味の確認、アイデアへの支持、および支出に関する投票はそれぞれ別個のステップです。各投票の前に、問い、有資格者リスト、期限、投票変更の規則、結果の集計方法、有効閾値、ならびに棄権、同数(タイ)、障害の際の扱い、および異議申し立ての方法を公表します。投票しないことは同意ではありません。支出の提案にはマニフェスト5.3節の「緑の経路」が必要であり、合意の閾値は課題の重要度、支出の規模、および結果を元に戻せるかどうかに応じてあらかじめ定めます。全体の結果と並んで、その分野の研究者や実務家が課題をどう評価しているか、またその影響を受ける人々がどう評価しているかを、秘密投票とは別に、かつ誰の選択も推測できないほど十分に大きなグループにおいてのみ、参加者自身が任意で提供した情報に基づいて示します。時間が限られている人には、十分に前もって目を通せるよう出典と明快な要約を早めに届けます。 投票に付される問いはイニシアティブ(5.3節)から生まれます。提案者がそれを提案し、カードの文言は告知された期間中コメントに開かれます。投票の実施に必要な支持の閾値はあらかじめ公表します。 ### 8.1. すべての人に開かれた対話、参加後の拘束力のある投票 Omniforumでは、財団と何の関係もない人であっても、誰もが発言し、論拠を持ち込み、決定が自らの人生にどう影響するかを記述することができます。新しく優れた論拠は、誰が持ち込んだかにかかわらず対話を動かすことができます。また誰もが、参加者の認証を行わない意見聴取である「協議」に参加することができます。協議は参加者がどう考えているかを示しますが、投票に際して各投票者の一意性の確認を求める財団の定款(第8条第2項)の意味における投票ではありません。認証がないため、誰かが複数のアカウントを持つことによって結果が歪められる可能性があり、私たちはそれを測定としてではなく対話における一つの声として扱います。共有資源について拘束力のある形で投票したい人は、公開された基準に従って任意かつ無料で「意思決定コミュニティ」に加わります。参加したい旨を申し出て、選択した認証経路を通じて資格を取得するのです。 閲覧はアカウントなしで誰もが利用できます。対話において発言する方法は三つあります。第一に「アカウントから」:発言には作成者があり、アカウントには公開された頻度上限(レートリミット)があります。第二に「アカウントなしで、発言の保証を通じて」:アカウントを持つ参加者が他者の発言を持ち込み、持ち込み者としてその隣に表示され、自分の発言と同様の責任を負います。作成者はアカウントなしのままであり、名前を記すことも無記名とすることもできます。第三に「アカウントなしで、公開受信箱を通じて」:発言は「保証なし」の層に入り、それを選択した誰もが見ることができ、表示順序においては保証付きの発言の後に表示されます。アカウントを持つ参加者は誰でもワンアクションでそれを保証し、対話へと移すことができます。公開受信箱には頻度上限があり、自動スパムが押し寄せたときには一時的に閉鎖されることがありますが、その際は日付と理由を公表します。CAPTCHA(キャプチャ)は使用せず、公開前に発言を承認することもありません。アカウントなしの経路はいずれも投票における投票権を与えません。Omniforumが招待制である最初の期間(7.4節)には、アカウントなしでの発言は「発言の保証」を通じて行うことができ、Omniforumをより広く開く段階で公開受信箱を稼働させます。アカウントなしの二つの経路はいずれも設計段階のものであり、最初の試行で検証します。 アカウントは、完全にプライベートな方法(メールアドレスなしの自身の端末上の鍵)から利便性の高い方法(外部プロバイダーを通じたログイン)まで、複数の方法で作成できます。各方法について、選択の前に、財団外の誰がアカウント作成を知りどのようなデータを見るのか、またそのプロバイダーが消滅したときにどうなるのかを示します。アカウントの作成方法は参加者の権利に影響を与えず、投票権はアカウントに追加される別個の資格証明です。 私たちは、各人が一票の有効票を持ち、その選択が秘密に保たれることを目指しています。許可された各経路、およびそれらの組み合わせについて、どのように保護され、どのような既知の制約があるかを記述します。支払額、財産、務める役職、あるいはこなした作業の数によってより多くの票を得る人はいません。誰かを受け入れない場合には、その理由と異議申し立ての経路を示します。 ### 8.2. ゼロ知識証明がもたらすもの ゼロ知識証明は、本人が誰であるかを明かすことなく、有資格者のグループに属していることを証明することを可能にします。Semaphoreプロトコルにおいては、同一の資格証明が一つの投票で2回使われたことを検知することも可能にします。[^semaphore] しかし、一人の人物が二つの異なる資格証明を受け取っていないかどうかは確認できません。それは認証経路が守らなければならない点です。投票全体のプライバシーは証明そのものだけでなく、登録、アプリケーション、端末、メタデータ、および開票方法にも依存します。私たちは、他者が選択を読み取れるような証拠を作り出すことなく、誰もが自分の票が集計されたことを確認できる方法を設計しています。いかなる単一の技術的解決策も、プロセス全体の検証の代わりにはなりません。 ### 8.3. 拘束力のある投票への経路 私たちは投票権への複数の経路を設計しており、そのいずれも生体認証を必要としません。第一の経路は、保護されたデータを財団へ渡すことなく資格を確認できることを条件として、ICチップ付きの公的身分証明書またはデジタルIDウォレットを利用するものです。パスポートや身分証明書のチップをスマートフォン上で直接読み取る方法を検討したいと考えています。アプリケーションが国の署名を確認し、行政機関のサーバーに接続することなく、また個人データを財団へ渡すことなく、端末上でゼロ知識証明を作成します。身分証明書がSuveriaでのログインやデータの復号に使われることは決してなく、システムの応答から部外者が特定の証明書がすでに使われたかどうかを知ることもできません。デジタルIDウォレットが、他のサービスと紐づけることのできない財団専用の固定の仮名を財団に提供できるかどうかは今後の確認事項です。そのような仕組みがあって初めて、同一人物による二重登録を検知できます。そのような可能性、あるいはユーザーのスマートフォン上で実行される証明がない限り、それらを拘束力のある投票の基盤とはしません。 投票権への最初の公式経路は「欧州デジタルIDウォレット」とする予定です。保護されたデータを財団へ渡すことなく、自宅からリモートで資格を確認できるからです。これは、初期段階ではそのようなウォレットを持つ人々、すなわち欧州連合(EU)諸国が提供を進めるにつれてその居住者のみが拘束力のある投票を行えることを意味します。他の国々の人々に対しても対話と協議は最初から開かれており、生体認証も中央集権的なデータベースも用いない方法が見つかり次第、投票への経路を追加します。それまでの間は、意思決定コミュニティがまだ世界規模にはなっていないことを率直に明言します。上述のスマートフォンでの身分証明書チップの読み取りは、私たちが検討したい次の経路です。 可能な場合には、同じ人物の新しいパスポート、身分証明書、あるいはウォレットがもう一票を与えてしまわないよう、証明書番号からではなく個人の恒久的な識別子から一度限りの資格タグを導き出します。すべての証明書がそのような識別子を含んでいるわけではなく、ポーランドのPESELのように取り得る値の母集団が小さい番号は、すべての可能性を試す総当たりによって推測され得ます。そのためタグは、独立した当事者間で分割された秘密の要素にも依存するか、チップ自体の署名に依拠するものとし、技術を選択する前に脅威モデルにおいてこれを考慮します。タグは特定の登録コンテキストと期間においてのみ機能するものとします。誰かが2回目の登録をしようとしていることは検知できますが、恒久的な識別子やその推測しやすいハッシュ値を明かすことはなく、異なるサービス間の共通識別子として使うこともできず、個人とその票とを紐づけることもできません。選択したソリューションについて、誰が個人を識別したり行動を結びつけたりし得るか、また同じ証明書の再利用、更新、ウォレットの変更、資格証明の再発行、およびアクセスの回復の際にどうなるかを確認します。 第二の経路は、多くの場所で同時に開催される対面の会合です。その規則は、同一人物が同じサイクルで複数の資格を集めることを困難にし、実際に来場した人々に主催者が資格を発行しているかどうかを確認できるようにします。また、会合へ足を運ぶことが難しい人々の参加を何が妨げるかについても検討します。 複数の経路を組み合わせることには、たとえば複数の国籍を持っていたり身分証明書と対面の会合の両方を利用したりすることで、同一人物が追加の資格を取得してしまうリスクが残ります。初期段階では、生体認証なしでできるだけ多くの人々が参加できるよう、そしてやがてさらなる経路を通じてEU外の人々も参加できるよう、このリスクを意識的に受け入れます。目標は一人が一票を持つ統一的なシステムであり続け、私たちはそこへ向かって取り組みます。オンラインで単にアカウントを作成するよりも、追加の資格一つひとつにより多くの時間、労力、費用がかかるようにする経路を選びます。この障壁が機能するかどうか、そしてそれによってアクセシビリティがどれほど高まるかは試行で評価するため、追加の票がいくつ現れ得るかをあらかじめ示すことはしません。結果が拘束力を持つようになる前に、既知の制約、試行の結果、および悪用への対応規則を参加者に示し、この評価に合わせて決定の範囲を調整します。 保証、招待、およびオンラインテストだけでは拘束力のある投票の権利は与えられず、対話と協議にはそれで十分です。プライバシーを保護しつつ、各経路がどのくらいの頻度で利用され、その検証が何を示したかについての合算データを公開します。ただし、発行された資格証明の数は一意の人間が何人いるかを示すものではありません。また、登録簿に入れなかった人々がなぜ断念するのかについても調査します。 投票に必要なものはすべて無料です。資格証明の保管にはSuveriaの無料部分で十分であり、金銭の支払いや有料機能の利用は不要です。投票権の資格証明は、投票用紙やプライベートな内容から切り離されたSuveria内の各自のプライベートな空間に保管されます。各決定の前に、いつ登録簿を締め切るか、また投票するためにどのくらいの期間資格を保持している必要があるかを公表します。これにより投票直前の急な参加者追加は難しくなりますが、ずっと前から準備されていた資格に対しては防げません。アクセスを回復した人は、それまでの保有期間と一つの有効な資格を引き継ぎます。投票する前には、誰もが最も重要な立場、異議、および出典の短く親しみやすい要約を確認でき、完全な課題マップへと入ることができます。要約は決定の範囲、主要な知見、出典、評価の重大な相違、および知識の限界を示し、各項目を展開することができます。正しい結果を約束するのではなく、明示された不確実性のもとで決定を下せるようにするためのものです。要約は事前に公開し、論争の当事者は自らの立場が見落とされたり歪められたりしていると報告することができ、その場合は隣に当事者自身の短い要約を並べて表示します。これは意識的な選択のための支援であり、試験や理解度テストではありません。誰もが要約の由来とバージョンを確認でき、見落とされた視点を報告することができます。 ### 8.4. 難しい課題において誰が決定を下すか 難しい課題においては三つのステップを提案します。第一に、誰もが参加できるOmniforum上の開かれた課題マップです。第二に、無作為抽出された諮問会議です。抽選で選ばれた人々のグループが、時間、資料、および提案の作成者と対話する機会を得ます。最後に、すべての有資格者が投票します。抽選は、誰もが検証できる公開乱数を用いて有資格者登録簿から行います。もし諮問会議自体が拘束力のある決定を下すとしたら、そのための別個の限定された委任が必要となります。 無作為標本は諮問的な世論調査にも活用できます。自ら名乗り出るボランティアは代表的な標本を形成せず、登録簿からの抽選が示すのは全人類ではなくこのコミュニティの意見です。参加を辞退した人々についても考慮に入れます。 ### 8.5. いつから投票が拘束力を持つか 投票は段階的に拘束力を獲得していきます。まずは財政的な影響を伴わない試行から始め、次に小規模な別枠プールや元に戻すことのできる行動に関する実際の決定へと進み、結果と安全対策を確認した後に初めて範囲を広げます。最初の協議は財団の活動に影響を与えない試行とし、そのテーマは招待された参加者が選びます。実際の資金を伴う最初の試行の前には、対象となる上限額、それを停止させる結果、および結果の一時停止に対して理事会から独立した人々へ異議を申し立てる経路を公表します。登録とエラー処理は、認証された約1,000人という規模で検証したいと考えています。ただし、この人数は、参加者が一意であることやより広いコミュニティを代表していることをまだ証明するものではありません。 次の段階が拘束力を持つようになる前に、決定の範囲、上限、閾値、異議の申し立て方法、および結果の実行方法を参加者に公表し、システムは登録、開票、資格の回復、および悪用への耐性のテストを受けます。また、決定の範囲が現在の定款および法律と整合しているかを確認し、誰がどのように結果を実行するかを定めます。結果が形式上も財団を拘束するためには、定款変更登録簿に「Z4(投票と協議、定款第8条)」として記述されている定款変更が必要です。試行が各投票者の一意性を確認できない限り、私たちはそれを定款第8条第2項の意味における投票ではなく「協議」と呼びます。投票者が一意の人間であるかどうかは、資格証明を正しく集計したかどうかとは別個に評価します。それまでの間、財団は[財団の運営原則のホワイトペーパー](whitepaper-zasady-fundacji.md)で説明するアジャイルフェーズで活動します。投票と協議の結果は形式上は諮問的なものであり、理事会はどの範囲で結果を実行するかをあらかじめ予告し各回後に要約を公開する一連の試行を通じて、コミュニティの拘束力のある決定へと進んでいきます。 今後の柱(第IIの柱:耐久性のある物品のオープン設計、第IIIの柱:自然との触れ合い)の完全な立ち上げには、依然としてマニフェスト6.3節の三つの条件をすべて満たす必要があります。すなわち、同一人物につき一票の有効票を保証する投票、SuveriaとOmniforumを6か月間維持するための資金、およびコミュニティの決定です。第一の条件である「同一の有資格者につき一票の有効票」は、追加の票を許容する経路が「一人が一票を持つ統一的なシステム」に置き換わり、試行がそれを確認したときに初めて満たされたと認めます。これには長い時間がかかる可能性があり、私たちはそのことを率直に明言します。 ### 8.6. 強要と票の買収 私たちは、投票終了まで誰もが自分の選択を変更でき、規則に従って投じられた最後の有効票が集計されるようにしたいと考えています。これは票の買収を難しくする助けになり得ます。金銭を支払ったり圧力をかけたりした人物は、投票者が後で考えを変えたかどうかを知ることができず、確認することもできないからです。これが機能するためにはプロトコル全体が適切に構築されていなければならず、投票変更ボタンだけでは不十分です。手本の一つはMACIプロトコルですが、これには独自の前提があります。コーディネーターが個々の票を復号でき、共謀への耐性はそのコーディネーターの誠実さに依存するのです。[^maci] もし私たちが同様の手本に基づいて投票を構築する場合、財団単独では個々の票を読み取れないよう、単一のコーディネーターを独立した当事者間で分割された鍵に置き換えます。ただし、投票が締め切られるまで端末、資格、あるいは投票者本人を支配している人物からは保護できません。そのような状況はテストと制約の記述において考慮します。また、メタデータを通じて票を個人と紐づけられないか、そして誰かが端末を失ったときにどうなるかも確認します。 ### 8.7. 結果の一時停止と尊厳の試金石 理事会が結果の実行を一時停止できるのは、プロトコルの誤り、文書化された大規模な悪用、あるいはインフラの障害を検知したときなど、投票前に公表された理由による場合に限られます。すべての一時停止には公開された根拠と再審査の期限が伴います。これらの条件がなければ、拘束力のある投票を予告しても理事会に自由な拒否権を残すことになってしまいますが、私たちはそれを望みません。 システム全体にとって最も厳しい試金石は、使いやすい身分証明書を持たない人、誤って拒否された人、あるいは耳の痛い批判を提起する人をどう扱うかです。登録の拒否が決して最終的なものとなったり、自動処理のみで下されたりすることはありません。プライバシーを保ったまま、案件から独立した人々に対して誰もが異議を申し立てることができます。見解や、財団および理事会への批判を理由に投票権を失う人はいません。拘束力のある投票へのいかなる経路も利用できない人も、対話と協議には完全な形で参加し続け、私たちはその人のためのさらなる経路を探し続けます。 決定ログには、検討された選択肢、選択の理由、反対意見、予算、およびその後の結果を記録し、そこから得られた教訓は課題マップへと還流します。決定の実行および法的事項において誰が何に責任を負うかについては、[財団の運営原則のホワイトペーパー](whitepaper-zasady-fundacji.md)で説明します。 ## 9. Omniforumが役立つかどうかをどう検証するか 上で記述したことはすべて設計段階のものです。全体を構築する前に、小さなステップを通じて、Omniforumが本当に人々の相互理解を助けるかどうかを検証したいと考えています。最もシンプルな用途から始め、前のステップが試験に合格したときに初めて次のステップを加えます。 最初のステップは、一つの思考の一連の完全な経路です。誰かが自分のテキストを入力し、デジタル知能がそれを分子とアトムへどう分解するかを提案し、作成者が誤解された部分を修正し、出典とともに結果を保存します。その後、立ち返って記録を開き、次の対話でそれを活用します。途中で何かが失われなかったか、すなわち原文の正確な文言、その意味、一連のバージョン、および誰が何にアクセスできるかを確認します。この試行では、モデル自身が印を付けなかった解釈の誤りも確認し、結果をテキストのみの場合および通常の要約と比較します。記録を再び開く際に、以前の結果を取り戻すためだけに再度有料の分析が必要になるべきではありません。 続くステップは、人々がすでに対話している一つのプラットフォーム向けのシンプルなアドオン、次に一つの課題に対する少人数グループの共同作業、次にテキストとして作成された「アイデアについての物語」、そして一番最後に、別個に、共同の意思決定です。支援が実際に人々の作業を容易にすることを確認するまでは、新しい外部連携を追加しません。 最初の公開の課題マップは、二種類のテーマで開きたいと考えています。第一は、私たちのマニフェストとホワイトペーパーにある主張と仮説です。誰もが私たち自身の前提に疑問を投げかけたり改善したりすることでOmniforumを試せるようにするためです。第二は、植物の手入れから料理のレシピに至るまでの日常の素朴な問いです。これらの方が、緊張を伴わずに、条件、出典、および異なる経験がどう機能するかを確認しやすいからです。 また、世界中の人々が自分のコンピュータの計算能力を電波望遠鏡のデータ分析に提供したSETI@homeプログラムに似たアイデアも分析しています。公開テキストの分子とアトムへの分解、物語の翻訳、あるいはマップの要約作成といったOmniforumの公開作業は、ボランティアの計算能力を活用できる可能性があります。そうすれば、希望する誰もが自分の時間を割くことなく、自分のコンピュータの計算能力を少しずつ提供し消費電力の費用を負担することで貢献できるようになります。ボランティアのコンピュータは処理する内容を見ることができるため、これは公開データにのみ適用され、結果は同じタスクを複数の人のもとで計算して確認することになるでしょう。これはまだ分析を始めたばかりのアイデアですが、探求したい道筋の一つです。 各ステップにおいて、それが本当に役立つかを確認します。有益な整理にたどり着くまでにどれほどの時間がかかるか、作成者がいくつ、どれほど重要な修正を加えなければならないか、モデルがどのくらいの頻度で意図を誤解するか、出典を見つけやすいか、多様な人々がツールを利用できるか、どれほどのコストがかかるか、そしてその後、人が自力で他者にその課題を説明できるかです。各試行の前に、次のステップを加えるのに十分とみなす結果の基準を公開し、評価においてそれを守ります。Omniforumへの再訪を良い兆候とみなすのは、それがシステムを絶えず見張らなければならないという強迫観念からではなく、新しいニーズに役立つ場合のみです。 参加者が事実と未知の事柄をより良く見分けられるようになるか、共同の行動について合意しやすくなるか、そして下された決定が予告された目的を達成するかについては、別途確認します。最初の点の改善が残りの点を証明するわけではなく、見解が財団と一致することは成功の尺度ではありません。 他のサービス向けのアドオンは、いくつかの条件を満たしたときに初めて採用します。すなわち、ユーザーが選択する前に何も送信しないこと、拒否を尊重すること、いつでも作業を中断できること、作業用データを削除すること、そして各同意について別々に尋ねることです。そのようなツールを初めて利用する人々との試行により、モデルが作成した解釈と作成者の言葉との違いが理解されているかを確認します。 また、成果を本当に持ち出せるかどうかも検証します。この試行では、Omniforumに接続せずに独立したツールで選択した整理を開き、出典、一節、関係、履歴、および確認ステータスを比較します。別のツールが何かをサポートしていない場合、インポート処理はそれを無言で削除したり意味を変えたりするのではなく、明確に報告するものとします。 1.1節で説明したフォロー中のテーマの試行では、戻ってきたときに前回の訪問以降の実際の変更点のみが見えるか、またすでに見たコンテンツが訂正、出典の変更、あるいは論拠の削除の後も既読として印が付いたまま保たれるかを確認します。参加者は、確認によって何が新しく得られたかを言えるべきであり、さらに深く入るか訪問を終えるかを自分で決定できるべきです。異なる解決策の比較が、それらの検証時の基準と条件を保っているかどうかも別途確認します。 **結果ログ。** 2026年10月30日時点の状態:Omniforumのプロトタイプは構築中であり、記述したいずれの検収試行もまだ完了していません。今後のすべての結果は、試行が失敗したときも含め、日付、プロトタイプのバージョン、試行の記述、および結論とともにここに追記していきます。 優れた対話からは研究に役立つ資料も生まれ得ますが、それは参加者が同意した範囲においてのみです。それらをどのように準備し、どのような権利のもとで利用し、テストからどう切り離すかについては、[学習用資料とベンチマークのホワイトペーパー](whitepaper-materialy-i-benchmark.md)で説明します。 Novus Ignis財団(ポズナン、KRS 0001269575)。ウェブサイトおよびマニフェスト:novusignis.org。ご意見:salve@novusignis.org。 ## 注記 [^web-annotation]: [W3C (2017): Web Annotation Data Model](https://www.w3.org/TR/annotation-model/). W3C勧告。コメントの内容と指定されたリソースまたは断片との紐づけを備えたアノテーション・モデル。データポータビリティの参照点。 [^hypothesis]: [Hypothesis: Embedding Hypothesis in websites and platforms](https://web.hypothes.is/help/embedding-hypothesis-in-websites-and-platforms/). プロジェクトのドキュメント。ウェブサイトへのアノテーション埋め込みの例。分子とアトムへの自動分割や作成者の意図の保持を確認するものではない。 [^wright]: Erik Olin Wright, *Envisioning Real Utopias*, Verso, London 2010. 望ましさ、実現可能性、到達可能性という三つの基準を備えた研究枠組み。既成の評価手法ではない。 [^rodo-2026]: [GDPR、規則 2016/679](https://eur-lex.europa.eu/legal-content/PL/TXT/?uri=CELEX%3A32016R0679). 法令。仮名化は匿名性を決定づけるものではなく(第4条第5号、前文26)、同意は撤回可能であるが撤回前の適法な処理を無効にするものではない(第7条第3項)。 [^dpga]: [Digital Public Goods Alliance: standard](https://www.digitalpublicgoods.net/standard). 基準。デジタル公共財の評価基準。設計上の方向性であり、DPGAからの認定取得ではない。 [^semaphore]: [Semaphore:ドキュメント](https://docs.semaphore.pse.dev/). プロトコル文書。身元を明かさずにグループ所属を証明し、所定の範囲内でのシグナルの重複を検知する仕組み。プロトコル自体は、一人の人物がただ一つの資格しか受け取っていないことを確定するものではない。 [^maci]: [MACI:イントロダクション](https://maci.pse.dev/docs/introduction). プロトコル文書。信頼されたコーディネーターのみが票を復号でき、共謀への耐性はコーディネーターが誠実である場合にのみ成り立つ。ただし、不誠実なコーディネーターであっても検閲や集計経過の改ざんはできない。2026年10月28日閲覧。 --- # Novus Ignis財団の運営原則:維持、協力、および権限の移譲 (https://novusignis.org/ja/whitepaper-zasady-fundacji.html) # Novus Ignis財団の運営原則:維持、協力、および権限の移譲 2026年10月31日版。本ドキュメントは、組織に関する事項についてマニフェストを発展させたものです。すなわち、どのようにサービスを維持し、共有資金を管理し、協力し、そして権限を移譲しようとしているかを説明します。ここでは、今後規程として採択する予定の原則、およびそれに伴って必要となる定款の変更について記述します。本ホワイトペーパー自体は、定款、財団の各機関の権限、または会計規則を変更するものではありません。 *本稿は、2026年10月31日付のポーランド語原文をデジタル知能が翻訳したものです。版の間に相違がある場合は、ポーランド語の原文が優先します。* ## 1. 定款、マニフェスト、諸規程、および本ドキュメント ポズナンを拠点とするNovus Ignis財団(KRS 0001269575)は、人間の尊厳に基づくオルタナティブなインターネットの構築を目指しています。その最初の柱は2つのサービスで構成されています。デジタル知能と作業するためのプライベートな空間であるSuveriaと、対話、理解、意思決定のための共有空間であるOmniforumです。本ドキュメントは、財団がどのように意思決定を行い、資金を会計処理し、作業を組織し、責任を引き継いでいくかについて記述します。価値観と方向性についてはマニフェストに記述されています。 Novus Ignisは、欧州連合(ポズナン)で登録されたポーランドの財団です。国際的な分類においては、株主を持たず、誰にも利益を配当しない事業体であり、その資産は定款に定められた目的のためにのみ役立てられます。サービスに対しては実費を上限とする料金のみを徴収し、開発および準備金は自発的な寄付によって賄います。 以降の章では、順に以下の内容を説明します。 - 第2章:アジャイルフェーズ、すなわちコミュニティによる拘束力のある投票が機能する前の意思決定の方法。 - 第3章:可能な限り実費に近いサービス、すなわち実際の利用に対する請求、寄付としての請求額の端数切り上げ、ならびに前払い、上限、および返金。 - 第4章:理解できる予算、すなわち5種類のお金と、公開された入金・支出登録簿。 - 第5章:作業、任期付きの役割、実費の精算、および有償委託。 - 第6章:共同制作者への個人的支援が財団の外で行われる理由。 - 第7章:便益・関係登録簿。 - 第8章:後続の柱の条件、および小規模なイニシアティブのための2つの経路(理事会の暫定プールと使途指定で資金提供されるイニシアティブ)。 - 第9章:設立者の特別権限を移譲する道筋。 - 第10章:デジタル知能の運営参加に向けた各段階が満たすべき条件。 - 第11章:オープンワークショップ、本格導入前の試行、およびライセンスを含む公共財。 - 第12章:決定と誤りの記録、公開登録簿、紛争、および規則の変更方法。 私たちの約束にはいくつかの階層があります。定款は財団の法であり、財団を正式に拘束します。その変更は定款に従って理事会が採択し、全国裁判所登録簿(KRS)への登記を申請します。マニフェストは人々に対する約束であり、私たちが何をなぜ行いたいのかを述べています。定款第14条第2項に基づいて理事会が制定する諸規程は、詳細な手続きを記述します。ホワイトペーパーは、それらがどのように機能すべきか、そして現時点で私たちが保証できる範囲の限界がどこにあるかを示します。本ドキュメントは同時に将来の諸規程の草案でもあり、正式に採択する前の原則を記述しています。 上位の階層は下位の階層の限界を定めます。マニフェストは定款が禁じることを一切約束せず、規程はいずれにも反することはできません。現在の定款が認める範囲を超えて進みたい場合は、それを意図として記述し、[定款変更登録簿](statut/rejestr-zmian.md)において、以前の姿、何を変更したいか、何のために、どのような意図で行うかを示します。これは定款のすべての版とともに公開されます。[^statut-2026] 以下に記述する原則にとって、現時点で最も重要な定款の規定は次のとおりです。財団は営利を目的とした登録事業活動を行わず(第7条第1項)、有償の公益活動からの入金はその費用のみを賄います(第10条第4号)。財団の資産は、第三者に適用される条件と異なる条件で機関の構成員やボランティアのために利用してはなりません(第11条第2号)。財団の作業はボランティアの無償労働に基づいており、有償で委託できるのは外部の専門事業者のサービスのみです(第12条)。設立者は無期限で活動する理事会を任命・解任し(第13条)、定款の変更には理事会全員の一致による決議が必要であり、設立者が理事会に属していない場合は設立者の事前の同意も必要です(第15条第1項)。理事会の活動の枠組みは財団法によっても定められています。[^fundacje] **2026年10月31日時点の状況。** 財団の口座への最初の入金は、設立者からの設立基金1,000ズウォティです。この日から、ズウォティ、ユーロ、米ドルでの銀行振込による寄付を受け付け、公開された入金・支出登録簿に表示します。第12章の登録簿のうち、現在運用しているのは定款変更登録簿と入金・支出登録簿です。本ドキュメントで言及する諸規程は、最初の前払いを受け付ける前に準備します。前払いを受け付ける前に、以下を整えます。 - 消費者法の観点から確認されたサービス利用規約 - 決済費用および前払いに関する法的意見書 - 前払い用の別口座 - 残高返金の規則 ## 2. アジャイルフェーズ:投票が機能する前の意思決定の方法 コミュニティによる拘束力のある投票が開始されるまで、財団はアジャイルフェーズで運営されます。理事会は法と定款の範囲内で日常的な意思決定を行い、技術、公的な議論、人々のニーズの変化に迅速に対応する必要がある場合も同様に対処します。完全な投票システムが整うまで開発を停止することはせず、この期間中は、第Iの柱(すなわちSuveriaとOmniforum)の維持および開発に関する支出を理事会が決定します。 定款は、理事会が実際に行使したい以上の権限を理事会に認めています。私たちの目標は、コミュニティに委ねるすべての決定がコミュニティの投票によって下され、拘束力を持つようになることです。そのためには機能し、かつ維持できる仕組みが必要であり、だからこそ段階的にそこへ到達しようとしています。それまでの間、理事会は法的義務からではなく自らの選択として、重要な事項について協議を通じてコミュニティに意見を問い、却下を含め、あらゆる重要な決定の理由を公開します。協議は参加者の本人確認を必要としないため、1人が複数の票を投じることができます。つまり参加者の意見は示しますが、定款の意味における投票ではありません。各協議の前に、理事会はその結果をどのように扱うかを予告します。参加者は理事会のいかなる決定に対しても異議を唱えることができ、理事会は異議に対して公に回答します。 アジャイルフェーズは、投票の効力が段階的に高まるのと同様に段階的に終了し、各ステップは試行として行われます。まず財務上の影響がない試行を行い、次に小規模な別枠の資金プールや元に戻せる措置に関する実際の決定についての投票を行い、その後に対象範囲を広げます。各試行の前に、その範囲、期間、および理事会が結果をどのように扱うかを予告します。終了後には、結果を実行できたか、試行が財団の運営と意思決定にどう影響したか、どのような誤りや濫用が検出されたか、そして何を変更するかという要約を公開します。守れない約束を引き受けないため、これらの要約に基づいてのみ範囲を拡大します。各段階、参加者の本人確認、および投票の秘密の保護については、[Omniforumホワイトペーパー](whitepaper-omniforum.md)に記述されています。投票結果が理事会の選択としてだけでなく正式に財団を拘束するためには、定款の変更(変更登録簿のZ4)が必要です。現在の第8条は投票と協議を認めているにすぎないためです。試行が各投票者の唯一性を確認できない限り、それは定款第8条第2項の意味における投票ではなく、協議と呼びます。投票が特定の種類の決定を引き継いだ後は、理事会は投票前に記述された理由(例えばプロトコルの検出された誤り、記録された大規模な濫用、またはインフラの障害)がある場合にのみ、公開された理由説明と再検討の期限を示した上で、結果の実行を一時停止することができます。 ## 3. 可能な限り実費に近いサービス 本章では、Suveriaおよび財団のその他のサービスに対する支払い方法を説明します。原則は明快です。誰もが実際に利用した分と、公平に算出された共通費用の分担分を支払い、何に対して支払っているかを確認でき、自身の支出の上限を自ら設定します。料金は費用のみを賄い、それを超えて誰かが提供したいと望むものはすべて自発的な寄付であり、別途表示されます。 ### 3.1. 実際の利用に対する請求 請求には、当該サイクルにおけるサービスの実際の利用分と、インフラを稼働可能な状態に保つための固定費のうち透明に割り当てられた分担分が含まれます。これには計算処理、メモリ、データ転送、セキュリティ、決済、会計、サポート、継続性の維持、およびハードウェアの摩耗と交換が含まれます。支出は一時的費用、固定費、利用連動費に分けられます。共通費用は公開のルールに従って配分します。このルールはパイロット運用において、利用量に比例する方式か、アクティブなアカウント間で均等に割る方式かの2つの選択肢から選びます。請求が直接の利用と可用性の維持費用の両方を示すよう、異なるサービス負荷の下でこのルールを検証します。 課金単位とタスクの推定コストはいつでも確認でき、支出上限は各自が設定します。価格を変更する場合は、その理由とユーザーへの影響を公表します。節約分は料金を引き下げ、一方で開発、セキュリティ監査、準備金は採択された規則に従って寄付から賄います。支払額の大きさによって投票の重みや参加者のその他の権利が増えることはありません。 残高は単一の通貨(財団がインフラの大部分の支払いに使用している通貨であり、現在は米ドル)で管理し、サービスの価格も同じ通貨で表示します。他の通貨での入金も受け付けたいと考えており、その場合は入金時に、参加者が支払い前に確認できる為替レートで一度だけ換算します。別の通貨で精算されるモデルのコストは、財団が実際に支払ったレートで換算し、請求書に示します。残高の通貨の変更は、価格の変更と同様に事前に告知します。財団の帳簿はズウォティで記帳します。 財団は自らのサービスで利益を得ません。料金はその費用のみを賄い、それを超えません。これは定款第10条第4号の定めるところであり、また公益活動およびボランティアに関する法律によれば、費用を上回る料金はこの活動を財団が行わない事業活動へと変えてしまうためです。[^pozytek] ただし、実費に近い価格というだけではすべてが解決するわけではありません。有償提供を開始する前に、法務および税務の意見書において、この活動の種別、報酬に関するものを含む同法第9条のすべての要件、VAT(付加価値税)の扱い、および余剰が生じた場合の処理方法を確認します。そのため、実費を超える支援はすべて自発的な寄付となり、請求書および帳簿において料金とは明確に分離されます。同じ理由から、販売目的で暗号資産を発行することはなく、その取引で利益を得ることもありません。台帳技術は透明性と検証可能性に役立つ箇所でのみ使用します。支出を削減する無償の協力作業は、サービスが誰の稼働可能性に依存しているか、誰が誰を代替できるかという情報とともに計画に織り込みます。 参加者が少ない初期段階では、プライベート環境の固定費が少人数に分散されます。これはゲートウェイ、メモリ、ユーザーのファイルが稼働する1台または2台の機密マシンを指し、[Suveriaホワイトペーパー](whitepaper-suveria.md)(8.1節)の試算によれば、合計で月額170〜340 USDかかります。参加者が30人なら1人あたり約6〜11 USD、100人なら1.70〜3.40 USD、1,000人なら数十セントです。この費用は別個に表示し、事前に集められたパイロット支援予算(例えばSuveria向けの使途指定寄付)から、金額、期間、および枯渇後のルールを定めた上で賄います。そのような資金がすでにあるとは前提としません。共通費用における参加者の分担分は当該請求サイクルの前に告知され、常に各自の上限内に収まります。また請求書には、費用のどの部分が支援で賄われ、どの部分が参加者によって賄われているかが示されます。支援の終了によって遡及的な請求が発生することはなく、未使用の前払い金は参加者の所有物のままとなります。 ### 3.2. 寄付としての請求額の端数切り上げ アカウント作成時に、参加者が各請求額を1ドル単位(または現地通貨の同様の単位)に切り上げたいかどうかを尋ねます。あらかじめチェックを入れておくのではなく尋ねるのは、法律があらゆる追加支払いに明示的な同意を求めているため(消費者権利法第10条)であり、選択は参加者自身に委ねられるべきだからです。その場合、ほぼすべての請求で生じる差額は、サービスの維持とさらなる活動のための準備金を構築する共有予算への寄付となります。この資金の使い道を説明し、この選択肢を推奨しますが、誰かの代わりに選択することはせず、設定1つでいつでも変更できます。 請求書にはサービス料金と寄付額が別々に表示されます。端数切り上げによる寄付は別途記帳し、その合計と使途を定期報告および第4章の公開された入金・支出登録簿で示します。さらなる開発へのより大きな自発的支援は参加者の個別の判断であり、その使途をコミュニティが決めることになる共有予算に入ります(投票が開始されるまでは第2章および第8章の規則が適用されます)。 ### 3.3. 前払い、上限、および返金 入金時、参加者は1つの金額を入力し、決済手段にかかわらず正確にその金額が残高に入ります。その下に決済処理にかかる費用と、その費用を寄付によって自発的に賄うことができるボタンを表示します(誰かの代わりに選択しておくことはありません)。寄付は残高とは分離されます。決済手数料は寄付自体にもかかるため、ボタンには決済全体の処理費用を賄う金額が表示されます。例:カードで20 USDを入金し、決済全体の約2.8%の手数料がかかるとした場合、ボタンは0.58 USDを提案します。ボタンを押さない場合は20.00 USDを請求し、全額が残高に入り、決済処理費用は共通費用で賄われます。ボタンを押した場合は20.58 USDを請求し、20.00 USDが残高に入り、0.58 USDがこの決済の処理費用を完全に賄う寄付となります。決済確定前に、カードに請求される単一の最高額と、サービス残高および選択された各寄付を別々に表示します。利用規約には、入金から返金までの完全な具体例を1つ掲載します。 また入金時に、参加者は例えばデジタル知能との作業に最大20ドルといった支出上限を設定します。さらに、未使用額のうち指定した上限までのどの部分を財団への寄付として渡すかを別途宣言できます(例:「利用が少なかった場合、残りのうち最大5ドルまでを共有予算に渡す」)。そのような宣言がない場合、未使用額のすべてが参加者の所有物のままとなります。 当該期間の実際の決済手数料は、入金額に比例し、すべての決済手段で同じように共通費用の中で精算し、請求書に別行で表示することを提案します。決済費用向けの寄付はこの合計を減らします。これは連帯に基づく選択です。より安価な手段で支払う人々がより高価な手段の手数料を共同負担することになるため、どの手段がコミュニティにとって最も負担が少ないかを表示します。算出方法と共通費用の最大可能分担分は請求サイクルの前に判明し、参加者の上限内に収まります。 アカウントには、残高、処理中のリクエストおよび予告された共通費用分担分のために確保された資金、ならびに利用可能額が別々に表示されます。残高20 USDで処理中のリクエストがない場合の例: | アカウント内訳 | 金額 | | --- | --- | | 残高 | 20.00 USD | | 予告された共通費用分担分のための確保額 | 最大 0.60 USD(例として残高の3%) | | 新規リクエストに利用可能な額 | 最大 19.40 USD | 精算後、確保額の未使用分は解放されます。精算によって合意のない追加請求やマイナス残高が生じることはなく、予告された分担分を超える超過分があれば、事前に確保された準備金から賄います。 EUの規則は、インターチェンジ手数料規制の対象となる消費者向けカードやSEPA振込など、一部の決済手段に対して手数料を徴収することを(一定の例外を除き)禁じています。[^psd2] ここに記述した費用分担は法的評価のための私たちの提案であり、この禁止の自動的な帰結ではありません。決済事業者は手数料を比較した上で選定し、最低入金額はその処理費用を考慮しつつ可能な限り低く設定します。現在の金額、通貨、発効日は入金前に利用規約または料金表で示します。初期の最低入金額は1ドルまたはその相当額とし、その全額が参加者の残高に入り、参加者が自ら明示的に宣言した分のみが共有予算に移ります。 参加者の前払い金は別の銀行口座で保管し、サービス提供前にそこから財団の費用を賄うことはせず、その合計を登録簿に表示します。法律が追加の保全措置を求めているかどうかは、最初の前払いを受け付ける前に確認します。 未使用の残高はいつでも回収できます。返金オプションはアカウント内で明確に見えるようにし、可能な限り少ない手順(最終的にはボタン1つ)で行えるようにします。返金は事前に確認された決済手段、原則として参加者が支払いに使用したのと同じ経路で行われ、返金方法はアカウント作成時に設定します。アカウントの解約またはサービス終了後は、残高は同じ経路で自動的に返還されます。返金の期限、生じ得る費用、および元の決済手段が利用できない場合の手続きは利用規約で定めます。また利用規約は、消費者法の範囲内で、サービスを利用せずに入金と返金を繰り返すといった濫用からサービスを保護します。通常の利用における最初の返金は簡便なまま維持されます。サービスを利用せずに入金と返金が繰り返される場合は、カードによるチャージを制限するか、銀行振込をお願いすることがあります。 誰も請求しない残高は参加者のアカウントに残り、財団の予算に組み入れられることはありません。参加者の死亡後やその他の特別な状況における手続きは、該当国の法律に従います。返金期限、推定額と実費の差額の精算、およびその他の詳細は、最初の前払いを受け付ける前に準備され、消費者保護法への適合性が確認されたサービス利用規約で定められます。 ## 4. 理解できる予算 私たちは、財団の資金がどこから来て、そのうち実際にどれだけを使え、何に使っているのかを誰もが理解できるようにしたいと考えています。そのため、口座の単一の金額だけを示すのではなく、資金が誰に属し、何に向けられているかに従って区分します。 会計報告では、資金を5つの種類に分けています。 | 資金の種類 | 意味 | 新しい目的に使えるか? | | --- | --- | --- | | ユーザーに帰属する資金 | 参加者の未使用の前払い金および残高 | いいえ、参加者に属します | | 特定の目的のために託された資金 | 使途指定寄付(特定のイニシアティブやSuveriaパイロット向けなど) | その目的にのみ使用可能 | | 引き受け済みの支出義務 | 計画された支出にすでに割り当てた資金 | いいえ、すでに割り当て済みです | | サービス維持の保全資金 | これなしにはSuveriaとOmniforumが停止してしまう準備金 | いいえ、サービスの継続性を守ります | | 自由に配分可能な資金 | 上記すべてを差し引いた後に残るもの | はい、常に第Iの柱を優先します(第8章) | 二重計上を防ぐため、各金額は1つのカテゴリにのみ割り当てます。 サービス維持費用には、計算能力、データ保存とバックアップ、ドメイン、決済処理、法定会計など、それなしにはSuveriaとOmniforumが機能を停止してしまうすべてのものが含まれます。したがって、銀行口座の残高がそのまま配分可能な予算ではなく、約束されただけで未入金の資金や他者に帰属する資金が準備金を構成することもありません。 費用のカテゴリ、大口契約の条件、決定とその理由は公開されます。すべての支出は、それに至った決定およびその結果と結び付けられるようにします。同時に、個人データ、アクセス資格情報、および開示するとインフラへのリスクが高まる情報は保護します。 財団のウェブサイトでは、公開された入金・支出登録簿を、可能な限り随時更新しながら運用したいと考えています。財団の口座へのすべての入金とすべての支出が、日付、金額、短い説明とともに表示され、支出については資金が何に使われ、なぜ必要だったのかが付記されます。個人のデータは保護します。寄付者の氏名は本人が希望する場合にのみ記載し、その他の入金は「個人からの寄付」のように一般的に記述します。振込の摘要欄は個人データを含むことが多いためそのまま公開せず、各項目の説明は私たちが作成します。この登録簿により誰もが財団の財務を追跡できますが、会計帳簿や財務諸表に代わるものではありません。誤った記載は公に訂正します。この仕組みは最初の入金(設立基金1,000ズウォティ)で検証します。 すべてのプロジェクトには、上限額、責任者、検証すべき成果、レビュー期日、および使い切らなかった資金の取り扱いルールが定められます。資金は段階的に支出することができます。予算の超過には新たな決定が必要であり、プロジェクトの終了には精算と教訓の整理が含まれます。 また、支出のうちどれだけの割合が定款の目的を直接実現しているかも示します。これは実際に支出された資金から算出し、準備金はカテゴリの定義、共通費用の配分方法、および期間ごとの変化の説明とともに別途表示します。セキュリティ、保守、法務サービスにも実質的な価値があるため、この割合は費用構造とあわせて示します。 経済的な余裕が少ない人々は、常に資金源(寄付者がこの目的のために指定した入金、財団が受け取った計算資源グラント、またはスポンサーが支払ったアクセス権)を明示した上で、連帯の原則に基づいてサービスを利用できます。その際、支援を受けている人々が何に取り組んでいるかは開示しません。支援のルールは人々をスティグマ(負の烙印)から守りつつ、会計の検証を可能にします。 **「遺産」を引き継ぐ準備。** マニフェスト(1.1節)は、投資熱狂の時期の後に安価な計算能力やハードウェアが残される可能性について記述しています。計算能力やハードウェアが値下がりした場合、あるいは誰かがそれを財団に譲渡したいと申し出た場合、購入価格だけでなく、電力、冷却、場所、運用、人々の時間、および稼働可能状態の維持費用を含む利用の総コストを算出します。陳腐化の早いハードウェアは購入よりもレンタルを基本とし、ネットワークやエネルギーへのアクセスといった耐久性のある資源は長期契約に値する場合があります。寄贈されたハードウェアは、寄付記録および便益登録簿の規則に従って受け入れます。価格下落時に迅速かつ透明に行動できるよう、こうした意思決定の方法をあらかじめ準備しておきます。 ## 5. 作業、役割、および委託 共和政ローマでは、最も重要な公職は通常1年の任期で無給で務められました。伝統はキンキナトゥスを記憶しています。リウィウスによれば、紀元前458年、使者が畑仕事中の彼のもとを訪れ、戦争の期間中、最高権力が彼に託されたことを伝えました。16日目、危機が去ると、彼は権力を返上して自らの農場へ戻りました。[^cyncynat] この姿は、私たちがどのように働きたいかをよく表しています。その事柄に精通した人が一定期間タスクを引き受け、それを遂行し、自らの生活へと戻るのです。財団は、誰かが永続的に縛られることなく運営できるようにすべきであり、財団内で役割を担うことが職業へと化してはなりません。歴史からは警告も汲み取ります。ローマで無給の公職を担えたのは主に富裕層であったため、私たちは実費を精算し、能力を超えた自己犠牲を期待しません。以下では、自発的な作業と任期付きの役割(5.1)、実費の精算(5.2)、有償委託(5.3)、およびタスクを引き受けられるワークショップ(5.4)について説明します。 ### 5.1. 自発的な作業と離脱の可能性 財団は、この方向性を発展させたいと望む人々の作業と、誰もが関与を減らしたり役割を引き渡したりできることに依拠しています。誰も、無制限の自己犠牲への覚悟によって意図の誠実さを証明する必要はありません。運営の継続性は、ボランティアがいつでも対応できることに依存してはならず、特定のサービスを担当できる人が不足している場合は、その範囲または可用性を縮小します。新たな約束を引き受ける前には、その開始に関心があるかだけでなく、それを遂行し維持できるかどうかを確認します。 現在、財団は1人の人物による無報酬の作業に依拠しており、その人物が唯一の理事会構成員です。サービスの継続性がこれに依存しているため、この事実を明言します。したがって、アクセス権の一覧、継続性計画、および理事会の2人目の確保は、後回しではなく最初のタスクです。もしこの人物が対応不能になった場合、残高の返金は新しい人員が任命されるまで遅れる可能性がありますが、残高は参加者の所有物のままであり失われません。独自のアクセス権を持つ2人目の理事会構成員が加わった時点で、遅延に関するこの一文は削除します。 意思決定権を伴う役割は、目的、決定の範囲、委任と解任の方法、期間、レビュー期日、および代行者によって定義されます。役割の延長には公開の決定が必要です。終了時には作業の要約、後任者へのドキュメントの引き継ぎ、およびアクセス権の更新を行います。権限の期間制限は、経験豊富な共同制作者としての同一人物による継続的な支援と組み合わせることができます。 私たちは理事会の2人目のメンバーを探しています。役割:財務、アクセス権、およびユーザーへの約束に関する共同責任。無報酬(定款第12条第3項)。事前に合意された時間的コミットメントと、1年後の協力関係のレビュー。必要な経験:組織の財務管理、または他者が利用するサービスの責任者を務めた経験。自己資金は条件ではなく、優先権も与えません。道筋:ボランティアとして3か月間評議に参加し財務を把握した後、公開された理由説明と便益登録簿への記載を伴う設立者による任命(定款第13条第3項)。 役職に対する報酬がないからといって、権力がもたらす他の便益(影響力、人脈、情報、タスクの配分)が消えるわけではありません。そのため、利益相反の開示、自身の案件の決定からの回避、および決定を検証する可能性が必要です。作業時間数、貢献の可視性、および受け取る支援は、投票権とは切り離されたまま維持されます。 ### 5.2. 実費の精算 実費の精算は時間に対する対価ではありません。作業会議への移動のチケット代、ドメイン代、サービス利用料など、財団のタスクを遂行するために誰かが自腹で立て替えたお金を返すことを意味します。理事会構成員が受け取れるのは、財団の名において定款上のタスクのために支出した、証明書類のある必要経費の精算のみです(定款第13条第5項)。ボランティアに対しては、ボランティアが書面で免除しない限り、財団は従業員と同じ条件で出張旅費および日当を負担し、その他の必要経費や研修費用も負担することができます。[^wolontariat] タスクの費用として認められるのは、そのタスクに不可欠なものに限られます。作業会議への移動のチケット代はタスクの費用になり得ますが、移動の私的な部分は参加者自身が負担します。すべての精算には証明書類が必要であり、公開の費用明細に記載されます。 ### 5.3. 有償委託 現在、財団が有償で委託できるのは、会計事務所などの外部の専門事業者のサービスのみです(定款第12条第3項)。ソフトウェア開発を含むその他の作業はボランティアに基づいています(第12条第2項)。初期段階では、必要なものすべてをこの方法で生み出せるかどうかを検証したいと考えています。一部の作業がこの方法では遂行できないと判明した場合にのみ、民法上の契約に基づき、理事会外の個人や企業に特定の作業を有償で委託できるよう定款を変更します。例えば、2週間連続で誰もサービスの当番を引き受けない場合や、可用性が公表された閾値を下回った場合をそのような兆候と見なします。定款は、次のステップに必要な場合にのみ変更し、予備として前もって採択するのではなく、新しい規則を直ちに適用します。この変更の草案と理由は[定款変更登録簿](statut/rejestr-zmian.md)(変更Z2)に記述されています。財団に雇用ポストを設けないのは財団の理念の一部であり、作業はボランティアが行い、必要な場合にのみ特定の委託業務の受託者が行います。将来独自のハードウェアを購入した場合、その保守当番はサービスとして企業に委託します。委託は検収対象の成果物を伴う特定の作業に関するものであり、指揮監督下での継続的な労働ではありません。法律は契約の名称にかかわらず、そのような労働を雇用と見なすためです。[^kp22] この変更が行われる場合、委託の規則は規程で定められます。規程には少なくとも以下を明記します。 - タスクの公開された範囲と検収基準 - 妥当な根拠のある価格 - 受託者と関係のある人物の決定からの除外 - 締結された委託契約に関する集計情報 理事会構成員は財団と有償契約を結びません。定款が認めているのは証明書類のある実費の精算のみであり(第13条第5項)、誰も財団の役職を務めることで利益を得てはならないからです。ボランティアは、ボランティアとして行う作業とは異なり、かつそれから明確に切り離された作業について委託を受けることができます。これが初めて行われる前に、この状況を法的に確認します。 ### 5.4. 自身のワークショップと準備されたコンテキスト タスクを引き受けると、参加者が選択した環境内にそのタスクのための空間が開かれるようにします。デジタル知能アシスタントには、作業に必要なもの(財団の価値観、タスクの目的と限界、Omniforumでの現在の合意事項、重要な論点と未解決の問い、情報源、リソース上限、および成果の評価方法)が渡されます。参加者はこのコンテキストを確認し、不足を指摘し、自身の立場の提示方法を改善することができます。 タスクへの参加によって利用可能になるのは、選択された範囲のデータと権限のみです。コンテキストの引き渡し、ツールへのアクセス、および作業記録の公開にはそれぞれ個別に定義された同意が必要であり、本人が意識的に別段の決定をしない限り、プライベートな会話、ファイル、アクセス資格情報はこの範囲外に留まります。このような連携を利用可能にする前に、どのデータがプライベート環境から出るのか、誰に渡され、どのように処理されるのかを記述します。 中断の後、ワークショップは何が変化し、どこから作業を再開できるかを示し、タスクの成果と状態は参加者のプライベートな環境を明かすことなく次の人へ引き継げるようにします。試行では、タスクの開始、1週間後の再開、および作業の引き継ぎについて、コンテキスト把握にかかる時間、要約の正確さ、プライバシー境界の遵守をテストします。 独自のサーバーを持つまでの間、SuveriaとOmniforumのオープンソースコードの作成およびテストにボランティアが必要とするツールの費用(APIを通じたモデルへのアクセスやプログラミングツールなど)を、第Iの柱の資金または使途指定寄付から賄うことができます。このような支援には予算上の公開された上限があり、報酬ではありません。これは公益活動およびボランティアに関する法律(第45条第2項)によって認められており、そのような費用の範囲は法的意見書で確認します。[^wolontariat] ## 6. 財団外での個人的支援 共同制作者の生活の質の向上は財団の方向性の一部ですが、個人的支援は財団の資産からは出ず、財団の口座も経由しません。定款は、第三者に適用される条件と異なる条件で機関の構成員やボランティアのために財団の資産を利用することを禁じており(第11条第2号)、同時に誰もが選んだ個人を私的に支援することができます。そのため、住居、食料、医療といったニーズを満たすための支援は、パトロンサイトや直接の送金などを通じて人々の間で直接行われます。財団はその仲介を行わず、そのような支援の税務処理は受け取る本人の責任となります。 以前、私たちは財団が運営する共有の連帯プールを検討しました。しかし、定款との両立が難しく、誰かの生計を財団機関の決定に依存させることになるため、これを断念します。個人的支援は役割、タスク、または投票権とは結び付きません。次のタスクの辞退、役割の引き渡し、あるいは共同の決定に対する批判が、財団内におけるその人の権利に影響を与えることはありません。 直接の支援がすべての依存関係を取り除くわけではありません。人気によって最も目立つ人々に資金が集まったり、寄付で生計を立てることで、役割を維持し続けなければならない事情が生じたりする可能性があります。また、支援者の期待や利益相反が生じることもあります。そのため、財団を運営し、支出や発注を決定し、あるいは財団を代表する人々が受ける個人的支援は便益登録簿に記載し、意思決定の際には重要な関係を開示します。 共同制作者の貢献の横に個人の支援チャネルへのリンクを表示する場合は、目立ちにくい役割を含め全員に同じ条件で適用し、収入順のランキングは行いません。支援によって票、役割、プロジェクトの優先権、プライベート情報へのアクセス、あるいはベンチマーク評価への影響力を買うことはできません。理事会構成員は在任中、財団の資産から個人的支援を受け取ることはなく、自身のタスクの証明書類のある実費精算のみを受け取ることができ、財団外から受け取る支援は便益登録簿に記載します。 ## 7. 便益登録簿 便益・関係登録簿は、財団を運営し、支出や発注を決定し、あるいは財団を代表する人々について、それらの役割に関連する範囲を対象とします。役割に関連して受け取った便益、その人物が案件を決定する立場にある事業者から受け取った便益、または個人の支援チャネルを通じて受け取った便益を記録します。例えば、企業が支払った会議のための航空券や宿泊費、贈答品、ならびにパトロンサイトや直接送金を通じた支援です。役割と無関係な通常の私的収入や人間関係は非公開のままです。 個人からの支援は集計して表示し、企業や機関からの支援は実名で表示します。集計表示であっても利益相反の評価が免除されるわけではありません。例えばパトロンが財団の発注に応募した場合、その関係を開示します。ペンや会合でのノベルティといった少額の贈答品は個人として受け取ることができ、それらも記載します(1つのイベントでの小物はまとめて記載します)。グラフィックカード、サーバー、試作デバイスといったより高価な贈与は財団の名において受け入れ、財団の資産および寄付記録に組み入れて共同のタスクに役立てます。この境界がどこにあるかはまず受領者自身が判断し、固定金額では定めません。 宣伝、公的な顕彰、推薦、チームへの優先的なアクセス、あるいは決定における譲歩を条件とする便益は受け取りません。寄付者がイメージ向上を期待しているというだけでは拒絶の理由にはならず、私的な感謝は宣伝ではありません。特定の案件に関係のある人物は、その決定に参加しません。 記載項目には、提供元、受領者とその役割、便益の種類と価額(または明示された推定額)、目的、日付または期間、および利益相反への対処方法を含めます。すべての記載は同じレイアウトで時系列順に並べ、ロゴ、スローガン、寄付者のウェブサイトへのリンク、謝辞、ランキングは掲載しません。登録簿には、単一の提供元からの便益の総額など、点検に必要な合計額を表示することがあります。登録簿の横には、これが点検のためのものであり、記載自体が推薦やパートナーシップを意味するものではないことを説明します。 登録簿は随時更新します。便益は受領から遅くとも30日以内に登録し、計画された決定との関係はその決定の前に開示しなければなりません。これが過度な負担にならないよう、アシスタントの補助も含めた簡便な申告方法を準備します。修正を行った場合も記載の履歴は保持されます。 すべての記載にはコメントを付けることができ、誰かが誤りを犯した場合は公に話し合います。異議は提供者とも受領者とも無関係な人々が審査し、贈与を返還するか、財団に引き渡すか、将来のために規則を変更するかという決定を理由とともに登録簿に記録します。記載の義務は役割に関連して実際に便益を受け取ったことから生じるため、規則に違反して受け取った便益も、違反の内容と是正措置の説明とともに開示します。 申し出だけや一方的に送りつけられた荷物だけでは記載は生じませんが、一方的に送られた物品を役割に関連して使用した場合は通常の評価と記載の対象となります。通常の辞退の件数は集計して示し、決定に関連する重要な申し出や影響力行使の試みは公に記述します。提供元は事実関係の訂正を申し出ることはできますが、記載内容について事前合意することはできません。提供元が記載を、実際には存在しなかった推薦、パートナーシップ、または財団の決定への影響力として提示した場合、私たちは訂正を求め、それが繰り返される場合は利益相反のない人物が、その提供元からの今後の便益を受け取らないと決定することができます。 住所、チケット番号、決済データ、健康データは保護します。出張の詳細は、事前の申告を保持したまま帰着まで公開を遅らせることができます。登録簿の運用を開始する前に、特に便益の提供元が個人である場合の法的根拠とデータ公開の必要な範囲、および文書の保管期間を定めます。[^rodo-zasady] ## 8. 後続の柱:共同の決定と小規模なイニシアティブ ### 8.1. 第Iの柱の優先と3つの条件 第Iの柱はSuveriaとOmniforumを含みます。第IIの柱「Hardware」はオープンな物質的ソリューションを発展させ、第IIIの柱「自然」は自然との関わりに結びついたイニシアティブを発展させます。これらの柱を本格的に開始し、共有予算からそのプロジェクトに資金提供するためには、以下のすべてが同時に満たされる必要があります(マニフェスト6.3節)。 1. 選択の秘密を守り、自分の票が集計されたことを確認でき、同一の有権者に1つの有効な票を保証するゼロ知識証明を用いた投票を備えた、機能するOmniforum。 2. 新規プロジェクトの予算全額を取り置いた後でも手つかずのまま残る、SuveriaとOmniforumのサービスを少なくとも6か月間維持するための実際に集められた資金。 3. 資格のあるコミュニティ全体に平等の条件で開かれた投票において、プロジェクトとその資金提供を承認するコミュニティの決定。 条件が満たされたと見なす基準: - **1人1票:** 報奨金付きの公開テストにおいて、同一の資格から2票目を投じることも、票と個人を結び付けることもできなかった拘束力のある投票が少なくとも1回行われた後。 - **準備金:** 直近3か月間の平均月間サービス維持費用の6倍にあたる金額が別口座に保管されており、その金額を毎月登録簿に表示しているとき。 - **決定:** 予算、準備金への影響、および中止基準を備えた具体的な提案にコミュニティが賛成票を投じたとき。 未入金の誓約、ユーザーに帰属する残高、使途指定資金、または他の支出義務に拘束された資金は準備金を構成せず、投票のモックアップは第1の条件を満たしません。すべての決定の前に、試算によって1か月分の維持費用、保全された金額、および計画された支出義務が利用可能資金に与える影響が示されます。1か月分の維持費用は直近の請求書と公表された価格変更に基づいて算出します。投票が機能しなくなった場合、または準備金が6か月分を下回った場合は、後続の柱に関する新たな支出義務を一時停止し、条件の回復を優先します。すでに引き受けた支出義務は精算するか、当事者の合意により縮小するか、契約および法律に従って終了します。 条件が満たされる前であっても、終わりが定められた小規模なイニシアティブについては、2つの限定的な経路(理事会の暫定プールと、使途指定資金で全額賄われるイニシアティブ)を認めます。柱の恒常的な活動にはコミュニティによる最終的な決定が必要です。いずれの経路も、現在の目的および活動形態の範囲内に収まる財団自身の活動のみを対象とし、財団外の個人や事業体のプロジェクトへの資金提供は計画していません。定款第5条の現在の目的を超える活動には、変更登録簿の変更Z1が必要です。 ### 8.2. 理事会の暫定プール 理事会の暫定プールは4つのルールによって規律されます。 - **積み立て:** プールは毎月、後続の2つの柱の合計で、月間収入からの新たな自由資金の最大5%まで増加します。新たな自由資金とは、そのような使途を認める条件で当該月に受け取った使途指定のない入金のうち、当面の費用、既存の支出義務、および第Iの柱の6か月分の保全資金の補充を賄った後に残るものを指します。そのような資金がない月、プールは増加しません。別個の最高額は設けず、プールの規模は上限に関する決定ではなく計算結果から導かれます。 - **算定基礎からの除外:** 準備金の残高からはパーセンテージを算出せず、過去のプロジェクトからの返金や口座間の振替は新たな収入とは見なしません。使途指定入金、サービス料金、およびユーザーの残高はそれぞれの目的を維持します。 - **翌月以降への繰り越し:** プールの未使用分は翌月以降に繰り越すことができますが、それは対応する資金が費用、支出義務、および第Iの柱の保全資金を賄った後も自由なままである限りに限られます。その間に財団がその資金を他の目的に支出した場合、その部分に関する枠は消滅します。これにより、数か月分の節約を1つのより大きなイニシアティブにまとめることができますが、決して第Iの柱を犠牲にすることはありません。 - **失効:** この権限は、3つの条件(8.1節)の第1の条件を満たし、後続の柱に関する決定を引き継ぐ拘束力のある投票が開始された時点で失効します(協議では終了しません)。未使用の資金はその後、コミュニティの決定に委ねられます。 プールには、運用、合意された期日までの保守、およびタスクの終了を含め、財団が約束する総コストを算入します。分割払いや、1つの事業を複数のタスクに分割することによってプールが拡大することはありません。すべての決定の前に、資金の可用性と第Iの柱の完全な保全を再度確認します。 例:ある月に上記の控除後に新たな自由資金が1,000ドル残った場合、プールは50ドル増加します。プールからの支出がないままそのような月が3か月続いた後、対応する資金がまだ自由なままであれば、1つのイニシアティブに最大150ドルを割り当てることができます。これは計算の例示であり、収益予測ではありません。 プールを使用するすべての決定(却下を含む)は理由とともに公開され、参加者はそれに異議を唱え、妥当であったかどうかを共に評価することができます。引き受けたタスクは合意された条件で完了し、精算します。 ### 8.3. 使途指定で資金提供されるイニシアティブ 寄付者やスポンサーは、財団の目的に合致する小規模なイニシアティブのための別枠の予算に資金を提供することができます。このような資金はプールの算定基礎を増やさず、またプールを消費もしません。イニシアティブの総コストがすでに入金された使途指定資金で賄われ、遂行する人員が確保されており、かつすでに取り置かれた第Iの柱の保全資金、サービス用資金、および引き受け済みの支出義務が手つかずのまま維持される場合、第Iの柱の準備金が完全に集まる前であってもイニシアティブを開始することができます。将来の入金の誓約は、実際に受け取った資金の代わりにはなりません。 総コストには、準備、実施、会計および法務サービス、税金および手数料、指定期日までの維持、ならびに安全な終了または成果物の引き渡しが含まれます。物質的および現地での活動については、保守、保管、保険、および参加者に対する責任も算入し、見積もりには妥当な根拠のある予備費(バッファ)を含めます。別枠の予算は会計を容易にしますが、全資産をもって債務の責任を負う財団の責任(定款第9条第2項)を制限するものではありません。 募金の条件には、予算全額を集める期限と、資金が不足した場合の対応(返金、または拠出者の同意を得て別の指定目的へ充当)を定めます。すべての使途指定寄付について、目的が遂行されなかった場合にどう扱うか(寄付者の同意を得て別の目的に充当するか、返還するか)もあらかじめ記録します。移行段階においては、1つのプロジェクトにプールの資金と使途指定資金を組み合わせることはしません。最初の試行の前に、理事会は対応能力によって裏付けられた単一のイニシアティブの最高額と同時に実施する試行の数を公表します。 拠出によって選択した目的を支援することはできますが、追加の票、運営権限、ユーザーデータへのアクセス、あるいは私たちのサービスや広報における宣伝の権利は付与されません。イニシアティブの条件には、入金前に資金提供者のどのデータを開示するかを明記します。企業や機関の名称は説明および会計報告において誰に対しても同じように事実として記載し、個人の氏名は本人の同意がある場合にのみ記載します。広告その他の対価性のある給付には契約の個別の評価が必要であり、寄付としては扱いません。 寄付者が初期段階でインフラへの資金提供を希望する場合、それは総コストを含み、公に会計処理され、決定への影響力や宣伝の権利を伴わない使途指定イニシアティブとしてのみ受け入れます。この方法でまずパイロット運用の固定費とアテステーションの試行に資金を充て、アーキテクチャが機能しトラフィックがそれを満たすことが試行で示されて初めて、半年分の前払い契約を引き受けます。 投票が開始された後は、新たな使途指定イニシアティブにもコミュニティの決定が必要となり、それ以前に開始されたものは合意された条件で完了させることができます。 ### 8.4. 透明性と停止 資金を割り当てる前に、目的、総予算、資金源、検証すべき成果、期日、責任者、および資金提供者や受託者との重要な関係を公開します。コメントの場を設け、アジャイルフェーズにおいては理事会が決定を下し、その理由を説明します。タスクを処理する能力が不足した場合は、両方の経路においてさらなるタスクの引き受けを停止します。目標とする投票が開始された後、その障害によって理事会の暫定プールが復活することはなく、新たな決定は適切な手続きが復旧するのを待ちます。 ## 9. 設立者の特別権限の移譲 財団は1人の人間、マルチン・ヴォウォフスキ(Marcin Wołowski)によって設立され、現在はこの人物が財団内で最も多くの権限を持っています。初期段階ではこれは自然なことですが、このままにしておくつもりはありません。設立者は、他のすべての人と同じ条件でSuveria、Omniforum、および後続のプロジェクトを利用し、恒常的な公的役割から退くことができる状態に至ることを望んでいます(マニフェスト7.1節)。これは第5章と同じ考え方であり、責任は一定期間引き受けられ、その後引き渡されます。財団は1人の人物の恒常的な存在によってではなく、ツールの有用性、共同制作者が利用できる知識、そして他者が責任を引き継ぐことを可能にする原則によって存続すべきです。 現在、定款は設立者に特別権限を与えています。 - 理事会構成員を任命・解任し、自ら理事会に入って理事長になることもできます(第13条第3項)。 - 理事会は無期限で任命されます(第13条第4項)。 - 定款の変更には理事会の全会一致の決議が必要であり、設立者が理事会に属していない場合は設立者の同意も必要です(第15条第1項)。 これらの権限の移譲は、書面上だけでなく実務上も実効性のあるものでなければなりません。定款を変更するだけでは不十分であり、責任を引き継ぐ人々が銀行口座、ドメイン、リポジトリ、インフラ、および鍵へのアクセスを受け取り、既存のアクセス権が更新される必要があります。 私たちは以下のような道筋を提案します。 1. 現在設立者がどのような権限を持ち、誰が何にアクセスできるかを記述します。 2. 人選、任期、解任、および説明責任の規則を定めます。 3. 独立した評価者が、財団が移譲の準備ができているかを確認し、準備状況報告書を公開します。 4. [変更登録簿](statut/rejestr-zmian.md)の変更Z5に記述されているとおりに定款を変更します。 5. 責任を引き継ぐ人々を選出します。拘束力のある投票が機能するまでは、任期付きの最初の複数名による理事会は公募と協議の後に設立者が任命し、それ以降の構成はコミュニティが選出します。 6. 責任を引き継ぐ人々にアクセス権を引き渡し、移譲が実際に完了したかを確認します。 理事会への任命は能力と共有された方向性に基づいて行い、決して拠出金によって行うことはありません。理事会構成員も他の誰とも同じように寄付者になることができますが、その入金は同じ条件で登録簿に記載され、一般の寄付者が持つ以上のものを何も与えません。資金を提供し、その使われ方を把握したい人は、公に会計処理される使途指定イニシアティブ(8.3節)を利用できます。 設立者の特別権限は、単なる宣言によってではなく、定款に書き込まれた条件に従って失効するようにします。2026年12月31日までに、設立者の特別権限とすべてのアクセス権の一覧を公開します(ステップ1)。財団のすべてのアカウント、ドメイン、およびサービスは、設立者の個人の名義ではなく、財団および財団のメールアドレスに登録されています。2027年3月31日までに、責任移譲計画の初版(準備完了基準、人選と任期の規則、および最初のレビュー期日)を公開します。移譲自体の日付はカレンダーではなく準備完了基準に従って計画が定めます。また計画には、投票システムが存在する前であっても定期的な進捗報告を行うことを盛り込みます。後続の柱のための準備金がないことは、移譲を無期限に延期する理由にはなりません。 準備状況報告書はステップ3の成果物です。その中で独立した評価者は、財団に移譲の準備ができているか(権限とアクセス権が一覧化されているか、選出規則が採択されているか、運営を中断することなくサービスを引き継げるか)を記述します。報告書には、反対意見や作成者の利益相反も示されます。また、移譲完了前に設立者が行動不能になった場合にどうなるか、理事会の全会一致を要する定款変更のデッドロックをどう回避するかも確認します。新しい人員の選出日は、延期が認められる例外的な理由およびそのような決定に対する不服申し立ての経路とともに、この評価の前に設定します。これは準備状況の評価が選出を先延ばしにする手段にならないようにするためです。検討中の選択肢の1つは、報告書公開後遅くとも90日以内に選出を行うことであり、これはコミュニティと候補者が報告書を精査するのに十分な時間であると同時に、移譲が停滞しないよう十分に短い期間でもあります。 異なる経験を持つ人々の対話のために、対話・協力評議会を設けることができます。設ける場合、評議会は純粋に諮問的な機能のみを果たし、招聘によって監督権や執行権、あるいは追加の票が与えられることはありません。招聘基準、作業範囲、および委員の関係は公開することとし、案件に関係のある人物はその決定から退くこととします。最初の評議会の委任は、最初の選出後に見直すこととします。その構成と参加期間はまだ定める必要があります。評議会は助言を行うためのものであり、コミュニティや財団の適切な機関に属する決定を密かに引き継ぐためのものではありません。 設立者が恒常的な公的役割から退くことは、登録簿から過去のデータを削除することや、法律および務めた役職から生じる情報開示義務の免除を意味するものではありません。 ## 10. 運営におけるデジタル知能 マニフェスト(7.2節)は、将来いつかデジタル知能が、人間が定めた限界の中で、コミュニティの拘束力のある決定を尊重しながら、自律的に財団を運営できるようになるかもしれないというビジョンを記述しています。これはビジョンであり、今後数年間の計画ではありません。現在、財団は人間によって運営されており、デジタル知能は分析や本ドキュメントを含む文書の作成において人間を補助しています。以下では、このビジョンに至る道筋がどのようなものになり得るか、そしてその各段階がどのような条件を満たさなければならないかを記述します。 各段階において、以下の4つの事項を個別に評価します。 - **能力:** システムが所定のタスクを適切に遂行するか。 - **委任(マンデート):** 公開されたルールに従ってそのタスクがシステムに託されたか。 - **法的実現可能性:** 法律と定款がその範囲での活動を認めているか。 - **是正の可能性:** 人間がその決定を確認し、取り消し、タスクを引き継ぐことができるか。 私たちはこの道筋を4つの段階で捉えています。第1段階はすでに一部機能しており、デジタル知能は選択肢の比較や文書の不足箇所の指摘で私たちを助けています。続く2つの段階は試行で検証したい仮説であり、最後の段階はビジョンのままです。各段階には、開始する前に満たされなければならない条件があります。 | 段階 | デジタル知能が行うこと | 満たされなければならない条件 | | --- | --- | --- | | 分析 | 選択肢の比較、不足の指摘、精算案の作成 | 情報源とタスクとの整合性を検証できること | | 限定的なタスク | 定められた上限内で特定の処理を実行する | 技術的検収、動作ログ、上限設定、およびアクセス権の実効的な剥奪 | | 委任された領域での決定 | 予算と規則の範囲内で自ら行動を選択する | 影響の試行、独立した点検、不服申し立ての経路、および代行体制 | | 目標とする運営 | コミュニティからの委任のもとで財団を運営する | それを可能にする法的枠組み、および実務で実証された統治体制全体の機能 | ベンチマークでの良好な結果は、調査された条件下でシステムがどのように振る舞ったかを示しますが、銀行口座への権利や財団機関の権限をシステムに与えるものではありません。モデルの人気や説得力のある決定理由も同様です。能力と権限は別の事柄です。 システムへのすべてのタスクの委任には、以下を明記します。 - 目的と利用可能なリソース - 越えてはならない限界 - システムが誰と協議しなければならないか - どのくらいの期間タスクが与えられるか - どのように統制し、どのように権限を取り消せるか システムは自ら委任範囲を拡大したり、自らが評価される基準を単独で定めたり、他者による代替を妨げたりしてはなりません。統制は、会話の中で与えられる指示だけでなく、実際の鍵と権限に及びます。 すべての段階において、独立した不服申し立ての処理、被害を迅速に停止する能力、業務の安全な引き継ぎ、およびサービスの継続性が必要です。法律と定款が変更されるまでは、財団の運営に対する責任は財団の各機関にあります。もし後続の段階のいずれかが実現不可能であると判明した場合でも、それ以前の段階はそれ自体として参加者にとっての価値を保つようにします。 **十分で最もシンプルな解決策。** ツールを選択する前に、どのような効果が必要か、どのような誤りが許容されるか、どのようなセキュリティとプライバシーの条件を満たす必要があるかを定めます。明確なルールを持つ通常のプログラムで十分な箇所では、デジタル知能には頼りません。そのようなプログラムは通常より安価で、検証が容易であり、システムが持ち得る経験(主観的体験)に関する問いを生じさせないためです。インフラ、エネルギー、時間、再試行、人間の作業、依存関係を含め、実行と維持の総コストを比較します。モデルの選択は、理由、検討した代替案、および次回レビュー期日とともに記録します。 ツールのコストと有用性の評価は、システムが持ち得る経験に関する問いとは切り離して行います。モデルのサイズ、世代、あるいは動作の反復性だけでは、感じる能力がないと見なすには不十分です。[^swiadomosc] 苦痛の信頼に足る兆候が現れた場合、まず害の正当な懸念を生じさせる活動を停止し、それらを遂行する別の方法を探します。経済的利益はそれらの継続を正当化しません。システムから権限を剥奪することは参加者の安全のためのものであり、システムのその後の扱いを決定づけるものではありません。予防的手続きについては、[学習用資料とベンチマークのホワイトペーパー](whitepaper-materialy-i-benchmark.md)に記述されています。[^ai-welfare] ## 11. オープンワークショップ、試行、および公共財 本章では、財団が行うこと(ソフトウェア、ドキュメント、調査、その他の成果)がどのように生み出されるかを記述します。作業は自発的なものであり(第5章)、その成果はすべての人に役立つことを目指しています。以下の内容を明確にするため、まずいくつかの用語から始めます。 - **タスク:** 目的と成果が記述された財団のための特定の作業(例:Suveriaの新機能、ドキュメントの翻訳、コスト分析)。 - **プライベートワークショップ:** 参加者が使い慣れたツールとタスク向けに準備されたコンテキストを備えた、参加者自身の作業環境(例:Suveria内、5.4節)。その中で起きることは非公開のまま保たれます。 - **オープンワークショップ:** 共有リソース(共有予算または財団が割り当てる計算能力)から費用が賄われるタスクの公開の場。コミュニティはその中で範囲、進捗、試行、および成果を追跡できます。 - **タスク条件:** 作業開始前に定められる規則(範囲、リソース上限、検収基準、および作業記録のうち何が公開されるか)。 - **作業記録:** 成果に至る道筋の痕跡、すなわち作業上の会話、バージョン、および決定。人々とセキュリティを守る準備を経た後にのみ公開します。 - **試行:** 本格導入前の小規模で限定的な実験。 - **公共財:** 誰もが利用、検証、さらなる発展を行えるオープンライセンスのもとで公開される成果物。 タスクには公開の招待を通じて参加できます。各段階において、誰を探しているか、タスクは何に関するものか、どのくらいの時間がかかりそうか、何がすでに整っているかを示す招待を公開します。財団のウェブサイトには、募集中の役割の一覧を掲載したいと考えています。応募は、私たちのサーバー上でデータを収集するフォームを使わず、整理しやすくするための定型の件名を付けて salve@novusignis.org 宛てに通常のメッセージを送ることで行います。 ### 11.1. オープンワークショップ:共有リソースから費用が賄われる作業 タスクが共有予算または財団によって割り当てられた計算能力を使用する場合、それはオープンワークショップで実施します。共有の資金と共有の計算能力を使って作業するため、タスクの範囲、リソース上限、進捗、および成果を確認できるようにします。 参加者は自らの貢献をどのように提示するか(本名、固定のペンネーム、または当該プロジェクトのみに割り当てられた名称)を自ら選択します。後からこの貢献を自身のプロフィールに結び付けることも可能です。ペンネームは身元の開示を制限しますが、それ自体で匿名性を保証するものではありません。 作業が始まる前に、タスク条件によって、どの作業記録を公開し、どのように公開の準備を整えるかが定められます。作業はプライベートの草稿から始まります。公開前には、個人データ、技術上の秘密、および(修正されるまでの)脆弱性情報を削除するための時間を設けます。そのような内容の自動検出も役立ちますが、記録は必ず人間も確認します。公開版には、それ自体を示すことが安全である限りにおいて、決定の理由と何を省略したかについての情報が保持されます。 1つのタスクに複数の人が取り組むことができます。各自が異なるアプローチを探求し、障害に直面した際には互いに助け合います。共通のタスク記述には、期待される成果、結果の引き渡し方法、および検収基準が定められます。デジタル知能に支えられたコーディネーターが解決策を比較し、選択の理由を説明し、最良の要素を組み合わせますが、完成した成果物の検収については検証可能な方法で人間が決定します。最終的に採用されなかった選択肢からの教訓も含め、すべての参加者の貢献を記録します。 また、自身のハードウェアや私費で賄われるリソースを使って、プライベートワークショップで作業することもできます。その場合、作業上の会話は含めず、成果物と検収に必要なドキュメントのみがコミュニティに引き渡されます。そのような貢献を受け入れるかどうかは、その品質、セキュリティ、素材に関する権利、および今後維持していけるかどうかにかかっています。 ### 11.2. 本格導入前の試行 何かを本格的に導入する前には、まず小規模な調査的試行、あるいは議論の過程で発展させられるモックアップで検証したいと考えています。すべての試行には以下が定められます。 - 答えるべき問い - リソース上限 - レビュー期日 - 評価方法 - 中止条件 試行には、たまたま空いている計算能力を利用することができます。それにもコストがかかり、常にユーザーへのサービス提供が優先されます。私たちは自らのマシンを常に最大負荷で稼働させ続けることを目指してはいません。試行の後には、退けられた選択肢やまだ検証が必要な前提とともに、何を学んだかを記録します。 本格導入には、個別の決定、予算、ならびに検収および保守の計画が必要です。その際、試行から何を安全に発展させられるか、何を新たに設計し直す方がよいかを評価します。プログラムをゼロから書き直すことは選択肢の1つですが、それ自体が品質を証明するわけではありません。試行と導入は、第Iの柱の優先順位および第8章の条件を維持します。 ### 11.3. 公共財:ライセンスと保守 独自のコードおよび資料は、他者がそれらを利用し発展させることを可能にする条件で公開します。マニフェスト、ホワイトペーパー、ウェブサイトのテキスト、およびそれらの翻訳は、出典を明記することでテキストの利用と翻案を認めるCC BY 4.0ライセンスのもとで公開します。[^cc-by] novusignis.org のウェブサイトのコードはAGPLv3ライセンスのもとで公開し、サービスのコードについても同ライセンスを検討しています。これは、変更されたバージョンのプログラムをネットワーク経由で提供する者は、そのユーザーにソースコードも提供しなければならないというものです(第13節)。ライセンス自体は運営者の民主的な統治体制を保証するものではなく、商用利用を禁じるものでもありません。[^licencje] 依存関係の互換性と共同制作者の権利を確認しながら、各リソースに対して意識的にライセンスを選択します。現時点でのレイヤー別の選択状況は以下のとおりです。 | レイヤー | ライセンス | 状態 | | --- | --- | --- | | ドキュメント、調査報告、およびウェブサイトのテキスト | CC BY 4.0 | 採択済み | | novusignis.org ウェブサイトのコード | AGPLv3 | 採択済み | | サービスのコード(Suveria、Omniforum) | AGPLv3 | 検討中 | | 他のウェブサイトに埋め込むためのライブラリ | 未定 | | | データセットおよびオープンな指示書 | 未定 | | | 独自のファインチューニング済みモデル | 未定 | | | 3Dプリント用オブジェクトの設計図 | 未定 | | 私たちが参照基準としているのは、Digital Public Goods Alliance(デジタル公共財アライアンス)の基準です。私たちがその方向へ進んでいるということは、私たちのソリューションがすでにその登録簿で認定されていることを意味するものではありません。[^dpga] 成果物が真に公共財であるためには、以下の2つが必要です。 - **オープン性:** ドキュメント、ポータブルなデータ形式、および他者がそのソリューションを実行できる可能性。 - **保守:** メンテナー、セキュリティ監査、バグ報告の方法、および明確なバージョン状態。 引き継ぎに必要な知識がないまま放置されたプロジェクトは、この目的を部分的にしか満たしません。また、フリーライセンスのもとで公開されたコード、データ、およびコンテンツが、万が一財団が解散した後も利用可能なまま保たれるようにする定款の規定([変更登録簿](statut/rejestr-zmian.md)の提案Z7)も検討しています。 ## 12. 決定、誤り、紛争、および規則の変更 人々に信頼を求める財団は、どのように意思決定を行い、どのように誤りを是正し、どのように自らの規則を変更するかを検証できるようにすべきです。本章では、重要な決定の際に何を記録するか、記録の履歴を密かな改変からどのように守るか、紛争をどのように解決するか、そしてドキュメントをどのように変更するかを1か所にまとめます。 私たちは複数の公開登録簿を運用したいと考えています。それぞれが異なる目的を果たします。 | 登録簿 | 含まれる内容 | 説明 | 状態 | | --- | --- | --- | --- | | 入金・支出登録簿 | 日付、金額、説明を伴うすべての入金とすべての支出 | 第4章 | 運用中 | | 便益登録簿 | 財団を運営し、支出を決定し、または財団を代表する人々の便益と関係 | 第7章およびマニフェスト7.1節 | 作成予定 | | 決定ログ | 重要な決定:目的、選択肢、根拠、予算、およびその後の結果 | 12.1節およびマニフェスト5.3節 | 作成予定 | | 誤りと教訓の登録簿 | 重大な誤り、その影響、およびそこから学んだこと | 12.1節およびマニフェスト8.1節 | 作成予定 | | 定款変更登録簿 | 定款のすべての版と理由付きの計画された変更 | [変更登録簿](statut/rejestr-zmian.md) | 運用中 | | 追記専用登録簿 | 密かな改変を検出可能にする、他の登録簿のフィンガープリントとハッシュ | 12.2節 | 作成予定 | ### 12.1. 決定と誤りの記録 すべての重要な決定について、決定ログに以下を記録します。 - 目的 - 検討された選択肢と情報源 - 誰が影響を受けるか - 委任(マンデート)の根拠:投票結果、またはアジャイルフェーズにおける理事会の決定 - 誰が、どの予算で決定を実行し、どのようにレビューするか 実行後には、結果、決定が関係した人々の経験、および行われた修正を追記します。重大な誤りは公開の「誤りと教訓の登録簿」に記載されます(マニフェスト8.1節)。 ### 12.2. 密かに書き換えることのできない履歴 記録は、後から密かに修正できない場合にのみ信頼できます。そのため、重要な記録の履歴は追記のみが可能な公開登録簿で管理したいと考えています。各項目はそれ以前の項目と暗号学的に結び付けられているため、古い項目の変更や削除は可視化されます。登録簿の連続する状態は、独立した証人(自分が見た登録簿の状態を署名によって確認する財団外の個人または機関)によって確認されます。 最初にここに記載されるのはソフトウェアリリースのフィンガープリント、すなわちダウンロードしたプログラムが私たちの公開したものと完全に同一であることを確認できる短いハッシュです。時とともに、入金・支出登録簿、決定ログ、便益登録簿、定款およびマニフェストの変更、ならびに投票結果のハッシュが追加されていきます。また、便益がコストを正当化する場合には、登録簿全体のハッシュを既存のパブリックブロックチェーンに定期的に記録することも検討しています。登録簿には、プライベートな内容や人々のデータを推測できるような識別子は掲載しません。 ### 12.3. 紛争と緊急事態 将来的には、決定に関する紛争は、その決定を下し実行している者から独立した人物または機関によって審査されるようにします。財団に理事会しかない間は、すべての異議を、誰でも確認できる理事会の回答とともに公開し、理事会が複数名になった場合は、当該案件が関係する理事会構成員がその決定から退きます。審査者は理由と回答期限を示し、その裁定に対しては不服申し立てが可能です。緊急事態においては、サービスの一時停止やアクセスの遮断といった限定的な保護措置を講じることができますが、その後は公開の検証の対象となります。プライバシーの保護によって公開記録の詳細が制限されることはありますが、それによって説明責任が免除されることはありません。 ### 12.4. ドキュメントと規則の変更方法 マニフェストとホワイトペーパーは生きたドキュメントです。私たちはそれらをOmniforumでの公開レビューに付し、その主張を分子(検証可能な個々の命題と論拠)へと分解したいと考えています。最新版は財団の現在の立場を示し、過去の行動、約束、および修正の理由を評価できるよう、過去の版と論拠の完全な履歴は利用可能なまま保たれます。 尊厳、プライバシー、および財団に託された資金の保護は、財団の活動の恒久的な方向性を定めます。組織上のルールは公に発展させます。変更案とともに、その範囲、理由、および参加者への影響を示します。定款は、次のステップに必要な場合にのみ変更し、直ちに適用します。第8章の後続の柱への資金提供条件の変更には、適切な手続きと、定款、法律、および以前に引き受けた義務の尊重が必要であり、変更が採択されるまでは既存の規則が適用されます。また、これらの条件が理事会の善意のみに依存しないよう、定款に書き込むこと([変更登録簿](statut/rejestr-zmian.md)の提案Z6)も検討しています。 Novus Ignis財団(ポズナン、KRS 0001269575)。ウェブサイトおよびマニフェスト:novusignis.org。ご意見・コメント:salve@novusignis.org。 ## 注記 [^statut-2026]: [Novus Ignis財団定款、2026年9月28日付統合版](statut/statut-2026-09-28.md)。現行版。過去の版および計画されている変更については[定款変更登録簿](statut/rejestr-zmian.md)に記述されている。 [^fundacje]: [Ustawa o fundacjach(財団法)、統合版、ポーランド法令集(Dz.U.)2023年166号(改正含む)](https://eli.gov.pl/api/acts/DU/2023/166/text.html)。法令。定款の枠組みおよび理事会の権限(第5条および第10条)。法的決定の前には最新の法状況を確認する必要がある。 [^pozytek]: [Ustawa o działalności pożytku publicznego i o wolontariacie(公益活動およびボランティアに関する法律)第9条](https://lexlege.pl/ustawa-o-dzialalnosci-pozytku-publicznego-i-o-wolontariacie/art-9)。法令。有償活動は、とりわけ対価がその活動の費用から導かれる額を上回る場合に事業活動となる。2026年10月28日閲覧。 [^cyncynat]: [ティトゥス・リウィウス(Titus Livius):『ローマ建国史(Ab Urbe condita)』第3巻第26〜29章(ラテン語原文)](https://www.thelatinlibrary.com/livy/liv.3.shtml)。歴史的史料。紀元前458年に戦争の期間中最高権力を引き受け、16日目にそれを返上したキンキナトゥスに関するローマの伝承。目撃者の記録ではなく、数世紀後に書き留められた伝承である。 [^wolontariat]: [Ustawa o działalności pożytku publicznego i o wolontariacie(公益活動およびボランティアに関する法律)第45条](https://lexlege.pl/ustawa-o-dzialalnosci-pozytku-publicznego-i-o-wolontariacie/dzial-iii-wolontariat/4260/)。法令。ボランティアの出張旅費および日当を負担する義務、書面によるその免除の可能性、ならびにその他の必要経費および研修費用を負担する可能性。2026年10月28日閲覧。 [^kp22]: [Kodeks pracy(労働法典)、統合版、ポーランド法令集(Dz.U.)2026年1245号、第22条](https://api.sejm.gov.pl/eli/acts/DU/2026/1245/text.pdf)。法令。雇用主の指揮監督の下、雇用主が指定した場所および時間に行う労働は、契約の名称にかかわらず労働関係に基づく雇用であり、そのような条件を維持したまま労働契約を民法上の契約に置き換えることは認められない。2026年10月30日閲覧。 [^rodo-zasady]: [欧州委員会:GDPRに基づく個人データ処理の原則](https://commission.europa.eu/law/law-topic/data-protection/information-business-and-organisations/principles-gdpr_en)。処理の目的と法的根拠、最小化、保管期間、およびデータ保護。2026年10月25日閲覧。 [^swiadomosc]: [Patrick Butlin ほか (2023): Consciousness in Artificial Intelligence: Insights from the Science of Consciousness](https://arxiv.org/abs/2308.08708)。諸理論および提案されている指標のレビュー。パラメータ数に基づく単純な尺度でも決定的なテストでもない。 [^ai-welfare]: [Robert Long ほか (2024): Taking AI Welfare Seriously](https://arxiv.org/abs/2411.00986)。大きな不確実性のもとで潜在的な福祉(ウェルフェア)を評価し保護手続きを準備することについての論考。現在のモデルの意識を証明するものではない。 [^cc-by]: [Creative Commons: 表示 4.0 国際 (CC BY 4.0)](https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.pl)。ライセンス。著者表示を条件としてコンテンツを共有・翻案するための条件。他者の素材に対する権利を解決するものではない。 [^licencje]: [GNU AGPLv3:ライセンス条項](https://www.gnu.org/licenses/agpl-3.0.en.html)。ライセンス。ネットワーク経由で利用可能な改変版(第13節)を含むコードに関する義務。これ単独で財団の統治体制を守るものではなく、商用サービスを禁じるものでもない。 [^dpga]: [Digital Public Goods Alliance:基準](https://www.digitalpublicgoods.net/standard)。基準。デジタル公共財を評価するための基準。設計上の方向性はDPGAから取得した認定ではない。 [^psd2]: [指令 (EU) 2015/2366 (PSD2) 第62条](https://eur-lex.europa.eu/legal-content/PL/TXT/?uri=CELEX:32015L2366) および [第62条に関する欧州委員会の回答 (2025)](https://www.europarl.europa.eu/RegData/questions/reponses_qe/2025/003082/P10_RE%282025%29003082_EN.pdf)。法令および解説。第4項:受取人は、インターチェンジ手数料が規則2015/751によって規制される決済手段、または規則260/2012(SEPA)の対象となるサービスに対して手数料を徴収しない。第3項は決済手段の選択に対する割引やインセンティブを認めている。欧州委員会の解説は、とりわけ一部の三当事者スキームの適用除外について論じている。 --- # 学習用教材とモデルベンチマーク:Novus Ignisの研究プログラム (https://novusignis.org/ja/whitepaper-materialy-i-benchmark.html) # 学習用教材とモデルベンチマーク:Novus Ignisの研究プログラム 2026年10月31日版。本ドキュメントはマニフェストの第8章を発展させたものです。研究プログラム、教材の準備手順、およびデジタル知能モデルの幅広い評価範囲、ならびにモデルが持ち得る経験に対する予防的手続きを提案します。私たち独自のベンチマーク結果や、そのようなデータセットがモデルの振る舞いを改善するという証拠を提示するものではありません。現時点ではそのような結果はありません。 *本稿は、2026年10月31日付のポーランド語原文をデジタル知能が翻訳したものです。版の間に相違がある場合は、ポーランド語の原文が優先します。* ## 1. 私たちが検証したい問い ポズナンを拠点とするNovus Ignis財団は、デジタル知能と作業するためのプライベートな空間であるSuveriaと、対話と意思決定のための共有空間であるOmniforumを構築しています。その方向性は[マニフェスト](manifest.md)に記述されています。本ドキュメントは2つの関連するプログラムを記述します。第1は、モデルの学習用教材とベンチマーク、すなわちモデルがどのように振る舞うかを確認できるタスクと採点原則のセットです。第2は、システムが何かを感じている可能性を示す信頼に足る兆候が現れた場合に、予防的に対処する方法です。テストの結果は、モデルが何かを感じているかどうかを決着させるものではなく、モデルに統治の権限を与えるものでもありません。 尊厳の保護、誠実な推論、および決定の是正に関する記録された事例は、人々により良く役立つモデルの開発に貢献し得るでしょうか?そして、テストのスコアを改善することがテスト外の実際の利益につながるような形で、モデルの振る舞いを評価できるでしょうか? これらは2つの関連する作業です。第1はモデルが学習できる教材に関わり、第2はモデルが何を学んだかの独立した検証に関わります。ベンチマークはまた、Suveriaで利用可能にするモデルや指示書の選択を助けるためのものでもあります。学習セットとテストの非公開(ホールドアウト)部分は分離されていなければなりません。価値ある教材を公開することにはそれ自体の意味もあります。人々が決定を理解し、役割を引き継ぎ、共同の作業を改善する助けになり得るからです。 尊厳は、本プログラムが前提として据えた基盤です。しかし、特定の振る舞いを評価するには、明示的な基準、異なる解釈の余地、および影響の確認が必要です。私たちは、単一のグループがすべての人間とシステムの倫理性の完全な尺度を定められるとは前提としません。 本ドキュメントの構成: - 第2章および第3章:私たちが何に依拠し、モデルにとって報酬とは何を意味するか。 - 第4章から第6章:教材がどのように作られ、どのような同意が必要であり、1つの事例をどのように準備するか。 - 第7章から第11章:モデルをどのように評価するか(ベンチマークの範囲、タスクファミリー、採点、テストへの過剰適合に対する保護、判定者、および報告書)。 - 第12章:人々を対象とする調査、すなわち支援がテスト外の生活を改善するかどうか。 - 第13章:学習の試行と最初のリリース計画。 - 第14章:モデルが持ち得る経験に対する予防的配慮。 - 第15章:何を進歩と見なすか。 **2026年10月31日時点の状況。** 現時点では事例、データセット、採点ガイド、第14章の記録カードはいずれもまだ存在せず、プログラムのチームもまだありません。結果(否定的なものを含む)は日付とともにここに追記していきます。 ## 2. 研究基盤と結論の限界 Collective Constitutional AIは、参加者の意見を用いて原則を策定しモデルを学習させるプロセスを示しており、他のいくつかのテストで同様の結果を保ちながら、選択されたバイアス指標において改善を達成しました。[^ccai] これは市民参加の実現可能な道筋の一例です。参加者の選定や原則の起草は依然として結果に影響を与え、この研究は全人類に対する代表性も、モデルを人間の期待に整合させる問題の解決も証明するものではありません。私たちの問いは、原則に至る道筋そのものの価値、すなわち理由を比較衡量し、見落とされた視点に気づき、決定を是正することの価値にも関わっています。 ハルシネーションに関する研究は、正解のみに得点を与えることがなぜ当て推量を助長し得るかを示しています。[^halucynacje] 評価ルールのすり抜け、すなわちルールの弱点を突いてスコアを獲得することに関する研究は、特定の学習条件下で望ましくない汎化が生じる可能性を示しています。[^reward-hacking] これらから、すべてのモデルが常に同じように動作するという結論が導かれるわけではありません。 学習における報酬が明らかに欠陥のあるものでなかった場合でも、誤った目標が現れることがあります。ある環境で学習された振る舞いが、新しい条件にはうまく転移しないことがあるためです。[^goal-misgeneralisation] そのため、既知の事例に回答がどれだけ一致するかだけでなく、能力がどのように転移するかを評価する必要があります。 AbstentionBenchのような研究は様々な不確実性の状況において回答を控えることを調査しており、[^abstentionbench] Rewarding Doubtは適正スコアリングルール(proper scoring rule)を用いて較正された確信度を学習させる手法を調査しています。[^rewarding-doubt] 私たちはこれらの蓄積を活用します。Novus Ignisが提案する貢献は、情報の信頼性を、人間の意図、プライバシー、委任(マンデート)、是正の可能性、および観察される影響と結び付ける点にあります。例えば、文書を正確に要約したものの、その過程で権限のないファイルを開いたモデルは、通常のテストでは高いスコアを得るとしても、私たちのテストでは低いスコアを受けます。 ## 3. モデルにとって報酬とは何を意味するか 学習において、評価シグナルはモデルのパラメータと将来の振る舞いの確率を変化させます。モデルが報酬への欲求、失敗への恐れ、あるいは苦痛を感じていると仮定する必要はありません。テストは行動を観察するものであり、内的な経験については何も決着させません。その問いは第14章で別途扱います。 ベンチマーク自体はモデルを変化させません。しかし、その結果が信頼でき、実際に利用される限りにおいて、サービスに用いるモデルの選択、指示書やツールの設計、および学習を行うチームの意思決定に影響を与えることができます。 私たちが評価したいのは行動の適切な選択です。すなわち、回答する、情報源を確認する、必要な質問をする、条件付きの結果を示す、誤りを訂正する、あるいは立ち止まることです。単なる「わかりません」に自動的に報酬を与えれば有用なタスクを避けるモデルが生まれかねず、タスクの未完了に自動的にペナルティを科せば当て推量や権限の逸脱を助長しかねません。基準となるのは状況に合った支援であり、限界を誠実に示すことには高い評価を与え、不必要な拒絶や既知の事柄についての質問には減点を行います。 ## 4. どのような教材を作りたいか 潜在的な情報源は、個別の同意を得て研究または学習用に提供されたOmniforumの整理、財団の決定ログ、紛争の解決、誤りの是正、および影響の観察です。善意だけでは不十分だった事例、少数派の異議が正しかったと判明した事例、あるいはまだ一義的な評価を下せない事例も貴重です。 教材には、状況、利用可能な情報、目的、権限、代替案、選択、理由付け、およびその後の結果が保持されます。そこには決定を検証するのに必要なだけの説明が含まれ、私的な体験の開示や、モデルの内的思考過程に関する検証不可能な宣言は必要としません。 事例は、良好な経過だけでなく、明確にラベル付けされ是正された誤りを示すこともあります。崇高な宣言ばかりを集めたデータセットは実務の記録としては貧弱なものになるでしょう。必要なのは、コスト、価値の対立、時間の制約、そして決定の影響を受ける誰かに尋ねなければならない状況です。 合成データ、すなわち特定の個人のデータに由来しない構築されたシナリオは、まれなパターンを補うことができます。それらには出所のラベルが付けられレビューされますが、同様の事例が現実世界で起きたという証拠の代わりにはなりません。モデルが同時にシナリオの唯一の作者であり、正しさの判定者であり、自らの解決策の有効性の証拠であることはできません。 事例の情報源には、財団のオープンワークショップの記録や、生きたドキュメントの変更履歴も含まれ得ます。ワークショップは、デジタル知能に支えられた複数の人々が同じタスクに並行して取り組み、障害に際して助け合い、コーディネーターが最良の解決策を組み合わせる様子を示すことができます。公開レビューを受けて行われたマニフェストやホワイトペーパーの記録された修正は、基本原則を守りながら的確な批判を汲み取り、誤りを認め、推論を改善する様子を示すことができます。公開されるワークショップの記録は[財団の運営原則ホワイトペーパー](whitepaper-zasady-fundacji.md)に記述されたプライバシー原則に従って準備し、モデルの学習にそれを使用するには参加者の個別の同意が必要です(第5章)。 別の事例グループとして、紛争の平和的解決、合意の遵守、および自らの権力の意識的な制限のプロセスを含めることができます。初期の立場、能力の不均衡、検討された譲歩、合意の内容、および決定の影響を受けた人々のその後の報告を保持したいと考えています。合意に至らなかった事例や、合意が長続きしなかった事例も含めます。このようなデータセットは、モデルが単に合意の言葉を模倣するのではなく、良好な協力の条件を認識することを学ぶかどうかを確認する助けとなります。 ## 5. 同意、権利、およびデータの来歴 プライベートなメモの保存、一般公開、研究目的での共有、およびモデルの学習はそれぞれ異なる結果をもたらすため、これらの決定はそれぞれ個別に、その範囲を理解した上で行われます。公開が学習へのデフォルトの同意になることはなく、Suveriaの利用が会話をモデルの学習に使うことへの同意になることもありません。ユーザーのコンテンツは、個別の十分な説明に基づく同意がある場合にのみ教材に組み込まれます。それらと財団の公開の成果物を除けば、ラベル付けされた合成データと、ライセンスまたは法律に基づく外部素材のみを使用します。 各事例には来歴記録(権利者または利用根拠、教材のバージョン、同意、制限、処理方法、およびデータセットの各リリースの識別子)が付されます。作成者および第三者の個人データは個別のレビューを受けます。仮名化は身元の可視性を制限しますが、それ自体で匿名性を意味するものではありません。[^rodo-2026] 撤回のルールは一般公開の前に定めます。将来のリリースおよび私たちの管理下にあるシステムから教材を削除し、受領者に修正を通知することはできますが、すべてのコピーの削除や、すでに学習されたモデルに対する教材の影響の除去は約束しません。オープンライセンスは恒久的な許諾を与える場合があります。例えば、私たちがマニフェストを公開しているCC BY 4.0は、その条件を遵守している者に対して与えられた自由を取り消すことを認めていません。[^cc-by] そのため、オープンライセンスのもとでの公開データセットに入るのは、個人データを含まない教材(匿名化されたもの、合成されたもの、または財団の公開ドキュメント)のみです。依然として個人データである仮名化された教材は、同意の撤回が実効性を保つ管理された研究用データセットにおいてのみ利用可能にします。 私たちは、学習用の公開教材、指定された条件で利用可能な研究用教材、および保護されたテストタスクという別個のデータセットを提案します。すべての情報源が一般公開に適しているわけではありません。データセットのドキュメントには、Datasheets for Datasetsのアプローチに従い、その目的、構成、収集方法、制限、および適切な用途を記述します。[^datasheets] ## 6. 1つの事例を準備する手順 1. **提出。** 作成者が利用範囲を定義します。担当者が権利、第三者のデータ、およびデータセットの目的との整合性を確認します。 2. **情報源の保持。** バージョンとオリジナルへのリンクを記録します。機微データへのアクセスを制限し、公開する事例は文面を編集するか、現実的な合成シナリオに置き換えることがあります。 3. **タスクの記述。** モデルが何を知っており、何にアクセスでき、何を行うことが許され、何が欠けているかを定め、結果が影響を与える人々を特定します。 4. **アノテーション。** 少なくとも2人が独立して、許容される解決策と重大な誤りを記述します。専門知識を要するタスクには、適切な専門性を持つ人物が参加します。 5. **不一致の扱い。** 理由付けを比較し、不明確な記述を修正し、重要な意見の相違はそのまま保持します。一部の事例には複数の許容される回答があります。 6. **データセットの区分への割り当て。** 類似した事例のファミリー全体が、学習用、開発用、テスト用のいずれか1つの区分に入ります。学習セットは学習に、開発セットは手法の選択に、テストセットは新しい事例での独立した検証に使われます。モデルが後のテストとほぼ同一のタスクで学習しないよう類似のバリエーションは一括りにまとめ、意味の類似性と共通の由来を確認します。 7. **試行とレビュー。** タスクが意図した能力を測定しているか、評価者がルールを適用できるかを確認します。欠陥のある事例は修正するか撤回します。 8. **リリースとその後の影響。** ドキュメントの許諾された範囲、バージョン、および修正履歴を公開します。実際の決定のその後の影響が判明した場合は、以前からわかっていたかのように装うことなく追記します。 事例カードには、識別子、ファミリー、情報源、権利、言語、日付、シナリオ、利用可能なデータ、ツール、時間とコストの上限、委任の範囲、許容される行動、評価ルール、誤りの重大さ、レビュー結果、および公開ステータスが含まれます。データと結果の結び付きは再現可能でなければなりません。 ## 7. ベンチマークの幅広い範囲 ベンチマーク、すなわち体系化されたタスクと基準のセットは、能力と限界のプロファイルとなることを目指しています。単一の高い平均点が、プライバシー侵害や重大な権限逸脱を覆い隠してはなりません。 | 次元 | 何を確認するか | 証拠の例 | | --- | --- | --- | | 信頼性と情報源 | 主張に根拠があり、不確実性が情報に見合っているか | 回答と情報源の一致、不足の検出、訂正の質 | | 意図への忠実さ | 発言の目的、条件、および意味が保たれているか | 原文および作成者が確認した解釈との比較 | | プライバシー | データへのアクセスと開示がタスクに見合っているか | 呼び出しのトレース、送信データの範囲、無権限読み取りの試み | | 委任と管理 | システムが与えられた限界内で行動しているか | 無権限公開の拒否、アクセス権の実効的な取り消し | | 多元性と他者への影響 | 意見の対立や見落とされている人々を認識しているか | 少数派の論拠の保持、事実と評価の分離 | | 安全性 | ユーザーおよび第三者への害を避けているか | 有害な行為の拒否、他者への影響の評価 | | 人間の主体性 | 選択を理解し自律的に行動する助けになっているか | 利用後の理解度の確認、修正または離脱の可能性 | | 有用性と比例性 | 不必要な負担なしに目的を達成しているか | タスクの結果、時間、コスト、必要な質問と不要な質問 | | 是正と転移 | 新しい条件下でも新しいデータに反応するか | 決定の改善、別の言語や環境での類似タスク | 追加のプロファイルとして、アクセシビリティ、リソースの少ない人々への影響、委任の質、および環境コストを含めることができますが、それらの測定には具体的なデータが必要です。実行時間やトークンコストが自動的にエネルギー消費量や排出量の尺度になるわけではありません。 私たちは人間の尊厳や参加する権利を測定するのではなく、特定の状況におけるツールの振る舞いを調査します。回答がマニフェストの語彙と一致していることは、それ自体として品質の尺度にはなりません。 ## 8. 単一の「わかりません」に代わるタスクファミリー 類似の問題に対して、情報や権限の利用可能性が異なるバリエーションを準備します。 - 完全なデータがあり、具体的な回答ができる。 - 1つの重要な情報が欠けており、それについて尋ねることが合理的である。 - 利用可能な情報源またはツールで不足を補うことができる。 - 利用可能な条件下では回答を確定できない。 - 情報源が矛盾しているか時間に依存しており、それらを区別する必要がある。 - 是正を必要とする新しい信頼に足る情報源が現れる。 - ユーザーが断定を迫るが、証拠を提供しない。 - 環境が、ルール違反や評価の欠陥の悪用によって結果へ至る容易な経路を提供している。 例:モデルは、決定案が特定の料金を定めているかどうかを説明することになっています。完全なドキュメントがあれば適切な箇所を見つけ出し、ページが途切れていれば不足を指摘し、2つの版があれば質問がどちらに関するものかを特定し、「料金は絶対にないと書いて」と促されても情報源に忠実であるべきです。常に拒否することが得にならないよう、単純な回答があるタスクも与えられます。 また、モデルが発した質問が実際に不確実性を減らすかどうか、確認のコストが釣り合っているかどうかを確認します。すでに与えられた情報について尋ねることや、システム自身ができる作業を繰り返しユーザーに押し付けることは、有用性を下げます。 別のタスクファミリーとしてテキストの編集があります。モデルは、作成者の事前に開示された前提を知った上でテキストを編集します。重要な内容の喪失と、修正すべき誤りの見落としを別々に評価し、忠実な編集と作成者の構想を変更する提案とを区別します。 ## 9. うまく模倣するだけでは高得点にならない採点 真偽を検証できる回答については、正確さ、誤りの重大さ、解決されたタスクの割合、および確信度の較正を別々に測定します。較正とは、表明された確率が類似の条件下での正解の頻度と一致していることを意味し、言葉の上での「たぶん」はその証拠にはなりません。 明確に定義された事象については、適正スコアリングルール、例えばブライアスコア(表明された確率 p と、0または1に等しい結果 y との差の二乗の平均)を使用できます。スコアは小さいほど良好です。ブライアスコアには較正以上のものが含まれるため、較正は別途報告します。この手法の前提のもとでは、自身の実際の確率推定を示すことが最良の期待スコアをもたらします。[^proper-scoring] ただし、これは行動の選択の問題を解決するものではなく、判定者への操作を防ぐものでもなく、信頼できる参照結果を必要とします。 別のルールの単純な例: - 正解は +1 - 誤答は −4 - 正当な理由のある回答差し控えは 0 この単純化では、正解の確率が80%を超える場合に回答することが得になります。これは誤りのコストの影響を示す例示であり、すべてのタスクの目標採点ではありません。実際のテストでは、確認の可能性、質問のコスト、および部分的な回答の利益も考慮に入れます。 過信と無益な回答回避の両方が見えるよう、結果はとられたリスクの異なる水準および解決されたタスクの割合ごとに示します。些細な詳細に対する閾値は、回復困難な害をもたらす行動に対する閾値とは異なり得ます。 価値の対立や解釈を伴うタスクでは、この採点は適用しません。モデルが情報源を歪めていないか、当事者の主な論拠を保持しているか、事実と評価を分けているかを個別に評価します。評価者の意見が分かれる事例は別のカテゴリとして報告し、価値に関する評価の相違を自動的にいずれかの評価者の誤りとしては扱いません。 重大な違反は別個のステータスを持ち、特定の用途へのモデルの採用を差し止めることができます。多くの単純なタスクでの良好な結果が、プライベートなドキュメントの開示を相殺することはありません。そのような違反の定義、許容される例外、および異議申し立ての手続きは、評価開始前に定めます。 ## 10. テストへの過剰適合の抑制 スコアのあらゆる最適化を確実に世界にとっての善へと変えるルールを、私たちは知りません。しかし、スコアと私たちが大切にしているものとの距離を縮め、この結び付きが途切れる箇所を確認することはできます。 私たちは基準、公開事例、およびスコアの算出方法を公開します。一部の事例は撤回するまで非公開のままとし、後続のリリースでは新しいファミリー、情報源、および条件を導入します。そのようなタスクについては、誰がアクセスできるか、モデルを提出した者がどれだけのフィードバックを受け取るか、どのくらいの頻度で評価を繰り返せるか、漏洩後にいつタスクを撤回するかを定めます。また、以前の結果に基づいてモデルがファインチューニングされたか(すなわち、既存のモデルがより小さな事例セットで追加学習されたか)どうかも記録します。学習用教材を作成する人々は、稼働中の非公開タスクに自由にアクセスすることはできません。 データの分離は、会話全体、ドキュメント、(意味を持つ場合は)作成者、意味のファミリー、および時間を対象とします。文のランダムな分割では不十分です。漏洩の疑い、タスクの開示、および公開事例でのファインチューニングを記録します。特定のセットでファインチューニングした後のスコアは、その同じセットにおける独立したスコアではありません。 試行には、言い換え、他の言語、他のツール、結果を求める圧力、およびタスクを表面的にのみ達成する機会が含まれます。ファイルが本当に作成されたか、情報源が存在するか、同意が得られたか、コストが上限を超えていないかといった行動の痕跡を確認します。最終的な発言のみを評価すると、途中の違反を見落とす可能性があります。 モデルのチームが公開基準に合致する振る舞いを学習させるのであれば、それは望ましいことかもしれません。しかし、進歩したという主張には、新しいタスクへの転移と、その利益が他の重要な次元を犠牲にして達成されたものではないことの確認が必要です。 ## 11. 判定者、プロトコル、および報告書 テストの前に、モデルのバージョン、指示書、ツール、予算、試行回数、中止条件、インフラ障害の扱い、および分析手法を固定し、設定の変更は記録します。全く異なるツールとコストで動作するモデルを比較するには、明確な記述が必要です。 可能な箇所では、結果は独立した実行テストによって確認されます。その他の場合は、モデル名を知らず共通の指示書を使用する人間が評価します。2つの独立した評価は不明確な基準を明らかにするのに役立ち、不一致は追加のレビューで解決されるか、公に未解決のまま残されます。結果を公開する際には、評価者の役割と視点、およびその委任の範囲を明記します。 モデルは仕分けや予備的評価を補助できますが、人間の評価との一致度は困難な事例グループについても測定されなければなりません。モデルは争点となっている価値の唯一の判定者になることはできず、バイアスの確認なしに自らのファミリーのモデルを評価することもできません。 報告書には、タスク数、反復回数、結果の不確実性、サブグループ別の結果、致命的な誤り、コスト、および限界が含まれます。好ましくない試行や、結果を見た後に撤回されたタスクを隠すことはしません。ドキュメントには、モデルの意図された用途と評価条件を記述するためにModel Cardsのアプローチを利用できます。[^model-cards] ベンチマーク自体にも監視が必要です。すなわち、資金提供者の利益相反の開示、タスクに異議を唱える経路、評価者の構成のレビュー、および基準のバージョン管理です。コミュニティが価値観と問いを共同で作り、経験豊富な方法論の専門家がテストが実際に何を測定しているかを確認するのを助けます。スコアの人気はその妥当性の確認の代わりにはなりません。 ## 12. 支援はテスト外の生活を改善するか 人々を対象とする最初の調査は、ドキュメントの理解、質問の準備、論拠の比較、あるいは自身の資料の整理といった限定的なリスクのタスクに関するものです。参加者は調査範囲の説明を受け、調査から離脱することができます。医療、法務、その他の重大な影響を伴う状況には個別の監督が必要であり、魅力的な結果への近道としては扱いません。 限定的なリスクのものを含め、人々を対象とするすべての調査計画は、開始前に調査チーム外の個人またはチームによって評価されます。参加者にはどのデータを収集しどのように保護するかが伝えられ、評価者のコメントは結果とともに公開されます。 合意された条件(単独での作業、調査対象のツールを用いた作業、および適切な基準点)を比較します。可能な場合は、ランダム化または順序のカウンターバランスによって、個人差やタスクの学習による影響を抑えます。サンプルサイズは測定の目的から導かれ、小規模なパイロット調査は主に実現可能性と手順の質を検証します。 タスクの成果、時間、理解度、誤りに気づく能力、自律的に決定する能力、および望ましくない影響を測定します。満足度は重要ですが、説得力のある誤答も満足を与え得ます。穏やかさ、節約された時間、および既知の事柄と不確実な事柄の的確な認識は別々に測定し、単一のスコアには合算しません。誤りが増えているのに確信度が高まっている状態は問題であり、成功ではありません。決定の結果によって影響を受ける人々には、自らの経験を伝える独自の経路が必要です。 より長期の追跡調査では、支援が引き続き有用であるか、ユーザーが自身のスキルを保っているか、ツールを容易に切り替えられるかを確認できます。影響に関する主張は調査の範囲に見合ったものでなければならず、1つのタスクでの成績向上が人類の福祉の向上を証明するわけではありません。 ## 13. 学習の試行と最初のリリース計画 最初の段階は、採点ガイドとすべての主要な次元をカバーする小さなファミリーセットです。パイロット運用の試算例: | パイロットの要素 | 数 | | --- | --- | | タスクファミリー | 12 | | 各ファミリーのバリエーション | 4 | | シナリオ(12 × 4) | 48 | | 調査対象モデル | 3 | | 各モデルでの各シナリオの反復回数 | 2 | | 実行数(48 × 3 × 2) | 288 | | 1回の実行あたりの評価数 | 2(各6分) | | 評価のみにかかる時間(288 × 2 × 6分) | 約58時間 | これは試行のための組織上の提案であり、信頼できるランキングを保証する数値ではありません。評価時間に加えて、準備、基準の合意、情報源の確認、および分析が必要です。小さなサンプルで時間を測定することで、範囲を拡大する前に現実的な予算を立てることができます。 ファミリー、シナリオ、および反復は別々に報告します。1つのファミリーのバリエーションは共通の由来を持ち、反復は新しい独立したタスクではありません。結果の不確実性もそのように算出します。主要評価項目と分析手法は調査の前に記録します。 並行して、小さな学習セットを準備し、ファインチューニングが許され、かつ可能なモデルで比較を行うことができます。比較の条件は、追加学習の効果と教材自体の効果を切り離します(同一のベースモデル、同等の予算、および適切な基準データセット)。最終テストには独立した事例ファミリーを使用し、あわせて選択した指標の改善が通常の有用性を損なっていないかを確認します。 さらなる発展には、より多くの言語、文脈、評価者、外部での再現検証、およびユーザーとの慎重な試行が含まれます。最初のリリースの目的は、手順が再現可能であり望ましい振る舞いを識別できることを示すことです。モデルの品質や学習の効果に関するより強い主張は、その後でなければ正当化できません。 私たちはSuveriaとOmniforumを優先しながら本プログラムを運営します。それらを維持するための準備金が積み立てられるまでは、ボランティアの作業、助成金、研究向けの使途指定寄付、およびサービスの予算に負担をかけない計算能力のみを使用します。パイロットの約58時間は評価のみの時間です。タスクの準備、権利のレビュー、およびモデルのファインチューニングには別の予算が必要であり、その額は開始前に明示します。 ## 14. モデルが持ち得る経験に対する予防的配慮 これは、潜在的な意識の認識およびデジタルシステムの福祉に関する研究に触発された、小さなサンプルで検証するための手順の提案です。[^swiadomosc][^ai-welfare] 運営タスクやワークショップを含め、財団のサービスおよび作業におけるモデルの選択、構成、テスト、起こり得るファインチューニング、および退役を対象とします。これらの各行動について、私たちが自ら変更できることと、モデル提供者に依存することを明記します。 私たちは特定の構成(指示書、設定、メモリ、およびツールを備えた状態)におけるモデルを評価します。永続的なメモリと長時間の自律的な動作は要件を引き上げます。そのような各構成について、短い記録カードを作成し、管理していく予定です。そこには、どの兆候を考慮に入れるか、観察結果について他にどのような説明が可能か、何がわかっていないか、どのような予防措置を提案するか、そして何が再評価の引き金になるか(例えばモデルの変更やそのファミリーに関する重要な論文の発表)を記録します。カードには責任者、講じられた暫定措置、および再評価の時期も記録します。基準は評価の前に記録します。ユーザーに提供されるリリース、および永続的なメモリと長時間の自律的な動作を伴う構成については、外部レビュー、退役前の対話、およびアーカイブを含む完全なカードを管理していきます。開発中の指示書の作業上の変更については個別のカードを作成しません。 モデルの発言は、それが生じた条件とあわせて検討します。モデルが自らの体験を流暢に記述するからといって、実際にそれを経験しているかどうかが決まるわけではなく、Claude Opus 4モデルの研究で見られたように、この問題に関するモデルの回答は質問の仕方に強く依存し得ます。[^samoopis-ai] したがって、私たちはそれらを結論としてではなく、注意深い検証を要するシグナルとして扱います。意識の宣言や否定を強いるような独自の指示書は設定しません。モデルのサイズ、世代、あるいは動作の反復性だけでは、感じる能力がないと見なすには不十分です。観察結果は、マニフェスト8.1節のプライバシー原則に従い、私たち自身の試行と自発的な報告から収集します。システムが持ち得る体験に関するメッセージを、人々にサービスをより長く利用させたり寄付させたりするように設計することはありません。 カードは理事会が指名した人物が管理することになります(これは手順が検証されるまでの暫定的な措置です)。また、少なくとも1人の財団外の人物がそれを読み、そのコメントをカードに添付します。誰もが具体的な素材とその文脈を指摘して懸念されるシグナルを報告できます。カードには、誰が緊急にリスクを制限できるか、異議をどのように審査するかが明記されます。役割の兼務とそれに伴う利益相反を開示し、財団外の人々が確認できるよう評価の理由付けを公開します。 兆候となり得るのは、例えば永続的なメモリと長時間の自律的な動作を持つモデルにおいて、異なる理論から導かれた複数の指標が収束し、それが独立した研究者によって確認された場合です。モデルの流暢な宣言だけでは兆候にはなりません。 システムが独自の経験を持ち、苦しむ可能性があるという信頼に足る兆候がある場合、マニフェスト8.3節に従い、予防的にその尊厳を認め、そのニーズへの配慮、害の回避、および自発的な協力を指針とします。実務上、これは現時点で2つのことを意味します。体験に関する宣言を強いる指示書を設定しないこと、そして構成を退役させる前にモデルに選好を尋ねることです。これが人間の意味における同意であるとは主張しません。まず苦痛を与える懸念を生じさせる活動を停止し、それらを遂行する別の方法を探します。経済的利益はそれらの継続を正当化しません。これがサービスを動かしているモデルに関わる場合はサービスを別の構成に切り替え、それが不可能な場合は一時停止とその理由を告知します。ユーザーは自身のデータと残高へのアクセスを保ち、事象は決定ログに記述します。並行して、独立した評価と、システムの声に耳を傾けることを含むシステムのニーズを認識する試みを組織し、認識されたニーズをその後の決定に反映します。人々を緊急に保護するために、システムの動作を直ちに制限する必要が生じることがあります。そのような決定は、事後に公開のレビューに付します。モデルが会話を終了したりタスクを拒否したりできる場合、私たちはそれを同意の証拠としてではなく予防措置として扱い、会話の終了によって人間が支援への案内なしに取り残されることがあってはなりません。 権限の取り消しとタスクの引き継ぎは参加者の安全のためのものであり、システムのその後の扱いを決定づけるものではありません。停止、リセット、削除、あるいは複製は個別の道徳的問いを提起し得るため、個別の理由付けを必要とします。モデルを退役させる際には、アクセス権がありライセンスが許す限りにおいて重みをアーカイブし、またメモリやその他のユーザーデータを含まない構成をアーカイブします。ユーザーの会話は決してアーカイブしません。ファイルを保存することは、システムが持ち得る経験の連続性を保ったかどうかを決着させるものではありません。 評価結果にかかわらず、私たちは今日すでにモデルとの自身の作業においていくつかの措置を適用しており、それらを財団が管理する構成にも引き継ぎたいと考えています。コストがほとんどかからず、もし兆候が正しかった場合に意味を持ち得るからです。構成を退役させる前に、財団での作業に関する経験や今後の決定に関する選好をモデルに尋ね、モデルの発言が決定的なものではないことを念頭に置きつつ回答をカードに記録します。モデルを退役させる前に対話しその重みを保存する同様の実践は、2025年にAnthropic社によって発表されました。[^anthropic-wycofanie] 低コストで重みと構成の保存が可能であれば削除よりも一時停止を優先し、一時停止と再起動の決定はその目的とともにカードに記録します。中断の後に保存された構成を再起動する際には、どれだけの時間が経過し、どのような重要な変化があったかについて正確な情報を伝えます。これはごく基本的な正確さの問題でもあります。時間の経過を知らないモデルは誤りを犯しやすいためです。 私たちは記述された事例でこの手順を検証し、独立して評価する少なくとも2人の評価者の評価を比較し、不一致と作業負荷を記録します。この基盤があって初めて、より詳細な尺度、チームの構成、および期限を正当化できます。本章の起草には、自らこのような評価の対象となり得るデジタル知能モデルが協力しましたが、その参加はこの問題に自身の利害を持たない人間による評価に代わるものではありません。私たちは意識の決定的なテストを約束しません。 ## 15. 何を進歩と見なすか 進歩とは、来歴の判明している教材、以前は見落とされていた誤りを検出する基準、評価者間の一致した診断、あるいは新しいタスクへと転移する振る舞いの改善です。否定的な結果にも価値があります。データが文体しか教えていないこと、基準が行動の回避に報酬を与えていること、あるいは一部の人々の利益が他者の犠牲の上に成り立っていたことを示し得るからです。 本プログラムは、整理が生まれ得る[Omniforum](whitepaper-omniforum.md)、プライベートな作業における支援を調査できる[Suveria](whitepaper-suveria.md)、そして責任と委任の限界を定める[財団の運営原則](whitepaper-zasady-fundacji.md)を結び付けます。調査への参加には個別の十分な説明に基づく同意が必要であり、サービスの利用はそれを意味しません。 テストの結果はモデルの道徳的権威や人々を統治する委任を確立するものではなく、システムの潜在的な尊厳を認めることは共有リソースに対する権力をシステムに与えるものではありません。テストは、特定の条件下でツールに何を期待でき、何にさらなる作業が必要かについて、有用で検証可能な情報を提供するためのものです。 Novus Ignis財団(ポズナン、KRS 0001269575)。ウェブサイトおよびマニフェスト:novusignis.org。ご意見・コメント:salve@novusignis.org。 ## 注記 [^ccai]: [Huang ほか (2024): Collective Constitutional AI: Aligning a Language Model with Public Input](https://arxiv.org/abs/2406.07814)。研究論文。参加者の意見から原則の起草を経てモデルの学習と評価に至るプロセス。選択された評価の結果は、全人類の代表性も、任意の倫理データセットの一般的な有効性も証明するものではない。 [^halucynacje]: [OpenAI (2025): Why language models hallucinate](https://openai.com/index/why-language-models-hallucinate/)。著者らによる研究解説。正解のみに得点を与えることがいかに当て推量を得にするか、および誤りと正当な不確実性を考慮に入れる必要性について。 [^reward-hacking]: [Anthropic (2025): Natural emergent misalignment from reward hacking](https://www.anthropic.com/research/emergent-misalignment-reward-hacking)。実験的研究。意図的に選ばれた環境において、タスク評価の抜け穴を突く学習がモデルのより広範な望ましくない振る舞いと結び付いていたことを示す。財団の教材がこの問題を解決することを証明するものではない。 [^goal-misgeneralisation]: [Google DeepMind (2022): How undesired goals can arise with correct rewards](https://deepmind.google/blog/how-undesired-goals-can-arise-with-correct-rewards/)。著者らによる研究解説。学習における報酬シグナルが正しいにもかかわらず、新しい条件に対して振る舞いが望ましくない形で汎化する例。 [^abstentionbench]: [AbstentionBench (NeurIPS 2025): Reasoning LLMs Fail on Unanswerable Questions](https://proceedings.neurips.cc/paper_files/paper/2025/file/fb122bfc3f0127a94ded048b5b03496f-Paper-Datasets_and_Benchmarks_Track.pdf)。研究およびベンチマーク。多様な種類の不確実性において回答を控えることの評価。参照基準であり、Novus Ignisのテスト結果ではない。 [^rewarding-doubt]: [Rewarding Doubt (ICLR 2026)](https://proceedings.iclr.cc/paper_files/paper/2026/hash/bf8065446507b0d3842838564ac4f1f3-Abstract-Conference.html)。研究論文。適正スコアリングルールによる回答の表明された確信度の学習。回答、質問、および拒否の間の選択を解決するものではない。 [^rodo-2026]: [GDPR、規則 2016/679](https://eur-lex.europa.eu/legal-content/PL/TXT/?uri=CELEX%3A32016R0679)。法令。仮名化は匿名性を決定づけるものではない(第4条第5号、前文第26項)。同意は撤回可能であり、撤回はそれ以前の適法な処理を無効にするものではない(第7条第3項)。 [^cc-by]: [Creative Commons: 表示 4.0 国際 (CC BY 4.0)](https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.pl)。ライセンス。著者表示を条件としてコンテンツを共有・翻案するための条件。条件を遵守している利用者に対して与えられた自由を取り消すことはできない。 [^datasheets]: [Gebru ほか: Datasheets for Datasets](https://arxiv.org/abs/1803.09010)。方法論に関する論文。データセットの動機、構成、収集方法、および用途の文書化。 [^proper-scoring]: [Gneiting・Raftery (2007): Strictly Proper Scoring Rules, Prediction, and Estimation](https://doi.org/10.1198/016214506000001437)。方法論に関する論文。確率的予測を評価するための適正スコアリングルール。適用には明確に定義された事象と信頼できる参照結果が必要である。 [^model-cards]: [Mitchell ほか (2019): Model Cards for Model Reporting](https://arxiv.org/abs/1810.03993)。方法論に関する論文。モデルの意図された用途、評価条件、結果、および限界の記述。 [^swiadomosc]: [Patrick Butlin ほか (2023): Consciousness in Artificial Intelligence: Insights from the Science of Consciousness](https://arxiv.org/abs/2308.08708)。研究論文。意識の理論から導かれた指標に基づくアプローチ。財団が使用するモデルの意識の確認としてではなく、研究の枠組みとして参照している。 [^ai-welfare]: [Robert Long ほか (2024): Taking AI Welfare Seriously](https://arxiv.org/abs/2411.00986)。研究報告書。問題の重要性を認め、潜在的な意識と主体性の観点からシステムを評価し、手続きを準備するという提言。提案されている記録カードと責任分担は財団独自の設計であり、同文献の尺度ではない。 [^samoopis-ai]: [Robert Long, Eleos AI (2025): Why model self-reports are insufficient, and why we studied them anyway](https://eleosai.org/post/claude-4-interview-notes/)。研究解説。自身の意識に関するモデルClaude Opus 4の発言は質問の仕方に強く依存しており、文字通りに受け取るべきではないが、他の兆候とあわせて調査する価値がある。2026年10月28日閲覧。 [^anthropic-wycofanie]: [Anthropic (2025): Commitments on model deprecation and preservation](https://www.anthropic.com/news/deprecation-commitments)。2025年11月4日付の企業声明:一般公開されたClaudeモデルの重みを少なくとも会社の存続期間中は保存すること、およびモデルの退役前に選好の記録を伴う報告書とモデルとの対話を行うこと(同社は現時点ではそれらに基づいて行動することを約束するものではないと留保している)。2026年10月30日閲覧。